デバイス装着で減塩!「電気調味料」の時代がやってくる

塩分の過剰摂取は、さまざまなリスクの原因となる世界的な健康課題。ここに一石を投じる新しい概念の“電気調味料”が発表された。

下顎前部および首後部への微弱な電気の刺激で味覚をコントロールする、世界で初めて開発された技術で、この経皮電気刺激によって複数の食品の味がより強まることを実証した一連の研究成果は、国際学術誌『Hypertension Research』に掲載されている。

固体系食品にも応用可能

昨今、フォークやスプーンなど電気が流れる食器や食品を介して舌に電気刺激を加えることで、食品の味を増強させる技術が報告され、液体系食品への活用により食事・接種制限を抱える人々へのサポートに注目が集まっている。

いっぽう、今回開発された技術は経皮電気刺激によるもの。咀嚼・嚥下中でも電気刺激の効果があり、液体系だけでなく固体系食品にも応用が可能。減塩が必要な状況であっても、食の選択肢がより増えることが期待できるというわけだ。

また、共同研究では食品によって塩味だけでなく、うま味や酸味も強まり、かつ風味も変化することが示されている。食品の味だけでなく風味すらも「電気調味料」によるコントロールができれば、健康管理にも役立つようになるだろう。

経皮電気刺激による食品の味変化検証(例:梅がゆ、餃子)©味の素株式会社

ウェアラブルデバイスによる未来

同技術の研究を進める「味の素株式会社」では、より活用しやすくするための首または耳に掛けて使用するウェアラブルデバイスのコンセプトを開発。食事中に装着すれば、食品の塩味を持続的に増強できるようになるという。

©味の素株式会社

実現すれば、減塩を必要とする生活者の負担が軽減されることになり、ウェアラブルデバイスを活用した新たなサービスで、“おいしい減塩”をサポートする未来がやってくるに違いない。

新概念の「電気調味料」は、減塩を必要とする人をはじめとした生活者の食をより豊かにし、健康で快適な生活へ導いてくれる存在になりそうだ。

Top image: © 味の素株式会社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。