スーパーの陳列棚を「国産品」だけにしてみたら…。

 まずは、@heinzingerさんがInstagramにアップした、店内ツアー動画を観てほしい。どこにでもありそうなスーパー。が、なきゃいけないモノたちが、そこに「ない」。

"Tag der Vielfalt"
「共存」について考えてみる

災害でも起きた直後かと思うくらい、すっからかんの陳列棚。どこもほとんど商品ナシ。ごく一部、ジュース類やパンなどは並べられているが…。冷凍食品のコーナーに至っては、もはや開店休業状態。

ここは、ドイツの大手スーパーチェーン『Edeka』ハンブルク店。8月の某日、1日限定で"国産品しか置かない"という、大胆な行動に出て話題になった。国産品だけにしたら、こんなにモノがなくなってしまうのか…。

当然、この日は大赤字だったはず。それでも彼らがこれを決行したのは、<国内生産量の危機>を伝えたかったから。普通ならこう思っても不思議ない。ところが、真意は別のところにあった。

空棚に置かれたポップに、こんなメッセージが。

「ドイツが多様性を失った時、こんなにも生活は貧しくなる」

「Edekaは、様々な国の力を借りて価値提供をしている」

人種差別をしたり、違いを受け入れられない社会は貧しいということを、国内シェア率No.1を誇るスーパーが世間に訴えたわけだ。

あなたなら、
「賛成」できますか?

ドイツは2015年以来、シリアなどから100万人以上の難民・移民を受け入れてきました。「共存する」という姿勢を世界に示してきた。ただ、すべての国民がこれをポジティブに捉えているわけではないようだ。

ショッキングな事件が起きたのは、2015年の大晦日のこと。西部の都市ケルンで、大規模な性犯罪が報道された。数百人の女性が、集団でレイプや強盗などの被害を受けたのだ。加害者は主に北アフリカ系の17歳から30歳。約1,000人もの男性が集まって、周辺の女性を取り囲んだという。

移民による犯罪が増加しているドイツで、それでも「多様性を大事にする心を忘れてはいけない」という主張は、誇らしいと称えられる一方で、反対の声も。

『Edeka』はこのイベント実施日を「Tag der Vielfalt(多様性の日)」と名付けたようだが、果たして来年も決行されるかどうか……。

反対と賛成どちらの思いも強いぶん、今はまだ、和解という道はほど遠いように感じてならない。

Reference:@heinzinger
Licensed material used with permission by Holger Krupp
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