友達なのに、セックスしちゃった……その後どうなる?
「ねぇ、この後どうする?」
「……どうするって?」
ベットの下で脱ぎ散らされた服の中から、下着を見つけ出して身につける。……はぁ、洗濯したい。
「ご飯。うちに今なんもないから。」
本音を言えば、そんなのどーでもいいから、早くこの湿度の高い部屋から逃げるように抜け出して、家に帰りたかった。
4月某日 PM11:00
友達だったのに、私たちはセックスした
彼と出会ったのは半年前。お互いの家に泊まることは珍しくなかったけれど、今まで一度も“そういうふう”に触れ合ったことはなかった。
一緒にご飯を食べて、お酒飲んで、映画を見たりして。寝る布団だってもちろんバラバラだったし、キスすらもしていなかったのだ。外に遊びに行ったとしても、手をつなぐこともない。
それなのに、今日は。
飲みながらソファで映画を見ていたら、彼が急にキスをしてきた。
「…え」
「……ねぇ、抱いていい?」
「なんで…?やだよ、彼氏じゃないじゃん」
「んー、セックスしても、変わらなくない?」
「変わるよ、それでもいいの?」
「いーよ、変わらないから。」
そう言ってまた、ちゅっとキスをする。
彼は前から、私のことを好きだった。なんてことは、ありえない。
むしろ私のほうが、男として彼のことを好きだったと思う。付き合いたいわけではないけれど、普通の友達よりも、ちょっとキュンとして、じゃれ合いながら一緒に遊ぶ時間が心地がよかった。
なぜ急にキスをしたのか?なんて、理由はひとつしかない。単純に今、そういう気分だから。それだけのことだ。
(あーあ、バカだなぁ…)
セックスなんて、誰とでもできる。それもたった、20分くらいで。でも、友情も愛情も信頼も、20分じゃ築けないのに。
付き合いたいと思ってたわけじゃない、居心地のいいとこどりをして友達をしていた私も、不純だったのはわかってる。でも、たった20分で崩したくないと思うくらいには、大事にしたかった。
「ねぇ、いい?」
でも君にとっては、もっと、どうでもよかったんだね。
「……いいよ。」
その一言を合図に、心に芽生えていた恋心は冷たい手で殺された。ちゃんと思いを伝えなかった私も、しょうもないね。
守りたいと思っていた、この部屋に流れるすべてのものはもう、傷つけ合う未来しかつくれない。
“女性はセックスすると好きになる”
なんて、思わないでほしい
セックスをしている時の女性の脳内は、実は男性が思うより何倍も冷静だ。行為の節々から感情を読み取ったり、今後の関係について考えたり、自分の恋愛感情の有無を分析している。
もしも「避妊しなくていい?」なんて聞いた暁には、もれなくその場でクズ男認定されるだろう。たとえそれが行為のクライマックスだとしても、好きになんて、なるわけがない。
よく、体を重ねると女性は男性のことを好きになってしまう、と聞くし、当てはまる女性がいるのは違いない。けれどセックスをした瞬間に、『ものすごいスピードで冷める経験』をした女性も少なくない。
“体を重ねると、情が移ってしまう生き物だ”なんて、都市伝説くらいに思ってもらいたい。
“セックスありきの友達”なんて
恋愛感情を利用した時点でおわってる
口にしたことはないけれど、私のなかに恋愛感情が混じっていたことを、彼は知っていた。だからこそ、自分がそういう気分になった時に、一線を簡単に超えたのだ。
それでいて「俺らの関係は変わらないよ」と、ただの友達から、セックスありきの友達になろうと誘う。わかってる、はじめから男の家になんて泊らなければいい。許しておいて、こんなはずじゃなかったのになんて、言うつもりもない。
事情のあと、「お腹すいた〜〜〜」と、いつもより甘えてくる彼に「はいはい」と返事をして、気だるい体のままファミレスへ向かう。
そして一緒に食べた最後のご飯は、今までで一番、平凡な味がした。
5月16日は
【セックス禁止の日】
真実なのか実際に確かめることはできなかったのだけれど、どうやら江戸時代の艶本『艶話枕筥(つやばなしまくらばこ)』には、5月16日(旧暦)にセックスをすると3年以内に死ぬ。という一文があるそうです。
そのため、5月16日は【性交禁忌の日】。20年以上生きていれば、こんなふうに友達と一線を超えてしまったり、その日限りの人に、体を許してしまうことだってあると思います。そして後々、後悔することも。
今日セックスしたら、3年以内に死ぬなんて思わないけれど、そんな性に不吉な日だからこそ、今一度考え直してみてもいいかもしれません。
軽率なセックスで、傷つく未来をつくらないためにね。