なぜ、世界は「錦鯉」に夢中なのか?

「錦鯉(NISHIKIGOI)」が、すごいことになっている。

新潟県の中越地方 ——。

そこで行なわれる池上げ(ときに4mを超える積雪に備えて、冬の間は野池から上げる)や品評会などのイベントには、ヨーロッパ、北米、アジアなど、さまざまな国から錦鯉ファンが集まり、そこにある「わびさび」や「色気」に酔いしれているという。

ウワサには聞いていたけれど、正直、現地の熱は想像をはるかに超えるものだった。マニアだけの嗜み、という言葉では済まないほどの広がりを、「美しさ・存在感・未来」という3つのワードで追ってみた。

富士山や桜とも違う。
錦鯉の「美しさ」

錦鯉の美しさや魅力とは、なんだろうか?

紅白・大正三色・昭和三色の「御三家」と呼ばれるおなじみの模様もあれば、変わった模様もたくさんあり、100以上の品種があるという。そこで、単刀直入にプロの方に聞いてみた。答えてくれたのは、養鯉業者の「錦鯉新潟ダイレクト」さん。

「日本にはさまざまな『美』があると思います。とくに海外の方から注目されるもので言うと、桜や富士山などが挙げられるかもしれません。その美しさを自分の国へ持ち帰ることは難しいのですが、錦鯉は、管理さえしっかりできれば、自分の手で飼い、育て、愛でることもできます。生き物なのでエサをあげれば寄ってくるという可愛さもありますし、飼育方法次第で、模様やサイズが変わってくるという楽しさもあります。ずっと眺めていたくなりますし、泳ぐ芸術だと思いますね」

品評会においては当然、模様の対称性やバランスの良さなどが基準になるが、錦鯉の魅力はそれだけではない、と。

そんな錦鯉に魅了された世界中のファンやディーラーが新潟の地を訪れるという。錦鯉新潟ダイレクトさん曰く、このレベルまで育つ錦鯉は、50,000匹のなかから100匹ほど(約0.2%!)で、さらにそこから、賞を獲るような特選品が生まれるそう。

国内の需要は住宅環境などの変化で縮小傾向にあるものの、現在お客さんの約90%は外国人。なかには数百万〜数千万円で取引きされるものも出るほどだ。世界約50ヶ国に輸出され、新潟県からの輸出額は日本全体の約半分、18億円程度と推定されている(2015年)。

「錦鯉のおかげで、世界中に友だちができている——。そんな感覚なんです」

突然変異か、奇跡か。
錦鯉の「存在感」

そもそも錦鯉は、突然変異と言うべきか、美しい自然が生んだ奇跡と言うべきか、今から約200年前の江戸後期に誕生したと言われている。それまで冬のタンパク源として飼育されていた真鯉が、「錦」をまとったのだ。

具体的な誕生場所や原因は、書物などに残っているわけではなく定かではないという。ただ、先人から託された錦鯉は地域の人たちの手によって改良され、その後も多くの品種を生み出した。

2016年には、長岡・小千谷が「錦鯉発祥の地」として、静岡のわさびや、志摩の真珠などと並び、日本農業遺産第1号に認定された。ポイントは、ミネラルをたっぷり含んだ「雪解け水」の存在。水の少ない山間地で、横井戸や雪の恵みを活かした稲作や養鯉が伝統的に行なわれてきたのだ。

昔の人は、よくこう言ったという。

「いい鯉が育つかどうかは、その土地の米を食べれば分かる」

と。

錦鯉は、2004年にこの地を襲った新潟県中越地震からの「復興の象徴」とも呼ばれていて、10年以上経った今では多くの生産者が「地震の前より生産が増えているのではないか」というほど大切な存在になっており、2017年には「県の鑑賞魚」にも指定されるなど、新潟県のシンボルともなっている。

ますます広がる。
錦鯉の「未来」

ここ最近はテレビなどで取り上げられることも多く、徐々に国内での認知度も高まってきたとはいえ、海外からの視線のほうが熱いという印象は拭いきれない。

たとえば、輸出量においてはこの10年で約2倍にまで伸びていて、多言語対応している海外のサービスなどもあり、まだまだ拡大していきそうだ。小千谷市で毎年開催されている錦鯉品評会の参加者も、年々外国人の割合が多くなっているという。

さらに、14歳にして「鯉師」を目指す新潟県の中学3年生、菊池景斗くんの存在も、生産者たちの間では明るい話題のひとつだ。養鯉場に通いながら鯉師としての勉強をしつつ、英語学習にも積極的。彼のような「未来の鯉師」が、さらにグローバルなつながりを強くしていくのかもしれない。

200年以上続いている「錦鯉」というカルチャーは今、世界、そして次の世代へと、さらなる広がりを見せつつある。

「珍しい動物や植物を見てみたい!」という目的で、「国立公園」を訪れる人も多いのではないでしょうか。そんな願いが叶えられそうな、中部地方にある6つの「国立公...
岐阜県関市の山あいに、カメラ愛好家が注目する“幻の池”があります。わざわざ、遠方からこの地に足を運ぶ観光客が後を絶たない人気の秘密は、根道神社境内の前に広...
厳島神社、鳥取砂丘、出雲大社など、人生で一度は訪れてみたい観光スポットが「国立公園」の区域内に位置している中国地方、四国地方。日本を代表するような魅力的な...
岐阜県との県境に位置する、愛知県瀬戸市。愛知県の県庁所在地・名古屋市から北東に約20kmと、アクセスの良いところにある瀬戸への行き方、観光スポット、旨い店...
ヨーロッパやカナダで販売されているお菓子、ワインガム。ガムというよりも、グミみたいな食感で、国によってはかなりメジャーな存在です。
2015年にニューヨーク5番街にあったフラッグシップ店が惜しまれながら閉店。この度ロックフェラープラザにカムバックです。あの巨大鍵盤「THE BIG PI...
一度見たらクセになっちゃう。そんな中毒性のあるビジュアルを描いているのは、イラストレーターのChloe McAlister。彼女の作品からは、ロックの匂い...
新潟県の西蒲区周辺に伝わる漬物料理が、この「きりあえ」です。細かく切った大根の味噌漬けに柚子の皮やすり胡麻、砂糖などを和えた郷土料理で、ふりかけのようにし...
関東地方にある「国立公園」の注目ポイントは、ずばり「山」です。美しい山々を前に景観を楽しむも良し、ハイキングで汗を流すも良し。東京近郊にありながら、「山の...
新潟・佐渡島は、米、魚、日本酒、野菜、果物とおいしい食材に恵まれた場所。特に農産物は、日照時間や季節による温度差がほどよく、”なんでもよくできる”といわれ...
僕がこの記事の中で「Love Symbol #2」を使っていることをお許しいただけるといいのですが……。
まだまだ知らない日本の歴史や文化ってたくさんありますよね。本や映像で学ぶこともできますが、機会を見つけて現地まで足を運んでみませんか? 日本の歴史がたくさ...
牧之原台地を中心に、お茶の生産が盛んな静岡県島田市。静岡県の中央に位置するこの街は、静岡駅や掛川駅、浜松駅などの新幹線が停車する駅からのアクセスが便利です...
千葉県成田市といえば真言宗智山派の大本山「成田山新勝寺」があり、全国からたくさんの参拝者が訪れます。その成田山のお土産品として大人気なのが「てっぽう漬け」...
日本の「国立公園」と聞いてもあまりピンと来ない人が多いかもしれませんが、全国で34ヶ所(2018年10月現在)あり、国土面積の5.8パーセントを占めている...
女性が激しくお尻をフリフリする動き。あれはトゥワーク(Twerk)と言うダンスのひとつ。そして、それに着想を得てつくられたのが、今回紹介する「Twerk ...
新潟県、佐渡島(さどがしま)。現在は島全体が佐渡”市”となり約5万6,000人が暮らしているが、ほかの地方と同様に、人口減少や高齢化が進んでいるという。し...
東京駅から約80kmのところにある、栃木県小山市。「小山(おやま)ってどこにあるの?」という人のために、渡良瀬遊水地や城山公園などの定番スポットから、ナマ...
「燻製が好きすぎて起業する人がいる」と聞き、興味を覚えた。雪が降り続ける秋田県鹿角市。起業を目前に控え、溢れんばかりの希望を抱えた松村 託磨(まつむら た...
水や土壌、気候に恵まれていることから、コシヒカリや山の芋など食材の生産地として有名な兵庫県丹波市。ここは全国的に知られている丹波黒大豆、丹波栗など、美味し...
世界でも珍しい石灰質の土壌が日本にも数カ所存在していますが、そのうちのひとつが岡山県新見市。同市哲多町にあるワイナリー「domaine tetta(ドメー...
日本の自然をテーマにした動画はよく見かけますが、山陰地方にフォーカスしたものは少ないように感じます。これは「山陰地方の自然と文化の魅力」が、これでもかって...
Googleマップで検索すると、ハートの形をしている沖縄県南城市。ここには、海や自然を満喫できるところだけでなく、沖縄の神話にまつわるスポットもたくさんあ...
新潟市の広大な田園風景を抜けると、鬱蒼とした森にひっそりと佇む建物に出くわします。周りの景色に溶け込むデザインはまるで美術館のようでもあり、海外でも注目さ...