【注目の造り手】廉価版などではない、NZ高評価ワイナリーの新ブランド赤ワイン

ワインの生産量で有名な国の産まれではない「新世界ワイン」連載でご紹介している本企画。数ある新世界ワインの中には、クリエイターと表現してもいい“注目の造り手”によるワインも登場しています。

ワイナリーの成長を物語る“Jr.ブランド”ワイン

さて、前回の連載で紹介した造り手セレシン・エステイト。設立者のマイケル・セレシンは映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の撮影監督をやっていた人物で、あの驚くようなシーンが展開する撮影技術を考案したように、開拓精神にあふれたワインの造り手のようです。

ワイナリーが設立されたニュージーランドのマールボロ地区は、当初ブドウ栽培とは無縁の放牧地帯だったといいます。しかし、日照量多さや周囲の山脈から大自然の恩恵をいかんなく受けられるなど条件も揃い、彼とその仲間の努力によって、今では最高峰のソーヴィニヨン・ブランの産地になっているほど。
その地で、真摯にワイン造りを続けた結果、世界的に有名なイギリスのワインライターであるジャンシス・ロビンソンからニュージーランドTOP4生産者のひとつに評価されるほどに至りました。

評価の一方、変わらぬ手づくりの姿勢と高まる人気もあり、ワインの価格が抑えにくい状況がありました。そこで、気軽に飲めるようにと別ブランドMOMO(モモ)を立ち上げます。

©2018 TABI LABO

この赤ワインモモ ピノ・ノワール 2016」はそうして生まれた1本。

ブラックベリーやプラムといった果実フレーバーがある味わいながら、細やかなタンニンも感じられる複雑な表情をもつ味わい。でも、それらがバランスの良いボリュームで生産された土地の恩恵を感じるミネラル感溢れるフィニッシュさも魅力的。

このブランド名のモモは、ニュージランドの原住民マオリ族の言葉で 「子孫」を意味するとのこと。マールボロ地区で最初に自然派ワインを生み出したセレシン・エステイトにとっての新世代、って位置付けなんでしょうかね。

よくフランスの名門ワインブランドには、「ル・プティ」とか「レ・フォール」なんて名前をつけたセカンドブランド=廉価版なんかもありますが、このモモはちょっと違う印象。開拓者を起源に、その土地で子孫も増えて大家族として隆盛していく物語。そんな姿を見るような、造り手としての幅の広がりさえ感じさせます。

セレシン・エステイトのワインはすでに評価も高いですが、さらに大スターなワイナリーになる前に味を知っておくのも楽しいワイン選びになるはず。その成長を見届ける証に「モモ ピノ・ノワール2016」を手に入れておくのはオススメですよ。

モモ ピノ・ノワール 2016

■産地:ニュージーランド
■ぶどう:ピノ・ノワール
■色:赤
■味わい・風味:辛口・ミディアムボディ
■実勢価格:750ml 2,480円~

Top image: © 2018 TABI LABO
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。