知られざる「オーストラリア史のタブー」に切り込んだ地図

オーストラリアには、これまでほとんど明るみにされていない負の歴史があるらしい。18世紀頃にイギリスの流刑地とされたこともあり、同国には多くの罪人や移民がやってきたのだが、彼らによって先住民たちが虐殺を受けたというのだ。極めて秘密裏に行われていたため公にされることはほとんどなく、オーストラリア史の中でもアンタッチャブルな存在として扱われているという。

このたび、そんな同国のタブーに、ある大学が切り込んだ。

秘密裏に行われた虐殺を
認知する貴重な一歩に

ニューカッスル大学が制作したのは、18世紀から19世紀にかけて国内で発生した先住民の虐殺をデータ化したサイト。オンラインマップには、いつ、どれくらいの人が殺害されたかが明記されている。

制作にあたって、同大学のLyndall Ryan教授は、 21世紀人文科学センター、暴力史センターと協力。先住民虐殺の歴史を「隠された触れるべきでないもの」としないため、日記や新聞記事を参考にしながら、このマップを作り上げたのだそう。

このサイトでは、1838年5月1日に、300人の先住民がスローターハウス川沿いで、剣やピストルで武装した15人の牧場労働者に殺害された、などの情報を読み取ることが可能だ。

「クイーンズランド州からタスマニア州まで、東部のほぼ全てをマッピングしたところ、約150人が虐殺されたことを確認しました。特に1850年頃が激しかったと推測できます。

現在記されている人数は控えめに見積もったもの。まだまだ数多くの被害者がいるのではないでしょうか」

と同教授は説明している。

Licensed material used with permission by Centre For 21st Century Humanities
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