「ヘラブナ」が「侵入生物」とされる理由

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

鮒(フナ)の日

コロナ禍において、密にならず、オープンエアーで、さらに一人でも複数でも楽しめるアクティビティとして注目を浴びる趣味・魚釣り。

海、川、湖、そして生き餌にルアーフィッシング、船やボートだけでなく、最近ではSUPに乗って糸を垂れる小洒落たスタイルまで、じつに幅広い楽しみ方がある釣りですが、シーンにはかつてからこんな言葉が存在します。

「鮒にはじまって、鮒に終わる」。

これは、日本全国の淡水域に広く生息し、手軽な仕掛けやさまざまな餌で釣ることができるにもかかわらず、その道を極めんとすれば非常に長く多くの経験を必要とする鮒釣りのおもしろさと奥深さを表すフレーズです。

ちなみに、今日2月7日は、「2(フ)」「7(ナ)」の語呂合わせから制定された「鮒の日」(※)。

日本ではギンブナ、キンブナ、ナガブナなど6種類のフナの生息が確認されていますが、なかでも競技性の高いスポーツフィッシングの対象魚として人気なのが、その幅広の体高と最大で60cmを超えるまでに成長するヘラブナです。

多くのフナ属と同様、日本中に分布するポピュラーな魚ではあるのですが、じつはこのヘラブナ、「国立環境研究所」の「侵入生物データベース」に記載された(多くのエリアにとって)外来生物であることを知っていますか?

研究によると、そもそもヘラブナ(ゲンゴロウブナ)は琵琶湖と滋賀、京都、大阪を流れる淀川水系にのみ自然分布する魚とされており、現在の生息域の広さから、いわゆる“国内外来種”と呼ばれるものなのです。

もちろん、地理的な変化や気候の変動などによって、生態系を変え、種を存続させるのは生物の常(つね)です。そして、ヘラブナの分布の拡大が、それぞれの土地のもともとの生態系にどんな影響を与えているかは不明なのですが、今日を“生物多様性の重要性”について思いを巡らせる一日にしてみてはいかがでしょうか?

※鮒を使った食文化を後世に伝えることを目的に設立された「古河鮒甘露煮組合」(茨城)が2001年に制定。

Top image: © iStock.com/Michel VIARD
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