ニッポン生まれの「台湾B級グルメ」3選

台湾に親しみやすさを覚えるのは、物理的な距離よりもむしろ馴染みやすい料理にある、僕はこう考えています。だって、旅していて感じたことありません?「あれ?日本にも似たようなメニューがある」と。

その実、台湾料理のなかの一部は日本からもたらされたものなんです。例えば、おにぎりや弁当(台湾では「便當」)。温かい食事をご馳走ととらえる台湾人に、携行用の冷えたごはんやおかずが浸透したのは、日本統治時代の影響。天ぷらやとんかつだってそう。

こうした日本の置き土産は、やがて台湾人のアイデンティティと融合し、独創的すぎる進化を遂げたのです。

ここに紹介するメニューも台湾の中に息づくニッポン。ただし、日本にいてはまず出会えない、タイワニゼーションフードに絞ってご紹介!

かき氷のトッピングに生卵!?
「月見冰」

©Kumiko. H

初めて見る人はカルチャーショックを覚えるかもしれない。お察しの通り、かき氷の上にたまごの黄身をまんま乗っけた、月見そばならぬ「月見冰」。こうなるともう、氷なんだかメレンゲなんだか……絵だけでは判別もつかないからおもしろい。

黄身を割ってたっぷりのコンデンスミルクと混ぜ合わせる。するとどうだろう。ほとんどカスタードクリームじゃないか!緑豆やあずき、ピーナッツをトッピングするのもありですが、この月見のままいくのがオツなようです。台湾でも南部ほど遭遇のチャンスあり。

かき氷に卵なんてアリエナイ!と拒絶反応しているようでは、何度台湾を訪れていようと、“食べ惚れた”とは言えません。日本食の転化というよりタイワニゼーションの一例ですが、こういったところにもニッポンのなごりを見つけることができます。

手巻き寿司はアイススタンドにて提供
「フォルモサロール」

©Andrey Starostin/Shutterstock.com

今でこそ回転寿司だけでなく、本格的なにぎり寿司を提供する店舗も増えましたが、台湾といえど一昔前まではアレンジを利かせたSUSHIが主流。なかでもエンタメ感が強いのが、手巻き寿司です。

アイスやソフトクリームを立てるためのトップコーンスタンドも、ご覧の通り台湾人の手にかかれば寿司専用に。ネタもインゲン、アスパラ、キャベツ、レタスなどの野菜に、ハムを入れたり、パイナップルまで顔をのぞかせたり(いや、上の写真はまだマシなほう)。太巻きだって、カリフォルニアロールよろしく海苔を裏巻きにして、周りはでんぶコーティングのド派手なピンクだったりも。

こうした台湾ナイズドされた巻物は、かつて欧州の人々が台湾を別称で呼んだフォルモサになぞらえ、「フォルモサロール」と呼ばれています。トップコーンスタンドに立つ手巻きスタイルに出会うには、日本料理店ではなく和食にインスパイアされた日式料理店に足を運ぶといいかも。

台湾庶民のチープなおやつ
「黒輪」

©Quietword/Shutterstock.com

看板に表記のある短い竹串で2元は、日本円にしておよそ7円。(どんだけ安いんだ!)そんなつぶやきが聞こえてきそうなこの「黒輪」こそ、台湾庶民のソウルフード。小腹の足しに、路上でつつくのがまたいいんです。

もちろんルーツは日本。串に刺した具材をだし汁で煮炊きするこの絵を見ればもうおわかりのはず。そう、これは台湾バージョンのおでん。冬場でも平均気温が20度近い台湾で、統治時代から親しまれてきたおでんは、いまも台湾語でそのまま「オーレン」と発音します。これに漢字を当てはめると黒輪に。

魚介のすり身やロールキャベツ、ソーセージなど、日本とさほど変わらない内容ですが、なかにはもち米に豚の血液を混ぜてこねた猪血樵といった、台湾ならではのおでん種も。

昔も今も、うまいものは廟のそばに在り。台湾式おでんを味わうならば、各地の寺廟周辺を散策してみて。ちなみに、こんにゃくやはんぺんといった日本で馴染みのある具材は、コンビニに行かない限り出会うことはほぼありません。

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