アウトドア愛好家のアイデアから生まれた「たき火専用」ストーブ

ハイカーやキャンパーたちのあいだで、かねてから支持者が多い「Solo Stove(ソロストーブ)」に新シリーズが登場した。それがいわゆる携行用の小型タイプだったなら、専門誌の商品紹介ですむところ。けれどこれ、「たき火」を楽しむための道具と聞いては、話は別だ。

好きが転じて生み出された
独自の二重燃焼構造ストーブ

これまで、コンパクトな設計(モデル最小サイズは約10センチ)からは想像できない火力をウリにしてきたソロストーブ。生粋のアウトドア愛好家と豪語する開発者が、長年探し求めたもののなかなか出会えずにいた最良のストーブを、ついには自分で作ってしまったという代物だ。

そこに、たき火専用モデルがラインナップに加わった。従来の高さの約3倍にあたる35.5センチ、直径49.5センチの「Bonfire」だ。実際、これでもたき火と考えれば小さいほう。でも、これで十分なのがソロストーブたるゆえん。

クラウドファウンディングの出資金の集まり具合(すでに目標額の50倍を突破)から推測するに、アウトドア派だけでなく、純粋にたき火が目的という人たちの食指も動かしていることは間違いなさそうだ。

小枝や倒木、自然燃料だけで
簡単に火をおこせる

前述したとおり最大の特長は燃焼効率の良さにある。サイズアップされても構造自体は変わらない。さらには、小枝や倒木などフィールドにある自然素材でも、楽々と強い火がおこせてしまうのも魅力。

このパワフルな火力を生み出す原動力が、ソロストーブ独自の“二重壁”構造にある。 

空気の流れをふた手に分けて
火力をコントロールする

火力をコントロールするのは空気の流れ、気流だ。ソロストーブはそこに着目した。構造はシンプルながら最大の効力を発揮する。

上のイラストでも分かるように、本体底部に開いた丸い穴から取り込まれた空気が、ふた手に分かれる。内部にくべた薪や小枝を燃やし、一次燃焼をおこす空気は底部から。さらにもう一方の空気は二重壁の中をつたい上へと登り、上部の通気穴から出ることで二次燃焼を誘発させ、火の勢いが増すという仕組み。

強い火力のおかげ
煙が少なく、最後はほぼ灰に

 じつは、この二次燃焼構造には他にも大きな意味がある。強い火力を保つことで燃料は勢い良く焼け、不要なガスや蒸気、煙を出さないというメリットも忘れてはいけない。

せまる煙を避けようとチェアを移動させてばかりでは、いつの間にかたき火の情緒もどこかへ吹き飛んでしまう。そんな心配もしなくていい。

もちろん、少ない燃料で最大限の火力が得られる分、過度に着火剤や燃焼剤を使う必要もなければ、わざわざ燃料を大量に買って用意しておく必要もない。こうした「環境に負荷をかけたくない」というフィロソフィーも、自然を愛する人たちから広く支持される理由だろう。

そして、たき火の後に残るのはわずかばかりの灰だけ、というのもいいじゃないか。

炎の周りに集まる人は
自然と笑顔に照らされる

どこでも自由にたき火を楽しめる環境じゃないかもしれない。石をくべ、薪を並べて、火を囲んでこそキャンプファイヤーだという意見も分かる。現に都心ではたき火に寛容な場所を見つけるほうが難しい。

それでもこの道具が手元にあったなら…普段顔を付き合わせていても、言えずにいた本音が言えるかもしれない。しばらく疎遠になっていた友人たちに、久しぶりに声をかけてみたくなったりも。なんだか、とたんに夢のある話に思えてきた。

すでに早期割引は終了してはいるが、現在のところ日本円にして約2万6,000円で受け付けている(Kickstarter)。ただし、ここに100ドル分の輸送費が上乗せされることをお忘れなく。であれば、発売時期は未定だが、日本のオフィシャルサイトに登場するのを待つという手も。

かじかんだ手のひらを炎に向けて、ぼんやりゆらめきを眺めていれば、空白の時間なんて一瞬にして埋まるもの。久しぶりに合わせる顔は、どれだけ大人になっているだろう。そんな想像だけでも楽しくなってきた。

Licensed material used with permission by Solo Stove
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。