村に生える「へんなみかん」から始まったサクセスストーリー

“飛び地”をご存知でしょうか?行政はどこかの県に所属していながら、地理的には他のどの地域にも接していなく、独立している土地。日本唯一の飛び地の村・北山村は和歌山県にあります。

村面積の97%が山林という北山村では、人々の生活の場はわずかに残された平地。見渡す限り山、山、山の厳しい気候で育つ、ある一本の「へんなみかんの木」から、村の未来は変わりました。

ある村人の庭に
一本だけ生えていた「へんな木」

その「へんな木」の持ち主は、村人の福田国三さん。子供の頃から「へんなみかんだけど、他のものより美味しい」と思っていたと言います。邪気を払うことから村では「じゃばら」と呼ばれ、縁起物として慣れ親しまれた味。その味をもっと広めようと福田さんが立ち上がったのが、物語のスタートでした。

しかし、村の人々はその活動に見向きもしません。福田さんが活動を始めてから数年間、なかなか注目を集められず苦心する日々が続きました。それでも情熱を持ち続けた福田さんに、ある“ビッグニュース”が訪れます。

「へんなみかん」は
世界のどこにもないみかんだった!

福田さんの熱意に少しずつ動き始めた村が、みかんの分類で有名な権威者・田中論一郎博士に調査を依頼。すると、じゃばらは日本は元より、世界でも類のないまったく新しい品種であることが分かったのです。 

さらに、さまざまな専門家に依頼し、特性や味について解明。じゃばらは江戸時代から分布していたゆずと九年母(くねんぼ)、紀州みかんなどの自然交配種で、その独特な味は専門家からも高い評価を得ます。そしてついに村は、農園の規模を拡大してじゃばら栽培へと踏み切ることにしました。

革命のきっかけはWeb事業への進出

しかし、特産品として販売を始めてから10年もの間、売れ行きが伸びずに苦難の時代を過ごします。
その窮地を脱するきっかけとなったのが、Web事業への進出です。たった1人の農家から始まったじゃばら産業も直販サイトや大手ネット通販を駆使することで噂はぐんぐん広がり、収穫前に予約受付が終了するほど人気に。今や9haのじゃばら農園を約40人の従事者で管理する一大産業にまで発展しました。

最近では、じゃばらに多く含まれるナリルチンという成分がアトピーなどのアレルギー性皮膚炎や花粉症などの症状緩和に期待できるとテレビの人気番組などでも紹介されています。

果実だけでなく、さまざまな加工品も

キュッと広がる酸っぱい匂いは、確かに邪気も逃げていくような爽やかさ。そんなじゃばらの味を生かし、果実にとどまらずさまざまなじゃばら商品を展開しています。
ジュースはもちろん、ポン酢やジャム、パウンドケーキetc。新しいアイディアを次々に形にし、村の未来を担うじゃばらの可能性は広がる一方。

まさに「邪気を払う」不思議な果実。今後もじゃばら成分配合の商品に期待です!

Licensed material used with permission by 北山村じゃばら村センター
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。