この50個を知っておけば大丈夫。Z世代のための投資用語辞典
目次
友人との会話やSNSで「NISA」や「投資」という言葉を耳にする機会が増えたけど、意味がよく分からなくて、なんとなく話についていけない。将来のためにお金のことを考えたいけど、専門用語が難しくて一歩踏み出せない——。そんな経験はありませんか?
この記事では、投資の世界で使われる基本的な言葉を「シーン別」に厳選し、 なるべく分かりやすいイメージで解説してみました。気になる言葉だけでもざっと見してみると、これからは投資に関するニュースや会話が、スッと頭に入ってくるようになるかもしれません。
なぜ今、投資について知ることが大切なのか?
「貯金=安心」が通じない時代?
「貯金は安全」と考えている人も多いかもしれませんが、実はそうとも言い切れない時代になっています。その理由が「インフレ」。これは、モノの値段が上がり、相対的にお金の価値が下がってしまう現象のことです。総務省統計局によると、2024年の消費者物価指数は前年比で2.7%上昇しています。つまり、去年100万円で買えたものが、今年は102万7千円出さないと買えなくなってしまった、ということ。銀行に預けているだけでは、お金は増えるどころか、実質的な価値は少しずつ減ってしまうかもしれないのです。
未来の自分におトクなチャンス、「新NISA」がスタート
そんな中で、私たちの未来を応援してくれる強力なツールとして「新NISA」が2024年からスタートしました。これは国が新たに用意した制度で、NISA口座の中で得た投資の利益には税金がかからない、という大きなメリットがあります。金融庁の発表では、特に20代のNISA口座開設数が大きく伸びており、多くの同世代がこのチャンスを活かし始めていることが分かります。投資について知ることは、このおトクな制度を最大限に活用し、賢く未来の準備を始めるための第一歩になるはずです。
投資≒「推し活」。自分の"好き"を社会に届ける手段に
投資は、ただお金を増やすだけの行為ではありません。例えば、環境問題や社会課題の解決に熱心な企業を応援する「ESG投資」という考え方があります。あなたが「良いな」と思える企業の株を買うことは、その企業への応援メッセージになります。投資を活用することで、自分の価値観を社会に届け、未来をより良い方向に動かす力にもなるのかもしれません。
Scene 1:
はじめの一歩を踏み出すための「基本のキ」
投資関連で出てくるキーワードは、難しくてまるで新しい言語のよう。でも、いくつかの基本的な単語さえ覚えてしまえば、世界はぐっと身近に感じられるはず。ここでは、最初の一歩を踏み出すあなたが、まず押さえておきたい言葉を紹介します。
01. 「投資信託」
ひとつのパッケージに銘柄を詰め合わせたセットメニュー
投資を始めたいけど、どの会社の株を買えばいいか分からない。そんな初心者の強い味方が「投資信託」です。これは、投資の専門家が、国内外の株式や債券など様々な金融商品をバランス良く選び、詰め合わせてくれた「お弁当パック」のようなもの。私たちはそのパックを買うだけで、手軽に分散投資が始められます。月々1,000円といった少額から購入できる商品も多く、投資への入り口として多くの人に選ばれています。
02. 「株式投資」
企業の未来に出資して、オーナーの一部になること
「株式投資」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、これは株式会社が発行する「株式」を買い、その会社を応援する仕組みです。株式を持つと、会社の利益の一部を配当金として受け取ったり、一定以上の株数を保有していれば、株主総会に参加したりできます。自分が好きなブランドや、応援したいサービスを提供している企業の株主になることで、経済ニュースが少し違って見えてくるかもしれません。
03. 「NISA」
利益に税金がかからない、お金を育てる専用ボックス
NISA(ニーサ)は、特定の金融商品の名前ではなく、制度の名前です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAという「おトクな箱」の中で得た利益には、税金がかかりません。この箱の中に、先ほど紹介した投資信託や株式などを入れて運用していくイメージです。せっかく投資をするなら、この非課税のメリットを上手に活用しない手はありません。多くの金融機関でNISA口座を開設することができます。
04. 「iDeCo」
自分で積み立てていく、もうひとつの私的年金づくり
iDeCo(イデコ)もNISAと似た税金の優遇制度ですが、こちらはより「老後資金」に特化しています。一番の特徴は、掛け金が所得控除の対象になること。これは、毎年の所得税や住民税が少し安くなるというメリットです。ただし、iDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出すことができません。未来の自分のために、今からコツコツと「もう一つの年金」を準備しておくための制度、と考えると分かりやすいかもしれません。
05. 「リスクとリターン」
利益と損失は表裏一体
投資の話題で必ず出てくる「リスク」という言葉。危険なこと、と誤解されがちですが、投資の世界では「リターンの不確実性=振れ幅」を意味します。大きなリターン(利益)が期待できるものは、その分値動きの振れ幅(リスク)も大きくなる傾向があります。逆に、リスクが小さいものは、期待できるリターンも穏やか。大切なのは、自分がどれくらいの振れ幅なら受け入れられるかを考え、リスクとリターンのバランスが取れた商品を選ぶことです。
06. 「長期投資」
時間を味方にして、じっくり育てるスタイル
「長期投資」は、その名の通り、短い期間の値動きに一喜一憂せず、5年、10年といった長い目で資産を育てていく考え方です。頻繁に売買を繰り返すのではなく、じっくりと腰を据えて保有し続けることで、経済全体の成長の恩恵を受けやすくなります。世界経済は、短い目で見れば浮き沈みがありますが、長い目で見れば成長を続けてきました。時間を味方につけることは、投資における王道の戦略の一つと言えるでしょう。
07. 「分散投資」
ひとつのカゴに卵を盛らずに、リスクを分散すること
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。もし、そのカゴを落としてしまったら、全部の卵が割れてしまうかもしれないからです。これは「分散投資」の考え方を表しています。例えば、投資先を日本の株式だけでなく、海外の株式や債券など、性質の異なる複数の資産に分けること。また、購入するタイミングを一度にまとめず、何回かに分けることも時間的な分散になります。資産を守りながら育てるための、基本的な知恵です。
Scene 2:
SNSやニュースでよく見る言葉たち
投資の基本がわかってくると、SNSやニュースで流れてくる情報が少しずつ自分に関係あることのように思えてきませんか。ここでは、そんな日常でよく目にする、一歩進んだキーワードを紹介します。これらの言葉を知れば、世の中の経済の動きがもっとクリアに見えてくるはずです。
08. 「インデックスファンド」
市場全体にまるごと投資する商品
市場全体の動きを示す「指数」に連動することを目指す投資信託のことです。例えば、日本の代表的な企業を集めた「日経平均株価」や、アメリカの主要な企業500社で構成される「S&P500」などが有名な指数です。インデックスファンドを一つ買うだけで、その指数に含まれるたくさんの企業にまるごと投資したような効果が期待できます。分かりやすく、運用にかかるコストが低い傾向にあるため、多くの初心者から選ばれています。
09. 「アクティブファンド」
プロが腕を振るうオリジナルの商品
インデックスファンドが市場平均を目指すのに対し、「アクティブファンド」は、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが独自の調査や分析に基づいて投資先を選び、市場平均を上回るリターンを目指す投資信託です。特定のテーマ(例えばAI関連企業や環境技術を持つ企業など)に特化したものも多く、その種類は様々。プロの腕前に期待する分、インデックスファンドに比べて信託報酬は高くなる傾向があります。
10. 「オルカン」
世界中の株式にまるごと投資できるグローバルパッケージ
SNSなどでよく見かける「オルカン」という言葉。これは、ある特定のインデックスファンド(eMAXIS Slim 全世界株式)の愛称で、「All Country(オール・カントリー)」、つまり全世界の株式にこれ一つで投資ができる、という意味合いで広く使われています。日本を含む先進国から新興国まで、世界中の数千社の企業にまとめて分散投資できる手軽さから、NISAなどを通じて多くの人々の投資デビューを支える選択肢の一つになっています。
11. 「S&P500」
アメリカを代表する500社を集めた指数のこと
「S&P500」は、アメリカの株式市場を代表する株価指数の一つです。アメリカの格付け会社「S&P Global Ratings」社が選んだ、主要な産業を代表する約500社の株式で構成されています。世界的に有名なIT企業やヘルスケア企業などが多く含まれており、この指数の動きを見ることで、アメリカ経済、ひいては世界経済の動向を大まかに把握することができます。このS&P500に連動するインデックスファンドも、オルカンと並んで人気のある選択肢です。
12. 「ポートフォリオ」
自分の投資商品の組み合わせ
あなたが保有している、あるいはこれから保有しようとしている金融商品の組み合わせ全体のことです。株式や投資信託、債券などを、自分がどれくらいの割合で持つか。その「布陣」や「チーム編成」がポートフォリオです。自分のリスク許容度や目標に合わせて、国内外の株式や債券などをバランス良く組み合わせることが、安定した資産形成の鍵になります。定期的にこのポートフォリオを見直すことも大切です。
13. 「株価」
企業の価値に対する期待値を映す鏡
「株価」とは、企業が発行する一株あたりの値段のことです。この値段は、企業の業績や将来性、さらには市場全体の雰囲気など、様々な要因によって常に変動しています。株価が上がるということは、それだけ多くの人がその会社の未来に期待している、ということ。まるで企業の人気度や期待値を映す鏡のような存在です。ニュースで日々の株価の動きを知ることは、経済の体温を感じることにも繋がります。
14. 「ETF」
株式のようにリアルタイムで売買できる投資信託
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。投資信託の一種でありながら、株式と同じように証券取引所に上場しており、取引時間中ならいつでもリアルタイムで売買できるのが最大の特徴。投資信託の「分散効果」と、株式の「いつでも売買できる利便性」を兼ね備えた、ハイブリッドな金融商品と考えると分かりやすいかもしれません。
15. 「IPO」
企業が資本市場に仲間入りする最初の一歩
IPOは「Initial Public Offering」の略で、「新規公開株式」を意味します。これまで一部の人しか株を持てなかった未上場の会社が、証券取引所に上場し、誰でも株を売買できるようになることです。上場前に抽選で株を手に入れるチャンスがあり、上場後の最初の取引で価格が大きく上昇することも少なくないため、投資家の間では「お祭り」のように注目されるイベントの一つです。
16. 「PERとPBR」
株価が割安か割高かを知るための「ものさし」
個別企業の株に投資するときに参考になる指標です。どちらも、現在の株価がその会社の実力に対して「割安」なのか「割高」なのかを判断するための「ものさし」のようなもの。PER(株価収益率)は会社の「稼ぐ力」に対して、PBR(株価純資産倍率)は会社の「持っている資産」に対して株価がどうかを見ます。数値が低いほど割安と判断されることが多いですが、業界によって平均値が違うため、多角的な視点が必要です。
17. 「配当金と株主優待」
企業から株主へ贈られる感謝のリターン
企業が利益の一部を、株主(株式の保有者)に還元することです。「配当金」は現金で支払われ、「株主優待」は自社製品やサービス割引券などで提供されることが多いです。これらは、日頃から会社を応援してくれている株主への「ありがとう」のしるし、と考えると分かりやすいかもしれません。すべての企業が行っているわけではありませんが、これらも株式投資の魅力の一つです。
Scene 3:
実際にNISAを始めると出会う言葉たち
いざNISAを始めようと決意して、証券会社のアプリやサイトを開いてみる。すると、また新しい言葉たちに出会うかもしれません。でも、もう心配はいりません。一つひとつの言葉がどんな役割を持っているのかを知れば、手続きも安心して進められるはずです。
18. 「証券口座」
株や投資信託などを保有・管理するためのデジタル金庫
株式や投資信託といった金融商品を買ったり売ったり、保管しておいたりするための専用口座のことです。銀行の預金口座がお金を預けておく場所であるのに対し、証券口座は投資商品を預けておく場所、とイメージするとよいでしょう。NISAを始めるには、まずこの証券口座を開設する必要があります。最近では、スマートフォン一つで簡単に口座開設の手続きができる金融機関も増えています。
19. 「つみたて投資枠」
コツコツ積立するための専用スペース
2024年から始まった新NISAには、2つの投資枠があります。その一つが「つみたて投資枠」です。こちらは、主に長期的な資産形成を目的とした、コツコツ積立投資を行うための専用スペースです。年間に投資できる上限額は120万円。国が定めた基準をクリアした、長期・積立・分散投資に適した投資信託などが主な対象商品となっており、初心者でも商品を選びやすいよう工夫されています。
20. 「成長投資枠」
少しアクティブに挑戦できる自由度の高いスペース
新NISAのもう一つの投資枠が「成長投資枠」です。こちらは、年間に240万円まで投資が可能で、つみたて投資枠の対象商品に加えて、個別企業の株式など、より幅広い商品に投資することができます。ある程度まとまった資金で投資を始めたい場合や、自分の興味がある企業に積極的に投資してみたい、といったニーズに応えるためのスペースです。もちろん、この枠で積立投資をすることも可能です。
21. 「非課税保有限度額」
生涯にわたって非課税で投資できる上限金額
新NISAでは、生涯にわたって非課税で保有できる上限金額が定められており、それを「非課税保有限度額」と呼びます。この上限は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて、合計で1,800万円です。この枠内で得た利益はずっと非課税になります。また、この枠は売却すれば翌年以降に復活して再利用できるため、ライフイベントに合わせて柔軫に資産をコントロールできるのが大きな特徴です。
22. 「基準価額」
投資信託の「今日の値段」のこと
投資信託の値段のことで、一口あたりの時価を表します。投資信託は多くの株式や債券などが組み入れられており、その時々の値段を反映して、基準価額も1日1回変動します。新聞の株式欄や金融機関のウェブサイトで毎日公表されており、自分が持っている投資信託の価値が上がったか下がったかを確認するための基本的な指標になります。私たちが商品を買うときは、この基準価額を基に取引が行われます。
23. 「指値注文と成行注文」
値段を指定する買い方と、即時性を重視する買い方
株式などを売買するときの注文方法です。「指値(さしね)注文」は、「この値段で買いたい/売りたい」と価格を指定する方法。希望の価格になるまで取引は成立しませんが、想定外の価格で売買するのを防げます。「成行(なりゆき)注文」は、価格を指定せず「いくらでもいいから今すぐ買いたい/売りたい」という方法。取引は成立しやすいですが、価格が想定とずれる可能性もあります。
24. 「損切り」
小さな傷で済ませて、大きな損失を防ぐ判断
保有している金融商品の価格が下落し、損失が出ている状態で、それ以上損失が拡大するのを防ぐために売却して損失を確定させることです。誰しも損失は出したくないものですが、価格が回復する保証はありません。「このラインまで下がったら潔く売る」と決めておくことは、感情に流されず、大切な資産を守るための重要なリスク管理手法の一つ。未来のより大きな損失を防ぐための、勇気ある決断と言えるでしょう。
25. 「目論見書」
商品の仕組み・方針・コストがすべて載ったガイドブック
その投資信託が、どのような方針で運用され、何に投資し、どれくらいのリスクや手数料がかかるのか、といった重要な情報がすべて書かれている「説明書」です。購入する前には、この目論見書を必ず確認することが義務付けられています。少し難しく感じるかもしれませんが、自分がどんな商品に投資しようとしているのかを理解するために、とても大切な書類です。最近はウェブサイト上で分かりやすく解説されていることも多いです。
26. 「信託報酬」
ファンドを運用してもらうための「手数料」
投資信託を保有している間、継続的にかかり続けるコストのことです。これは、運用の専門家であるファンドマネージャーや運用会社に、私たちの資産を運用してもらうための「手数料」のようなもの。投資信託の資産の中から、毎日少しずつ差し引かれています。年率0.1%などと表示され、一見すると小さな数字に見えますが、長期で保有するほどその差は大きくなるため、商品を選ぶ際の重要なチェックポイントの一つです。
Scene 4:
ライフスタイルと繋がる新しいお金の言葉
投資は、もはや単なる資産運用ではありません。自分の生き方や価値観を表現し、理想のライフスタイルを実現するためのツールにもなり得ます。ここでは、そんな新しい時代のお金と暮らしに関わるキーワードをご紹介します。
27. 「FIRE」
自分らしい人生を送るための新しい選択肢
「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の頭文字をとった言葉です。生活費を投資から得られる利益(運用益)でまかなえる状態を築き、会社に縛られずに若いうちにリタイアして、自分の好きなことをして生きるというライフプランのこと。誰もが目指せるわけではありませんが、人生の選択肢を広げる一つの考え方として、特に若い世代から注目を集めています。
28. 「ESG投資/インパクト投資」
環境や社会に配慮し健全に経営する会社を応援する考え方
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)など、経済的リターン以外の観点も重視して投資先を選ぶ考え方です。単に利益を上げているかだけでなく、地球環境に配慮しているか、従業員や地域社会との関係は良好か、社会に良い影響(インパクト)を与えているか、といった点が評価の対象になります。自分の大切なお金が、より良い社会の実現に貢献することにつながる、新しい投資のスタイルとして世界的に注目されています。
29. 「ポイント投資」
現金ゼロで始められる投資の練習場
普段の買い物などで貯まったポイントを使って、投資信託や株式などを購入できるサービスです。実際に現金を使うことなく投資を体験できるため、「投資は怖いけど、少しだけ試してみたい」という人にぴったりの練習場になります。ポイントで得た利益は現金化できる場合もあり、投資への第一歩を踏み出すきっかけとして、多くのフィンテック企業がサービスを提供しています。
30. 「ロボアドバイザー」
自分だけの運用プランを提案してくれるAI執事
いくつかの簡単な質問に答えるだけで、アルゴリズムやAI(人工知能)がその人に合った資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を自動で提案し、運用まで行ってくれるサービスです。「何に投資すればいいか分からない」「自分で運用するのは面倒」という悩みを解決してくれます。まるで、お金に関する執事がそばにいてくれるような感覚で、専門的な知識がなくても手軽に本格的な資産運用を始められます。
31. 「暗号資産」
国に縛られない新しいデジタル資産
インターネット上で取引される、デジタルな資産のことです。特定の国や中央銀行によって管理されていないのが大きな特徴で、ブロックチェーンという技術によってその取引の信頼性が担保されています。「ビットコイン」などが有名で、大きな値上がり益が期待できる一方、価格変動が非常に激しく、ハッキングなどのリスクも伴います。投資対象としては、極めてリスクが高いことを理解しておく必要があります。
32. 「NFT」
デジタルなモノの「所有証明書」
NFTは「Non-Fungible Token」の略で、「非代替性トークン」と訳されます。コピーが容易なデジタルデータに対して、「これは世界に一つだけのオリジナルだ」ということを証明してくれる「所有証明書」のようなものです。デジタルアートやゲームのアイテムなどの売買に利用され、クリエイターを直接支援できる新しい仕組みとしても期待されています。これもまた、リスクを伴う新しい資産の形です。
33. 「フィナンシャル・ウェルビーイング」
心も体も、そしてお金も健やかな状態
「ウェルビーイング」とは直訳すると「幸福」ですが、一時的な感情ではなく、身体的、精神的、そして社会的にすべてが満たされた、持続的に良好な状態を指す言葉です。健康な体や良好な人間関係と同じように、将来のお金に対する不安がなく、健全な家計を築けている状態をさす「フィナンシャル・ウェルビーイング」も、豊かな人生を送る上で欠かせない要素の一つ、という考え方が広まっています。
Scene 5:
経済の「なぜ?」がわかる言葉
自分の資産がなぜ増えたり減ったりするのか。その背景には、日本や世界の経済という大きな川の流れがあります。ここでは、ニュースの裏側にある「なぜ?」を解き明かすためのキーワードを紹介します。経済の言葉がわかると、世の中の出来事がもっと立体的に見えてくるはずです。
34. 「インフレ」
モノの値段が上がってお金の価値が下がること
インフレーションの略で、世の中のモノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇する現象のことです。例えば、今まで100円で買えたジュースが110円に値上がりしたら、それはインフレの一端です。物価が上がると、同じ金額で買えるものが少なくなるため、相対的にお金の価値は下がってしまいます。適度なインフレは経済の成長に必要とされていますが、自分の資産を守るためには、この動きを意識しておくことが大切です。
35. 「円高と円安」
日本円と世界のお金のパワーバランス
ニュースでよく聞く「円高」「円安」。これは、円と外国の通貨(例えば米ドル)を交換するときの比率のことです。1ドル100円が1ドル90円になれば「円高」、110円になれば「円安」です。円高のときは海外製品を安く買えますが、海外に投資している資産の円換算額は目減りします。逆に円安のときはその逆。どちらが良い悪いというわけではなく、状況によって影響が変わるもの、と覚えておくとよいでしょう。
36. 「金利」
お金を貸すとき・借りるときの「レンタル料」
金利とは、お金の貸し借りをする際に発生する「レンタル料」のようなものです。銀行にお金を預けると利息がもらえるのは、私たちがお金を銀行に貸しているからです。この金利は、景気が良いと上昇し、景気が悪いと下降する傾向があるため、「経済の体温計」とも呼ばれます。日本銀行が金利を上げたり下げたりすることで、経済全体の動きをコントロールしようとしているのです。
37. 「GDP」
その国の経済活動の大きさを表す成績表
「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」と訳されます。一定期間内に、その国の中でどれだけのモノやサービスが生み出され、付加価値が生まれたかを示す指標です。簡単に言えば、国全体の儲けの合計額のようなもの。GDPが昨年よりも増えれば「経済が成長した」と評価されます。日本のGDPがどうなっているかは、内閣府が定期的に発表しているため、確認してみましょう。
38. 「日経平均株価」
日本の景気を映す代表的な鏡
日本を代表する225社の企業の株価を基に算出される、日本の株式市場で最も有名な株価指数です。ニュースで「今日の株価は…」と言われるときに、まず登場するのがこの指数。その動きを見ることで、日本経済全体の景気の良し悪しを大まかに把握することができます。ただし、選ばれた225社の影響が大きいため、市場全体の実態とは少し違う動きをすることもあります。
39. 「TOPIX」
より幅広く市場全体の値動きを示す指数
「Tokyo Stock Price Index」の略で、「東証株価指数」とも呼ばれます。日経平均が225社を対象としているのに対し、TOPIXは東京証券取引所のプライム市場に上場するほとんどの国内企業の時価総額を基に算出されます。そのため、より広く日本の株式市場全体の動向を反映していると言われています。日経平均とTOPIX、両方の動きを見ることで、より立体的に市場を捉えることができます。
40. 「金融緩和」
景気を良くするための「アクセル」役
中央銀行(日本の場合は日本銀行)が、世の中に出回るお金の量を増やしたり、金利を下げたりして、景気を刺激しようとすることです。企業がお金を借りやすくなったり、人々がお金を使いやすくなったりする環境を作ることで、経済活動を活発にさせるのが狙いです。車で言えば、景気というエンジンの回転数を上げるための「アクセル」のような役割を果たします。
41. 「金融引き締め」
過熱した景気を冷ます「ブレーキ」役
金融緩和とは逆に、中央銀行が世の中に出回るお金の量を減したり、金利を上げたりすることです。これは、インフレが行き過ぎたり、景気が過熱しすぎたりするのを防ぐために行われます。お金を借りにくくすることで、過剰な投資や消費を抑え、経済の安定を図るのが目的。こちらは、スピードが出すぎた景気を落ち着かせるための「ブレーキ」のような役割と言えるでしょう。
42. 「債券」
国や会社が発行する「借用書」
国や地方自治体、企業などが、多くの人からまとまった資金を借り入れるために発行する「借用書」のようなものです。株式と違い、あらかじめ利率や満期日(お金が返ってくる日)が決まっているのが特徴。一般的に、株式に比べて値動きのリスクが低いとされるため、資産を安定的に運用したい場合にポートフォリオの一部に組み入れられることが多い金融商品です。
43. 「為替レート」
異なる通貨を交換するときの「比率」
日本円を米ドルに、米ドルをユーロに、といったように、異なる国の通貨を交換するときの取引価格(比率)のことです。このレートは、各国の経済状況や金利の差、貿易の状況など、様々な要因によって常に変動しています。海外旅行に行くときだけでなく、輸入品の価格や、海外に投資している資産の価値にも直接影響するため、グローバルな経済を考える上で欠かせない指標です。
Scene 6:実践派が知っておきたい投資の考え方
ここまでで基礎やニュースで見かける言葉が整理できたら、次は一歩進んで「どう考え、どう行動するか」。実践の現場で役立つ視点や判断の軸をわかりやすくまとめました。自分のスタイルに合う考え方を取り入れて、ぶれない投資判断につなげていきましょう。
44. 「ボトムアップ・リサーチ」
個別企業の足元から未来を探る方法
経済全体の流れ(トップダウン)を分析するのではなく、一社ごとの事業内容や業績を丁寧に調べるやり方です。推しの活動をSNSや記事で追いかけて「この人は絶対伸びる」と確信する感覚に近いもの。市場全体に左右されず、自分が選んだ企業の強みに根拠を持てるのが特徴です。
45. 「エンゲージメント・ファンド」
対話で企業を育てる投資
投資家がお金を出すだけでなく、企業と建設的に話し合い、経営改善や社会課題への取り組みを後押ししていくファンドです。単なる株主ではなく、伴走者のように関わるスタイル。投資先の株価上昇だけでなく「企業の未来が良くなること」に価値を見いだしています。
46. 「バリュー投資」
割安な企業を長期で育てる考え方
本来の価値より低く評価されている株を見つけて投資し、時間をかけて市場の評価が追いつくのを待つスタイルです。堅実で長期的な資産形成に向く方法で、世界的な投資家ウォーレン・バフェットが実践していることで有名です。
47. 「バリューギャップ」
株価と本当の価値のズレ
企業の持つ実力や資産に比べて、株価が安すぎるときに生まれる差を指します。フリマアプリで「本当はもっと高く売れるのに、今は値下げされている」アイテムを見つける感覚に似ています。このギャップを見抜くことが、投資のリターンに繋がります。
48. 「バリュエーション」
株の"値段"を見極める作業
株や企業が「高いか安いか」を判断するための評価全般を指します。PERやPBRといった指標が代表例で、将来の利益や資産を考慮して“妥当な価格”を見積もります。感覚ではなく数字で冷静に判断するための道具です。
49. 「参入障壁」
ライバルが簡単に入ってこれない"守りの壁"
ある企業が市場で優位に立ち続ける理由の一つが、この「参入障壁」です。ブランド力、特許、流通網の強さ、規模の大きさなどが壁となり、新しい競合が簡単に入ってこられません。参入障壁が高い企業は、長期的に安定した収益をあげやすいとされます。
50. 「ファンダメンタルズ」
企業の"地力"を示すもの
業績や財務状況、事業モデルなど、その企業が本来持っている基礎的な実力のこと。株価の短期的な上下ではなく、長期的に成長できるかどうかを見極める材料になります。受験勉強で言えば、その人の「地頭」や「基礎力」にあたる部分です。
言葉がわかると、未来の選択肢が広がる
たくさんの言葉に出会って、少しだけ投資の世界が身近に感じられるようになったのではないでしょうか。言葉を知ることは、ゴールではありません。難しいと感じていたニュースの意味が分かったり、友人との会話に自信が持てたり、自分のお金の使い方について見直してみたり。その一つひとつの小さな変化が、あなたの見える世界を広げ、新しい選択肢を与えてくれるはずです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「投資」が自分の未来をデザインするヒントになるとしたら……。推し活するみたいに、自分の未来に“投げ銭”してみてはいかがでしょう?
むずかしそうな投資をTABI LABO流に解釈した、特集「投資で広げる、自分の世界」。
ぜひ、併せてご覧ください。
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