乳がんと闘った女性の「1年間」をタイムラプスで振り返る
2013年9月29日、Emily Helckさんは自身の姿を「1年間」記録し続けた動画をブログへと投稿しました。ABC Newsのインタビューに答えた彼女は「最初は数人しか見ないと思っていた」とコメント。しかし、実際には数日で12万再生を超えるほどの注目を集める結果に。
彼女がブログ「Real Tumors of New Jersey」を開設したのは2012年9月。それから1年間にわたった乳ガンの治療を詳細に記録した内容は、今も多くの人に読まれ、希望として共有され続けています。
ガンと闘った「1年間」
ブログには、彼女の動画に対するコメントが。
■2013年9月23日
「去年の9月、化学療法を始めた時から自分の写真を撮り始めた。最初は12週間で終わる予定だったけど、『ハーセプチン(ガンの治療薬)』の治療が伸びて、結局1年記録を続けた。自分のことを写真で見るのは好きじゃないのだけど、ここに写っている人はなんだか別人のような気もしている。彼女の表情に時折悲しい気持ちにさせられる。未だになんでこの写真を撮り続けたのかわからない。最初は武勇伝の一つでも作るつもりだったかもしれない。でも、そういうものではなくなったと思う」
当時29歳だった彼女はブログに治療の内容の他、自身の想いや考えを詳しく記載しています。1年間の記録を遡ることでどんな治療が行われ、どんな影響があったのか。以下に投稿内容を一部紹介します。
■2012年9月22日
「昨日は、化学治療を受けた最初の日。特になんでもない日で、ステロイドを影響でハイになってる。ウェイトリフティングもした。(こんなこと普段の私からは考えられないこと!私って誰なの!?)」
■2012年10月13日
「今日は3度目の化学治療の日。今回は、肺に変な痛みを感じた。心臓がバクバクして、不安を感じる。昨日から髪が抜け始めた。でもこれは始まりで、明日には丸坊主にする。これで全ての人が私を病人としてみるようになる」
■2012年12月29日
「テイラー・スウィフトの『We Are Never Ever Getting Back Together(もう2度と元の関係には戻れない)』は、今までタイトルだけ知っていて曲は聴いたことがなかった。けど、改めて聞いてみると自分の髪の毛のことを言っているかのように感じた。まだ化学治療を終えて1ヶ月と経っていないけど、もう戻ってこないんじゃないかって思ってしまうことがある。気にしていないけど、肌が出ていてジャガイモみたい」
■2012年1月2日
「放射線治療が始まった日。これから6週間かけて体の中に残ったガン細胞を殺す治療が始まる。でも、私のことは殺さない程度のもの。先週のシミュレーションで小さなタトゥーをいくつか入れた。これは、私の体の正しい位置に放射線を当てるためのマーキング。放射線に殺されるような感じはしないけど、嫌な音が鳴り響いてる」
■2013年2月9日
「昨日は、放射線治療が終わった日。最も強烈だった治療が終わった日。一昨日はなぜだか変に眠れなくて、放射線治療が終わることに緊張していた。これまで毎日何度もドクターの診察を受けていたのに、それがなくなったことで逆に不安を感じる。私の痛みは10段階のうちいくつだろう?
ドクターはこう説明してくれた。『長い治療の後は仕方ないことです。いつでも呼んでくれていいですよ。あなたがそれで楽になれるなら』」
■2013年3月3日
「ここ数週間で何度も『あなたはすごい!』って800回くらい言われた。とても違和感があった。それがなんだったのか具体的にはわからないのだけど、わかったのは、私が大丈夫じゃない時に大丈夫なように見えていたということ。
本当のことをここに書く。ガンって本当に辛い。痛くて、最悪で、はっきりとした終わりがない。ある日突然すっかりよくなった!なんてことがない。それは生活の一部で、意識の一部でもある。私はがんについてあまり語らない。そのことを考えていない時なんて一瞬たりともないから」
■2013年5月26日
「最近、気づいたことがある。私の中のガンはとても小さくなった。アイブロウをうまく描けるようになっていたから。顔つきも明るくなって、パーティやビジネスミーティングに参加することも増えた」
ブログには、どんな治療を受けどんな変化が体に起きたのかが体験談として綴られているため、同様の症状を抱える人々やその家族にとっての貴重な知識として拡散されています。
時には、化学治療の影響で集中力が保てず本が読めなくなることもあったようですが、1年後には笑顔も取り戻し日常生活へと戻っており、その経緯を知ることができます。
彼女自身、このブログによってガン治療をする人々に希望が生まれることを願っているようです。日々治療法が進化してはいるものの、もっと詳しい情報について知りたいという方は、彼女のブログ「Real Tumors of New Jersey」を参考にしてみてはいかがでしょうか。