脱プラスチックにインド伝統の「焼き物」が貢献
インドでは鉄道での通勤通学の途中、僕たちがコンビニでコーヒーを買う感覚で、チャイをすするのが習慣だそう。
そこで使われているのが、おもにプラスチックカップ。けれど、飲んでは捨ての悪循環に、インド政府は国内およそ7000の駅構内におけるプラスチックカップの提供を中止し、代わりに焼き物の「クルハド」を用いることを発表した。
クルハドは、北インドやパキスタンで伝統的に使用されてきた素焼きで、シンプルな粘土質。塗装も釉薬も施されていないため、完全に生分解性。割れば土に還るエコなカップだ。薄焼きの特性を活かし、飲んだあとそのへんにポイ捨てされても、最後は土に還るというわけ。なんともインド的発想。
さて、クルハド変更のもう一つのメリットがある。
それは、およそ200万人近い失業中の陶芸職人たちの雇用も同時に生み出すということ。代替カップがワークすれば、彼らの平均月収も4倍に上がるという試算も出ている。
年間940万トン近く発生するプラスチックごみによる汚染対策に、2019年より乗り出したインド。使い捨てのレジ袋や食器などのプラ製品の使用を段階的に制限し、2022年までに全廃する禁止令は、ナレンドラ・モディ首相肝入りの政策でもある。
脱プラスチックで持続可能な社会の実現へ。お国変われば施策もまた、さまざま。
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