今、なぜ「植物性ミルク」が選ばれているのか?
昨今、人気急上昇の植物性ミルク。オーツ、アーモンド、ライスミルクにココナッツミルク……。輸入食材を扱うお店だけでなく、いつものスーパーでさえ、耳馴染みの薄いミルクが次々と登場してきます。
牛乳に取って代わる選択肢としてのミルク。では、なぜ今、植物性ミルクが求められているのか?この記事では、知っておきたい植物性ミルクの基本から、第4、第5のミルクとして今後注目される“ネクストミルク”までを紹介していきます。
植物性ミルクが求められるワケ
©︎mlkd.ph / Instagram
植物性ミルクあるいはプラントベースミルクは、その名の通り植物性の素材から作られたミルクのこと。
日本人にもお馴染みの豆乳(ソイミルク)はもともと大豆ベースの植物性ミルクですが、このほかナッツ、種子、雑穀、米、その種類は多岐に渡ります。
さらに細分化していけば、砂糖やメープルシロップなど甘さを添加したもの、バニラエッセンスなどのフレーバーを加えてより飲みやすくしたものなど、バラエティはじつに豊富です。
栄養たっぷり、植物性ミルクはヘルシー!
元来、これらのミルクは、乳糖が消化できない乳糖不耐症や牛乳アレルギーをもつ人、乳製品を摂取しないヴィーガンの人たちのための、代替ミルクとして取り入れられるようになったもの。
植物由来のミルクはノンコレステロールで、牛乳と比較しても脂肪分やカロリーが低いものが多くヘルシーという特徴があります。そうしたメリットが欧米の健康意識の高い人たちの間で徐々に広まっていきました。
より健康的に、より素材本来の味わいを。やがてこうした消費者志向に合わせるように、植物性ミルク市場は一気に拡大。いまや、“ミルクは選ぶ時代”に突入したといっても過言ではありません。
牛乳より環境への負荷が少ない
アメリカを中心に加速する「牛乳離れ」。その背景には栄養比較だけでなく、環境倫理の観点からも植物性ミルクを選ぶ大きな要因となっていることがうかがえます。
すべての植物性ミルクに当てはまることではありませんが、牛乳の生産過程において乳牛は、植物性ミルクのおおよそ3倍近い温室効果ガスの排出があり、生産のために必要な土地や水の使用量においても、植物性ミルクよりもはるかに環境への負荷が大きい事実があります。
近年、環境保全やサステイナブルの観点から、食生活を見直す人が増えています。食においてもできる限り環境負荷の少ない選択を。食のサステナビリティへの関心が、身近なミルクの選択肢に大きな影響を与えていることがわかります。
過剰摂取に注意、バランスよく食生活に取り入れる
ところで、いいこと尽くめのようにも思える植物性ミルクですが、牛乳と比較すればまだまだ高価なことは否めません。単純に牛乳に取って代わる代替品と考えるより、選択肢を広げるという意味合いで食生活に取り入れることをおすすめします。
また、過剰摂取が逆効果となってしまうことも。たとえば油分を多く含むココナッツミルクはほかのミルクよりカロリーも高め。ライスミルクは過剰摂取すれば当然、糖分過多となります。ビタミンやミネラルが豊富なアーモンドミルクも、牛乳や豆乳と比較すればタンパク質や炭水化物が不足しがち。
それぞれ、一長一短。メリットとデメリットをよく理解して、バランスよく摂取するようにしましょう。
自分に合う植物性ミルクはどれ?
今すぐ試せるオススメ商品
次々と新たな植物性ミルクが登場するなかで、「どれを選べばいい?」という質問にお応えするべく、ここからは代表的なミルクの紹介とともにそれぞれの特性についてみていきましょう。
01:
オーツミルク
植物性ミルクのなかでも、口当たりがもっともミルクに近いのがオート麦から作るオーツミルク。栄養価が高く低カロリーというメリットから人気が広まりました。水溶性食物繊維が含まれるオーツミルクは、消化もおだやか。
大豆アレルギー、ナッツアレルギーのある人でも安心して楽しめます。また、生産工程において水の使用量、CO2排出量ともに少ないエコフレンドリーなミルクという特徴もあります。
オーツミルクは、カフェにおいても代替ミルクの代名詞として使用されています。これは、植物性ミルクのなかでも牛乳に近い絹のような泡を作ることができ、温かい飲み物と混ぜても分離しないという特性がコーヒーにも適しているからではないでしょうか。
©︎minorfigures / Instagram
イギリス生まれの「Minor Figures」は、コーヒーとの相性を第一に考えて開発された、コーヒーカンパニー発の植物性ミルクです。昨秋には「ブルーボトルコーヒー」での取り扱いもはじまり、日本での知名度も上がりました。
有機オーツ麦で作られたミルクは食物繊維が豊富で低GI(血糖値の上昇がおだやか)、糖質も少なく、コーヒーのテイストを邪魔しないすっきり自然な甘さが特徴です。
「有機JAS認証バリスタオーツミルク」
1000ml
価格:840円(税込)
購入はコチラから
02:
アーモンドミルク
植物性ミルクの定番として定着しつつあるアーモンドミルク。栄養価が高く低カロリーという点では、こちらも引けをとりません。牛乳と比較しても、低カロリー、低糖質、そしてコレステロールはゼロ。脂肪分が気になる人にはぴったりのミルクです。
アーモンドは血行促進をはじめ、若々しさを保つのに必要なビタミンEの含有量は、全食品中トップクラス。美容の観点からもオススメしたいミルクです。
©︎thebridgebio / Instagram
北イタリアで1994年に誕生した「THE BRIDGE」は、創業以来オーガニック素材にこだわり続けるブランドとして人気。製造している穀物ドリンクはすべて有機栽培で育てられたもの。良質な有機アーモンドから作られた風味豊かなミルクは、クセのない飲みやすさが身上です。
砂糖や塩、乳化剤などを一切用いない、ピュアなアーモンドの香りが楽しめますよ。
「ピュア アーモンド ドリンク」
1000ml
価格:756円(税込)
購入はコチラから
03:
ピスタチオミルク
カシューナッツと同じウルシ科の植物ピスタチオには、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。また、体脂肪になりにくい不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸やリノール酸の働きにより、血中の悪玉コレステロールを減らし、生活習慣病の予防にも役立ちます。
クセがなくそのままでもおいしく飲めるピスタチオミルクですが、スムージーに加えたり、ホットチョコレートにも最適。乳や大豆アレルギーのある人にオススメです。
©︎137degreesclub / Instagram
タイの無添加ナッツミルクブランド「137 degrees」。ホールナッツを自社工場内で焙煎、粉砕してミルクを抽出するので、濃厚で香り高いミルクを実現しています。
100%ピュアピスタチオミルクではありませんが、カシューナッツミルク、ひまわりの種、ココナッツ花蜜を加えることで、香りと優しい甘さが特徴的なブレンドミルクに仕上げてあり、初めての人にオススメです。
『HARUNA 137 degrees ピスタチオミルクオリジナル』
1000ml
1076円(税込)
購入はコチラから
04:
ヘンプミルク
麻の実からつくられたミルク。体に必要な栄養素を豊富に含むことから、スーパーフードのひとつとして注目されるヘンプシードは、大麦やきび、粟などと並ぶ「八穀」のひとつとして、日本でも古くは縄文時代から食されきた穀物。
牛乳に近い白濁したミルクは少し苦さがあり、好き嫌いが分かれるところ。それでも、人間の体内では合成することができない必須アミノ酸を含む、20種ものアミノ酸を含んでいるほか、現代人が不足しがちなミネラルも豊富です。
©︎healthshopbrisbane / Instagram
「EcoMil」は、スペインの国家認定機関(ENAC)の認証を受けたナッツミルクブランド。ヨーロッパをはじめ世界38か国で親しまれています。
原材料に有機ヘンプシードのほか、有機ヘンプオイル、有機タピオカスターチ、ひまわりレシチンを原材料とした「有機ヘンプミルク 無糖」は、ヘンプミルクのなかでもクセが少なく、コクのある味わいが特徴です。
「EcoMil 有機ヘンプミルク 無糖」
1000ml
価格:980円(税込)
購入はコチラから
05:
ピーミルク
乳、大豆、ナッツ、グルテン、全てを含まない完全アレルギーフリーなピーミルク 。ここ数年、ソイミルクをしのぐ新たなプロテインミルクとして注目されています。
使用されるのは、主に「イエロースピリット」と呼ばれる黄えんどう豆。高タンパクなうえ、世界中で栽培がしやすく、乳、大豆、ナッツ系ミルクと比較して製造家庭における水の使用量が圧倒的に少なくて済むというサステイナブルな観点からもメリットがたくさん。
©︎mightypeauk / Instagram
日本にはまだ入ってきていませんが、英ヨークシャー出身の兄弟が立ち上げたブランド「Mighty Pea」に注目です。黄えんどう豆で作るミルクは、豊富なタンパク質にビタミン、ミネラル、食物繊維と、体に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
「Mighty Pea」
公式ページ:https://mightypea.co.uk/
06:
ココナッツミルク
ココナッツの種子の内側にある固形胚乳を煮出して作るココナッツミルク。エスニック料理に使う缶詰のものと性質は同じです。
アンチエイジングをサポートするビタミンCやビタミンEが豊富に含まれているほか、脂肪として体内に蓄積されにくい、中鎖脂肪酸を多く含むのがこのミルク。ただ、カロリーが高いのもココナッツミルクの特性。飲み過ぎには注意が必要です。
©︎isolabio / Instagram
イタリア国内で70%のシェアをもつ、オーガニック植物性ミルクブランドの「isola BIO」。すべてオーガニック認証を受けた素材を用いて、シンプルな味わいに仕上げるミルクが特徴です。
砂糖不使用のオーガニックココナッツミルクは、甘さ控えめでさっぱりテイスト。天然のカルシウムが含まれています。もちろんそのままで、料理にも最適です。
『オーガニックココナッツドリンク 無糖』
1000ml
価格:398円(税別)
購入はコチラから
意外とカンタン!
自家製「植物性ミルク」
植物性ミルクの主な原料は、メイン素材と水のみ。つまり自宅でも簡単に作れてしまいます。難しいレシピなんて必要ありません。自分流のアレンジを加えてオリジナルミルクなんていかがでしょう。
人気の「オーツミルク」「アーモンドミルク」に加えて、ネクストミルクと期待されている「ピーミルク」のレシピを紹介します。以下の記事を参考にして、自家製植物性ミルクで朝活を始めてみませんか?
まとめ
いまや、牛乳アレルギー、ナッツアレルギーの人たちや、ヴィーガンのための代替ミルクではなく、消費者の好みやライフスタイルやサステナビリティへの関心までもがミルクに反映される時代。
それぞれの植物性ミルクにあるメリット、デメリットをよく理解して、自分にあったミルクを見つけ、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょう?