沖縄から学ぶ、幸せで健康的な「長寿」の秘訣10選
長寿県で知られる沖縄(現在は長野県が第1位)。独特の食習慣や暮らしぶりは「世界的にも特質すべき点が多々ある」と、「Collective-Evolution」で記事にしたJessica氏の本業は内科医。彼女の医学的考察から見えてくるのは、本州の各県とは異なる土着のライフスタイルでした。
世界がお手本にしようとする
”沖縄パワー”の秘訣
日本の最南端・沖縄県。この島で暮らす人々は、昔から長寿なことで知られています。彼らの健康と精神性、他に類を見ないこの両者のつながりに、長寿のホットスポットと化している“秘密”があるのではないか。現に、百寿(100歳以上の人)のおじいちゃん、おばあちゃんの数が世界で最も多い地域のひとつ。10万人に5〜10人しか百寿がいないアメリカと比較しても、沖縄はその約10倍。
西洋的なものの見方をすれば、年寄り=不幸の始まりだとか、関節痛に悩まされるとか、認知症の心配といった、介護寄りの考え方に偏りがち。ところが、沖縄に暮らす長寿の人たちは本当に幸せそうで、多くの人が自分の人生を謳歌しているのです。
たとえば、パーキンソン病やアルツハイマー病、糖尿病、心臓病、自閉症さらにはガンといった疾病が、90歳を超えるまでほとんど聞かれないのも驚きです。これが面白いことに、もしも沖縄で暮らす人たちがアメリカ人同様のライフスタイルを実践したならば、彼らの寿命も私たちとほぼ変わらなくなってしまうだろう、ということ。遺伝子がその役割を果たしている訳ですが、「日常生活」つまりは、この島のライフスタイルそのものが長生きの秘訣であり、影なる“功労者”なのです。
2000年に実施された沖縄の長寿研究において、いくつかの魅力的な事実が紹介されていました。
01.
土地で取れた野菜は
栄養価満点!
ため息が出るほど美しいトロピカルアイランドですが、彼らの大地には大きな秘密がありました。まずは、植物の種類の豊富さです。一説には、赤道直下の島々と変わらないほどの豊かな自然に恵まれています。そのため、この地で成長するには、フィトケミカル(植物性化学物質)と抗酸化作用を、より高いレベルで植物自らが生成しなければならないのです。
これらの栄養素は太陽光から昆虫たちを守るだけでなく、動物たちも恩恵を受けているのです。こうしたフィトケミカルが活性酵素(フリーラジカル)を集め、体の炎症を抑えることにもつながります。沖縄の人たちは、こうしたオーガニックの野菜や果物を毎日、10種類近く食しているのだから、身体に悪いわけありませんね。
02.
野菜8:魚2、ときどき豚肉。
バランスのとれた食生活
沖縄の人々は、自分で育てた野菜中心の食生活が一般的。たとえば、祝いの膳のひとつにこんな献立があります。野菜をメインにした料理が80%、魚が20%、そこに豚肉が少々。もちろん、抗生物質もホルモンも、西洋式の残酷な飼育環境とも無縁です。
03.
沖縄の魂「ゴーヤ」は
スーパーフード!
穀物や根菜、サツマイモ、葉物野菜、さらには納豆や味噌といった発酵食品を日常的に食すことは、肝機能を整え、更年期障害の症状緩和にも役立てられると考えられています。閉経後の女性のトラブルには最適かもしれません。
さらに、沖縄を代表する野菜ゴーヤ。非常に苦いのが特徴ですが、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リン、鉄およびベータカロテンを含有する、まさにスーパーフード。糖尿病の治療薬としての可能性に注目が集まるポリペプチドPという、インスリンに似た化合物も含まれているのです。
04.
長寿の秘訣は“腹八分”
カロリー制限が当たり前
日本には、食べ過ぎを予防するための“腹八分”という習慣があります。これは、満腹にするのではなく、80%までに留めるというもの。今日、カロリー制限は「議論の余地がある」と見直す考え方が増えてきましたが、栄養が行き届いた上での制限には、潜在的に、寿命を延ばすことにつながっているとする見方の方が、正論となってきました。
05.
島国ならではの開放感。
毎日の運動でスッキリ
沖縄の人々は、健康のためという意識だけでなく、精神を安定させるためにも運動に励んでいます。ヨガのレッスンが終わった後の、あのスッキリ感を知っていますか?想像してみてください、サンゴ礁の青い海に囲まれたこの島での日々を。
多くのお年寄りが楽しんでいるのが、太極拳、沖縄拳法、ダンス、ヨガ、そこに自宅でのガーデニングが加わるんですから。
乳脂肪を多く摂取せず、野菜中心の食生活のためか、やや骨粗しょう症に悩む年配者もいます。それでも、陽を浴びながら屋外に出ることで、ビタミンDを吸収し、骨の活性化につなげることが十二分にできています。
06.
“なんくるないさー”
島時間でストレスフリー
沖縄に暮らす人々のストレス解消能力が非常に高いことが、調査結果より明らかになりました。“島時間”と呼ばれる彼ら独自の体内リズムと、隣近所同士の密接な関わり合いが、人々の心を支えているのです。この研究の結果、心臓疾患に起因する炎症性アミノ酸のホモシステインが少ないことからも、沖縄の人々の心臓リスクが、アメリカ人と比較しても最大約80%少ない事実が判明しました。
07.
向こう三軒みんなで看る
地域コミュニティーが
高齢者を支えている
この世に暮らす誰もが、愛する人や友人からのサポートを必要としています。沖縄の約8割以上のお年寄りが、サポートこそあれど一人暮らし(独居)もしくは、夫婦2人の生活を続けているのには驚き。また、コミュニティ・センター(デイサービス)に通うことで、地域との連帯感を大切にしています。この土地の高齢者ケア施設もまた、彼らに敬意を払い、彼らから学ぼうとする姿勢を大切にしています。介護施設にも、連日家族が訪れ、園芸を一緒に楽しんだり、歌や踊りで盛り上がるなど、精神と身体の癒しの場となっているようですよ。
08.
どんなに歳をとっても
人生は価値がある。
“生きがい”を見つける旅
日本語で人生の目的を意味する言葉に“生きがい”があります。沖縄では、リタイア(定年退職)という概念はありません。この島の概念のひとつ。それが、「いくら歳をとっても人生には価値がある」というもの。いつでも助け合い、幾つになっても自分の使命を全うすること。
09.
歌と踊りは、精神の解放
宗教に紐付かない部分での精神性、これが沖縄の生活には深く根付いています。朝のしきたり、祈りのような瞑想タイム、そしてそれよりも大きなものを成し遂げるためのもの。同じ日本人とは思えないほどに、彼らは、歌い踊ることを恥ずかしがったりしません。それは、精神とつながるためのツール。伝統楽器の“三線”が、祝いをさらに盛り上げます。
10.
洋の東西を問わず
身体を治癒する
独特のアプローチ
病的な症状へのアプローチとして、服薬の概念がある西洋とは異なり、沖縄は病気を治すためには、「身体が健康である」という根源的な考え方にも着目しています。そのため、洋の東西を問わず、臨機応変に身体の症状に合わせた治癒法が沖縄の特徴。シャーマン(祈祷師)による精神的な治癒もあれば、その土地の持つ、土着の活力に焦点をあてることも。中国医学やアーユルヴェーダでも使用されている、古代からのハーブ、ウコンを用いることもあり、実にバラエティ豊かだといえるでしょう。
私たちは、この賢明で優しさに満ちた魅惑の島国から、たくさんのライフレッスンを学ぶことができるのです。
Licensed material used with permission by Jessica via Collective-Evolution