土地の価値は「発酵食品」で決まる。書籍『「食」から考える発想のヒント』より

外国人シェフ最年少でミシュランガイドの星を獲得した松嶋啓介の近著がおもしろい。食を通した「発想のヒント」が散りばめられているんですが、普段包丁を握らない人にこそ読んでもらいたい一冊。

以下、『「食」から考える発想のヒント』(実業之日本社)より、抜粋して紹介。立ち読み感覚でドーゾ!

“砂漠にオアシス”だけでは
人は土地に根付かない

人が住むことのできる土地の条件とは、どんなものでしょうか。

一番わかりやすい答えは、砂漠のオアシスが示すように「水と塩の存在」です。これさえあれば、どんな過酷な気候風土でも、人はしぶとく生き抜いていくことができます。これは仮説でも何でもない、現にそうして生きている人がいる限り、事実に違いありません。

しかし、ただの水と塩だけでは、長く生きられないのもまた事実。では、人を生きながらえさせ、子孫を残すには、ほかに何が必要なのか。

もちろん「食」です。

何世代にもわたって生命を繋ぐ食文化のクリエーションなくして、その土地で暮らしつづけることはできません。すると人が生きながらえていくために、その土地が担ってきた具体的な「食」とは何か?

それは、塩と水、そして適当な温度と湿度がもたらす「発酵食品」の存在です。

©iStock.com/IgorDutina

あくまでぼくの仮説です。もしかしたらそれは大胆な仮説ではなく、すでに自然科学の分野で証明されている事実かもしれません。

そう思って色々と調べてみましたが、確かに世界中、人が住んでいる土地には必ずオリジナルの保存食があり、それが生活を支えていることが解りました。しかしながら、発酵食品の存在が、人をその土地に根付かせた根拠になっているとの“名言”は、ぼくの知る限り得ることができませんでした。

いずれにせよ、現実問題として、発酵食品の存在なしに、人がある土地で長く生活を営むことは不可能だったのではないか。水と塩、適当な温度と湿度。それらが生み出す微生物。目に見えない自然の力が働いて発酵食品になるのですから。

世代を超えて
受け継がれる「恵み」

発酵と腐敗の違いは、食べることができるか否か。その土地の気候風土が密接に関係しています。発酵食品とはまさに、人間が土地で生命を紡いでいくための、自然の力を借りた知恵だったんです。

毎日の食卓に欠かせない味噌ひとつでも、世代を超えて受け継がれてきた本質は、その土地が持つ“自然の力”です。

人はずっと、自然から与えられた恵みを発酵させたり、塩や酢につけたり、風に晒して乾かしたり、煙で燻したりして、作物が取れない時期の保存食としてきました。それは、千の土地があれば千通りの、多種多様な気候風土からの貴重な贈り物なのです。

Top photo: © iStock.com/GMVozd
Licensed material used with permission by 実業之日本社
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