ごはんを食べるように「漢方」を飲む。世間のイメージとは違う効果や使い方を教えます——鎌倉の薬局三代目・杉本格朗

イラっとするメールを見た時
にだって、漢方は使えます(笑)

©2019 ETSU MORIYAMA

——では、いざ漢方を初めてみようとなった時、まず気になったのが、漢方と「生薬、新薬(西洋医学の薬)、サプリメント、ハーブ、アロマセラピー」との違いです。

 

「体に作用させるという意味では全部同じです。まず大きく分けると、ナチュラルかケミカルか。ただし、ケミカルな新薬も自然なものから抽出した有効成分を科学的に効率よくしたものなので、原点は変わりません。

よく聞かれるのはハーブとの違いです。漢方薬は木の根や皮、種などの硬いものが多くて、煮たり砕いたりして飲むことが比較的多い。ハーブは花や葉などの柔らかいものが多く、熱を加えるとえぐみが出たり成分が変わったりするので、お湯を注いで飲むとか、抽出してアロマオイルにする使い方が多いんじゃないかと思います。

サプリメントは足りないものを補う“食品”という扱いで、天然由来のものは僕も漢方と合わせて使います。漢方薬は、昔からその当時あるもので試してきたわけです。現代だからこそ手に入る素材もあるので、有効であれば、サプリメントと漢方の組み合せもおすすめです」

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漢方の本でよく見かける「五行の図」が登場。やっぱりこの図は頭に叩き込まないといけない……?「本職にしている人は説明のために覚える必要があるけど、一般の方は覚えなくても全然大丈夫です」

 

——日常に漢方を取り入れるとしたら、どんな使い方がおすすめですか?

 

「朝昼晩の習慣に取り入れるといいと思います。寝る前に飲むと朝すっきり起きられる、目覚めの一杯にするとシャキッとする、疲労をやわらげて終業までがんばれる、お酒の席で翌日のために……といったものを飲んでみては? 僕はイラッとするメールを読んだ時などに、心を落ち着かせる漢方を飲んだりもします(笑)。心身を整えるためにも使ってみてください。

僕は、漢方を飲まない日はないです。ごはん食べるのと一緒です」

 

——新しいですね。薬局や病院で不調を相談して、「出してもらったものを飲む」という飲み方しかしたことがない人が多い気がします。

 

「薬局では、特定の悩みを持って来る方に対して改善できる漢方薬をお渡しすることが多いのですが、健康な方が来て、さまざまな不調のシチュエーションや、こういう時に飲むものがほしいという相談もあります。

例えば結婚式の前に肌を綺麗にしたい、プレゼンの前に緊張をほぐしたい、冬は体を冷やさないようにしたいとか。漢方には、とにかくいろいろなスタイルがある。どれをどう使うのが合うかは本当に人それぞれだから、まずは相談してみてください」

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「“なんとなく不調だな”ということってありませんか。そういう、病院に行っても診断名がつかなくて、薬ももらえないようなことを、漢方が救えることもあるんです」

 

——そういえば、漢方は女性に広まりつつあるけれど、男性が飲むイメージはあまりないですね。

 

「女性は婦人科系のお悩みがあったり、体調の変化に敏感なのかもしれません。もちろん、男性でも生活習慣病や足腰の痛みが気になるなど、漢方薬局に来る方はいます。性別を問わず飲んでいいものなので、体が資本と考える人には広まっていると思います。

ちなみに人だけではなく、ワンちゃんやネコちゃんなど、動物にいい漢方もあります。実家の猫にも飲ませていました。漢方は素直な人の方が効きやすいと言われていて、そのせいか動物も効きやすかったりします」

独自の発展を遂げた
「日本の漢方」は世界へ

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——世の中のイメージって、わりと「半分〜ライトな症状担当=漢方」みたいなイメージになっている気がします。

 

「そうかもしれませんね。でも、西洋医学、現代医学で治せなかったものが、漢方で良くなったりもしますからね。漢方もそうですが、昔から伝わってて効果があること、立証されてることっていっぱいあります。精神科医の星野概念さんともよく話しているのですが、まず、食事とか睡眠とか運動とかの『養生』があって、その先にサプリメント、マッサージ、鍼灸、漢方、新薬、手術。これが本来の流れだと思います」

 

——未来予想図というか、漢方はこれからどうなっていくと思いますか?

 

「今は西洋の医療がメインになっているけど、日常に漢方を取り入れる人がもっと増えたらいいなぁと思います。西洋医学を否定するわけではなく……漢方薬局に行くのが当たり前になって、西洋と東洋の両輪になったら嬉しいですね。

漢方は中国発祥ですが、土地や気候によって変わるもの。日本の漢方は日本向けに編集されて独自の発展を遂げています。日本の食文化のように漢方が“トラディショナル・ジャパニーズ・メディスン”としても、中国医学と共に海外でもっと知られるようになる未来を考えています」

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「何でも病院に行かなきゃね、って思ってしまいがちだけど、漢方がいいこともあるんですよ」

 

サプリメントや栄養ドリンクを飲んだことはあっても、漢方薬には馴染みがない方が多いのではないだろうか。じつは、杉本さんを取材した私もその一人。「対面でのコミュニケーションを重視している」という彼は、漢方初心者にも穏やかな語り口でわかりやすく説明してくれる。

取材中も、お店には絶え間なくお客さんが訪れていた。「◯◯さん、今日はどうしましたか」、そんなふうにお客さんたちに接するのと同様に、難しくなりがちな漢方の話をどうしたらわかりやすくできるかを一緒に考えてくれているのも印象的だった。ネットの普及で人と話す機会が減っている現代では、心身の悩みを打ち明けられる漢方薬局のような場がきっと役に立つ時があるはず。日本の未来は「漢方」が元気にしてくれるかもしれない。

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杉本薬局

住所:神奈川県鎌倉市大船1-25-37
TEL:0467-46-2454
営業時間:10:00~18:30
定休日:木・日曜・祝日

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