茨城にある、日本で一番「LGBT」フレンドリーな田んぼ
「新しい価値観や制度が生まれるのはいつも都会だから、田舎で暮らしたくても、LGBTの仲間を求めると上京するしかない」
そう考え、あまり好きでなくとも都会へと住む場所を変えるLGBTの人はたくさんいると聞きます。やはりそのロールモデルを作り上げるのは、いつも都会。
…しかし今、その考えを一新して地方から成功事例を作り出そう、という取り組みが茨城で起こっています。それが、農業プロジェクトです。
地方にも、LGBTが
ありのままでいられる場所を
「世の中と “LGBT” のグッとくる接点をもっと」というコンセプトを掲げて活動している任意団体『やる気あり美』。
その接点作りのひとつとして、トランスジェンダーの人々のトータルサポートを行う株式会社G-pit net worksと協同で、茨城県笠間市にて「日本一 LGBTフレンドリー」を目指した農家を作るプロジェクトを開始しました。
農業をはじめとする第一次産業は、年々就労人口が減少。その一方で、LGBTがありのままでいられる職場もまだ数多くは存在しません。そしてそもそも、LGBTの人が自分を隠すことなく仲間と触れ合える場所は、どうしても都会に偏りがち。
そんな現状を打破するべく、このプロジェクトは地方で多様なセクシュアリティの若者が働ける場所を育て、日本社会の根底を支える「農業界」に貢献することを目標としているそうです。
体を動かす「農業」は
誰もが「繋がれる」もの
先駆けとして、今年の6月に2回、契約農家での田植えイベントが開催。プロジェクトに賛同する60名が参加し、農作業によってさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが「偏見を超えて繋がる瞬間」を体験することができたといいます。
「農業という体を動かす協同作業は、誰もが互いの違いをこえてつながっていくのにピッタリだと思いました。何かを共に作り上げる過程の中で、LGBTであってもなくても人は分かり合いつながっていけるはずだと、私たちは信じています」
と、代表の太田尚樹さん。
人と人が関われば、たくさんの感情や思いが生まれるのは当然です。最初からすべてをさらけ出したり認めあったりするのは難しいかもしれませんが、農作業を通して「さまざまな人同士が繋がる瞬間」を積み重ねていくことができます。
それは、「都会ではできないLGBTが生きやすい場所を作る取り組み」でもあり、ここからも新たな価値や制度が生まれるはず。
人と人とが繋がる
農業体験でできた「お米」
現在、農家プロジェクトのためにクラウドファンディング中。
集まった資金は、WEBサイト制作費やお米パッケージ制作費、農家プロジェクト・リーフレット制作費などに利用される予定です。
誰もが、自分の好きな場所で自分らしく、多様性を認めながら生きていける社会を作るアイデアとして注目を集める「LGBTフレンドリー農家プロジェクト」。
お互いが認めあえる場所、その一歩として、このプロジェクトがシェアされ、成功していくことは、大きな可能性を感じざるを得ません。