世界の若者1200人の「マイルーム」。その人生まで鮮烈に。
私は世界じゅうの若者のベッドルームを撮影した。55カ国、1,200人。
この写真集には、その中から84名の部屋を掲載している。
2018年3月16日に発売された写真集、『My Room 天井から覗く世界のリアル 』は、フォトグラファーのJohn Thackwrayによる、6年にも渡る撮影プロジェクトの集大成。
とはいっても手法は単純で、彼は全世界の「若者の自室」をただただ、天井から同じ構図で写真に収めていっただけなのだ。
でも出来上がったものに、世界はざわめいた。
宮殿暮らしも、その日暮らしもいた。
各々の写真の背景には、物語、インスピレーション、指紋のように個性的な特徴があった。
私は世界でもっとも恵まれていない人々にも、もっとも特権のある人々にも会う機会を得た。
一見何の変哲も無い「日常」の「部屋」の羅列。でもそこからは鮮烈に、生々しく世界の縮図が浮かび上がっていた。同時に、ひとりひとりの血の通った人生も。
今ここで紹介できるのは、ほんの一部だけ。それでも部屋、表情、そして入れてみた少しのヒント、などの隅々まで目を通して、被写体たちがどんな人生を送ってきたか、世界のどんな立ち位置にいるか、何よりどんな人間か、予想してみて欲しい。
銃社会がフツウ。
人を殺すのは武器じゃなく、人。
(22歳 アメリカ)
育ちはジャングル。
大学なんて前代未聞だった。
(24歳 ペルー)
独特の文化が自慢の国、でも
「進路に芸術」は止められた。
(26歳 日本)
初対面の人とのお見合い婚が
「不名誉だ」なんて。
(25歳 インド)
カーストの最下級、不可触民。
(18歳 インド)
努力せず楽しめて、家も大きい
(23歳 アラブ首長国連邦)
農業は嫌い。絶対、大嫌い。
でも足はつねに泥の中
(18歳 ケニア)
14歳で組織に。
人を刺し殺したことも。
(25歳 南アフリカ)
「選ばれるもの」は、ほんのわずか
(21歳 フランス)
みんな生きていて、
世界はこんなにも鮮やかだ。
どう?あまりの多様さ・不平等さに驚いた人も多いのでは。これが世界のリアルで、みんなここで毎日息していて、これが「日常」なんだ。
彼らが本当のところどんな人かって答え合わせは、実際に本を手にとって欲しい。もっともっと紹介したかった写真も載ってるし、彼らのコメントや、人生、哲学もきちんと述べられているから。
結びにも、写真集の中の少女の言葉を引用しよう。
「私にとって部屋は、人生の大部分を象徴している場所。
なぜならそこは私が寝る場所であって、くつろぐ場所でもあり働く場所でもあり、そして何よりも、夢を見る場所であるからです」
では、あなたの部屋はどんな部屋?