ちょっぴりお節介な「介護ロボット」は、見た目ではなくコミュニケーションで主張する
従事者不足や負担軽減が慢性的な課題とされてきた介護現場に、テクノロジーが変化を与えようとしている。という話題は、もう数年前から耳目にしてきたことだけど、それが最近老人ホームやデイサービスといった高齢者福祉施設において、介護用ロボットとして試験的に導入がはじまっているんだそう。
腰や関節に装着して介助者を物理的にアシストするものから、人工知能搭載のボディランゲージや会話でコミュニケーションをとるタイプまで、用途に合わせてその種類はじつに豊富。なかには認知症予防の「見守り支援ロボット」なるものも。簡単なあいさつをしたり、うなずいたり、最新のものは薬の飲み忘れまで教えてくれる機能もあるんだとか。これがどう見ても愛らしい“ぬいぐるみ”だ。
映画やアニメの中にしかロボットがいなかったその昔、ぬいぐるみではないにせよ未来のロボットは、やっぱり人の姿に近いものだと想像したし、きっとこの先そこに行き着くことは間違いない。だけどよくよく考えてみれば、人間とそっくりの必要がどこにあるんだろう。
というのも、イスラエルのロボット開発業者が新たにデザインしたというこの「ELLI・Q」が、あまりにシンプルに見えたから。動物や人間に話しかけるように、自分を見守ってくれるロボットと話をしたい、高齢者のそんな気持ちも分からなくはない。だけど、こちらはディテールよりも人懐っこさで勝負にでた。
人型よりも人懐っこい
ちょっとお節介なヤツ
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あえてデザインを推しのひとつに挙げた以上、まずはそのモノ自体に注目してほしい。なんと言うかその、いっさいのムダがない。
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このELLI・Q、人工知能を搭載した本体と、取り外し可能なタブレットが1ユニットになったコミュニケーションツールで、高齢者の見守りを目的とした支援型のロボットだ。会話とボディーランゲージ(とは言っても稼働域は首と左右への胴体の振りくらいなもの)、さらには光の大小で表情をつくりながら、ユーザーとのコミュニケーションを図るELLIくん(あえて親しみを込めてこう呼ぼう)だ。
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高齢者の孤独感を少しでも軽減させることを目的として開発された彼にできることは多岐にわたる。たとえばユーザーの健康管理から、室内環境のモニタリング、スケジュール管理、Skypeなどによるビデオチャット、ソーシャルメディアでのやりとり、さらにはオンライン上の本やニュースを読んでもくれるらしい。
また、ユーザーの行動や嗜好から性格を学んでいき、それに沿っておすすめのアクティビティを提案し、一緒にゲームをしたりする。わざと負けてくれるかどうかまでは分からないけど。
以下は、ユーザー(メリーおばあちゃん)とELLlくんのコミュニケーションの一例だ。
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「メリー、お友だちからメールが届いています。返信を送りません?」
「ええ、そうしましょう」
「では、音声録音をどうぞ、3、2、1…」
あるいは、
「メリー、1時からお友だちとブリッジでしたよね?ちょっと練習しておきましょうか?」
「今は結構」
「もう一回聞きますが、本当にいいの?」
ロボットらしからぬ、おせっかい焼きな感じ。従順ですべてのことに対してYESで応えてくれるよりも、よっぽど人懐っこさを感じるんじゃないだろうか。あるいはその見た目よりも。
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開発業社intuition roboticsの報告では、現在イギリスに暮らす75歳以上の女性たちのおよそ半数が独居、にもかかわらず、9割近くはそれでも自宅で過ごしたいと回答したそうだ。家族と離れて暮らす彼女たちができるだけ寂しさを感じずに、安心して過ごせるためのパートナーとして、そのニーズは少なくないという。
オンラインではあるけれど、家族や友人たちといつでもつながれる環境にある。これは想像でしかないが、人当たりのいいELLlくんとのコミュニケーションが、高齢者が直面しがちなデジタル時代の複雑な操作も、いっさいがっさい取っ払ってくれるのかもしれない。
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こんな具合にね。