『クレイジージャーニー』出演者が語る、むき出しのスラム街・ファベーラ

2019年6月某日、『クレイジージャーニー』で人気のジャーナリスト・丸山ゴンザレスさんと、写真家・伊藤大輔さんによるトークイベント「スラム街の歩き方と暮らし方 〜ブラジル・ファベーラのREALとROMÂNTICO〜」が開催されました。

世界各国の危険地帯を渡り歩くジャーナリストと、リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)で10年以上生活しながら記録し続けた写真家。初対面の二人がそれぞれの立場で語るスラム街の日常。テレビじゃ語れない裏話に未公開VTRも飛び出した、濃密な60分。

会場の熱気をそのままにお届けします!

丸山ゴンザレス

1977年、宮城県生まれ。考古学者崩れのジャーナリスト・編集者。國學院大学学術資料センター共同研究員。国内外の裏社会や危険地帯の取材を続けるかたわら、TBS系『クレイジージャーニー』に出演するなど多方面で活動。著書に『GONZALES IN NEW YORK』、『アジア「罰当たり」旅行』、『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』、『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』など。

伊藤大輔

1976年、宮城県生まれ。明治大学卒業後、バルセロナにて2年間写真を学ぶ。その後中南米に渡り、リオデジャネイロのスラム街にて活動を開始。2016年帰国。2019年1月に刊行した『ROMÂNTICO』が初の作品集となる。

外はドンパチやってて危ない。でも家の中ではビール飲んでます(伊藤)

丸山ゴンザレス(以下・丸山)

ジャーナリストの丸山ゴンザレスです。よろしくお願いします。

伊藤大輔(以下・伊藤)

カメラマンの伊藤大輔です。

丸山

伊藤さんと話したかったのが、実は『クレイジージャーニー』のスタッフの間で、一番ヤバかった取材に、常に伊藤さんのが1位か2位で入ってきてるんですよ。

ファベーラの取材のときって、スタッフが何人が行ったんですか?

伊藤

一人だけ来た。4日間だけ同行しますみたいな感じで。4日ぐらいだったら俺もちょっと我慢できるかなって。ブラジルにいたから全然番組のこと知らなかったし。

テレビって結構キツいよね。なんかこう……台本みたいな?ちょっとあるじゃん。ステレオタイプ的なところにはめられちゃいそうな自分がいて。なんか俺そういうのはちょっと。まあ、別に俺も大人だからわざわざケンカしないんだけどさ。

丸山

伊藤さんのときちゃんとした台本って、何か出されました?

伊藤

いや、なかったと思う。

丸山

ないですよね。あの番組すごいんですよ。僕、わりと本当に初期からやってるんですけど、始まったころは一応台本みたいなの渡されてたんです。「これ、今回のゴンザレスさんのやつです」って言って。そしたら「スラムに行く。よきところでまとめていただく」って書いてあるだけ。何もないんです。リアルにレポートするだけ(笑)。まあ、ある意味ガチな番組なんで、僕は好きでやってるんですけど。

伊藤

俺もなんか、自分が住んだところの話だから正確に情報を伝えたくて。ほっとくとすぐ何か適当なことを書く記者もいっぱいいるから。

丸山

伊藤さんがリオに住んでいたころに撮影された映像持ってきていただいたんで、せっかくなんで、ちょっとそれを見ながら話をしたいと思います。

伊藤

映像っていったって、家庭用のホームビデオだからね。手づくり感ハンパないよ。

丸山

(映像を見ながら)
早速、緊迫感ある映像ですが、これはギャングの抗争ですか?今のRPG(対戦車ロケット)?

伊藤

ロケットランチャーだね。俺も恐る恐るベランダまで這って行ってさ、ちょっと撮ってみるか、みたいな感じで。夕方7時くらいかな。友だちの家に集まってて、みんなもう怖くて外に出られないんだよ。やることがなくて俺がビデオ回してたら、一緒に住んでた奴がすごく乗り気になってさ。まあ、楽しんでるんだよ。外はドンパチやってて本当に危ないんだよ。でも、家の中では普通にビール飲んでる。

丸山

また別の映像ですが、これもギャングですね。銃持ってますね。場所はどこですか?

伊藤

ここはシャペウ・マンゲイラっていって、俺が住んでたバビロニアの横のファベーラ。これは禁じ手の超望遠を付けて撮影したやつ。でもほら、別に住人がいたからって、何をするわけじゃないしね。これがよそ者だったら「お前、どっからきたんだ!」ってなるけど。

丸山

このへんのファベーラって、一応鉄筋というか、コンクリートじゃないですか。だから家の中に逃げこめますが、フィリピンのスラム街とかだとトタン屋根ですからね。流れ弾が、家の中に飛び込んできますよ。

©DAISUKE ITO

リオデジャネイロのファベーラのひとつホシーニャ
(伊藤大輔写真集『ROMÂNTICO』より)

丸山

実際、伊藤さんの住んでたエリアって、ファベーラの中では高級ファベーラだって番組の中でも言ってたじゃないですか。あれって、行った人じゃないと意味がわからない。実際に高級ファベーラって豪邸とかじゃないですもんね。

伊藤

そう。住居としてちゃんとしているっていう意味。ファベーラの中でも高台にあって、自然があって、海が近くていいんだよ。家はそんなに立派じゃない。いわゆる郊外とはまた全然事情が違うんだよね。まあ俺は子どもを育ててたし、快適な所しか住みたくないからさ(笑)。

丸山

あれは本当に、番組を観た人は理解できたかわからないけど、伊藤さんの言ってることは、一字一句本当なんですよ。本当なんだけど、たぶん見ている人には伝わってないんだろうなと思ってました。

伊藤

そうかもね。テレビ番組の尺の限界とかもあるんだよね。だから、『クレイジージャーニー』はいいほうだっていうことだよね。

丸山

比較的、いいほうだと思う。松本人志さんたち演者のみなさんもすごいリスペクトしてくれるし。ディレクター陣も、なるべくそのままを伝えようという努力はあるので、そこは本当にいい番組だなと思います。

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