ジーンズに「ボタンフライ」と「ジッパーフライ」がある理由
ワークウエアとしてその歴史をスタートさせ、今ではカジュアルファッションの代表的なアイコンとなったデニム素材のパンツ──ジーンズ。
編み上げやフックを使用したものなど、ごく稀(まれ)にデザイン性重視のものはありながらも、フロントの開閉部分(フライ)は大きくふたつのタイプに分けられます。
スライドファスナーを用いたジップフライと、ボタンとホールによって構成されているボタンフライです。
「シンプルな構造のボタンフライのほうが古くて、ジッパーは新しい技術のはずだから、それって歴史の違いでしょ?」
たしかに、それも間違いではありません。
でも、ジップフライとボタンフライの使い分けには、ほかにも大きな理由があるんです。
先にもお伝えした通り、ジーンズはそもそもアメリカの鉱山労働者のために開発されたワークウエア=作業着です。スコップやショベル、ハンマーといった作業工具を扱うためには、手を保護するための厚手のグローブを着用する必要があります。
......さて、硬くゴワついたグローブをはめた手でジーンズのフライの開け閉めをするのに、ジップとボタン、どちらが便利だと思いますか?
そうです、ジップの小さな金具(引き手)をつまむよりも、大きなボタンを大きなボタンホールに通すだけのボタンフライ方式のほうが圧倒的にスムーズでスピーディーな開閉が可能なんです。
そんな理由から、現在でもタフな現場で働く作業員たちのなかには、ボタンフライのジーンズの熱狂的なファンも多いのだとか。
「形態は機能に従う」──。
モダンデザインの基礎とされるそんな言葉を体現しているのが、ジーンズのボタンフライなんです。
※上記、諸説あり。
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