これは、史上もっとも効果的な「モーニングコール」だ。

このサービスを見て、従来のモーニングコールの盲点に気づいてしまった。当たり前のことだが、家族や恋人という慣れ親しんだ関係の人からしか電話がかかってこないので、眠気に負けてしまうことが十分にあり得るのだ。

と、なると。

もっとも効果的なのは「知らない人」に起こしてもらうこと。緊張で眠れない夜があるくらいなら、なるほど逆に緊張させてしまえば目が覚める、とも言えるわけか。

でも、いったい誰に起こしてもらうのか?というより、誰がわざわざ知らない相手のために、朝早くに起きて電話をかけてくれるというのだろうか?

行き着いた答えは
「早朝から戦う漢たち」

その「誰」は、海の上にいた──。

「FISHERMAN CALL」は、早朝から働く漁師たちからのモーニングコールサービス。朝活がブームになるはるか昔から早起きしてきた彼らが、「おいしい」だけでなく「おはよう」も届けてくれる。自身の生活をかけた“重要な戦い”のさなか、わざわざ自分のために電話をしてくれるなんて、身が引き締まって目が覚めること間違いなし。

まずは、起こしてもらいたい漁師を、5人の中から選ぼう。

HPでは「漁業を変える若きリーダー」や「世界を股にかけるお魚王子」など、キャッチフレーズとともに各漁師の紹介がなされている。顔写真はもちろん、1日のスケジュールもチェック可能。さらに、実際の声まで確認できる点が面白い。再生すると、みなさんが元気よく自己紹介をしてくれる後ろから、カモメの鳴き声や風の音が聞こえてきて、なんともリアルだ。

ところで漁師さん、
なぜこんなサービスを?

実はこれ、朝に強い漁師が、未来の担い手である若者の早起きを手助けすることで、少しでも接点を持つことが狙い。「話したこともないのに漁師に憧れを抱けるはずがない」という考え方のもと生まれたサービスだという。

主催者は、石巻市とフィッシャーマン・ジャパンという団体。後者は、漁業のイメージをカッコよくて、稼げて、革新的という「新3K」に変え、次世代へと続く未来の水産業の形を提案していく若手漁師集団だ。

2024年までに三陸に多様な能力をもつ新しい職種「フィッシャーマン」を1,000人増やすというビジョンを掲げ、新しい働き方の提案や業種を超えた関わりによって、水産業に変革を起こすことを目指しているのだそう。

漁師になりたいorなりたくないは、現時点ではまったく関係ない。少しでも起こしてもらいたいという気持ちがあれば十分。ぜひHPから応募してみよう。締め切りは5月31日(水)で、当選者は抽選によって決定される。

でも、「明日の朝、漁師から電話がかかってくる!」と考えると、それはそれで緊張して眠れなかったりして。

Licensed material used with permission by 一般社団法人 フィッシャーマン・ジャパン
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。