パステルトーンのコーヒーショップで出会った「甘すぎないエプロン」

味、サービス、雰囲気、客層……お店の価値をそれだけで決めてもらっちゃ困る。街は百花繚乱、目を奪われるエプロンだらけ。わざわざ店まで足を運ぶ価値はここにだってある。

というわけで、働く人たちのアガるエプロンをじっくり拝見。ついでに教えて!そのエプロンどこのですか?

©YUJI IMAI

路地裏のON THE WAY,
親しみやすいエプロンの色

下北沢ほど街ブラに適したエリアはない。路地を入った生活圏のなかに小さな商店が点在する。ON THE WAY,もそんな裏路地にあるコーヒーショップだ。目印はパステルカラーのひさし、ドア、それとこの薄花色のエプロン。

©YUJI IMAI

「もともとは、今より濃いめの紺色だったんですよ。オープンから4年使って、だいぶ色落ちしてきちゃいましたね(笑)」。

マネージャー福田晋吾さんは、ショップの立ち上げからオリジナルエプロン制作にも携わり、そして今もバリスタとして店に立つ。たしかに色褪せてはいるが、ビビッドな原色には表れてこない親しみやすさを感じる。

このエプロン、ほとんど装飾がないように見えて、ポケットをリベット留めで補強したり、洗濯表示のロゴをあえて表地にプリントしたりと随所にアソビがうかがえる。どうやら単純な既製品ではなさそうだ。

©YUJI IMAI
©YUJI IMAI

“主張しないこと”がこだわり

じつは福田さんはアパレル出身。会社を辞め、オーストラリアのコーヒーカルチャーに魅了され、現地のショップで働きながら、いつか自分が店を持ったときのエプロンのイメージを膨らませていたという。

帰国後ON THE WAY,オープンに参画したとき、前職からつながりのあった鎌倉のセレクトショップLosangoのオーナーに制作を依頼した。ショップのコンセプトやカラーを共有しながら、オーストラリアで温めていた自身のイメージもそこに落とし込んでいった。

なかでもこだわりが強かったのが生地の色。店舗は個性の強いパステルカラー。そのなかで逆にエプロンは主張させず、落ち着いたトーンで行くと決めていた。さりげなく、かっこよく。

「ピアス、時計、メガネ。身につけるものって自分が気に入ったものっていう前提がありますよね。カッコイイとかおしゃれとか。エプロンもファッションの延長だと思っています。だから、小物使いのアクセントになることを意識しました」。

前面に出すぎるばかりが個性じゃない。ここのエプロンは、いい具合にさりげなく主張する。

©YUJI IMAI

コーヒーショップはカウンター越しのコミュニケーション。
ワッペンをやや高めの位置にしたのはそのため。

©YUJI IMAI

店の奥でつくるカップケーキはテイクアウトも可能。

©YUJI IMAI

Losango 
鎌倉市長谷にあるセレクトショップ。本物で自然、無駄がなく緻密、そしてcool。そんな生活にかかわる道具が世界各国から集められている。ワークウェアの受注生産も。

取材協力:ON THE WAY

Top image: © YUJI IMAI
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。