氷河期に存在した「海底に沈む森」へご案内。
メキシコ湾の海底に、氷河期時代に沈んだ森が存在することがわかりました。
地元の漁師に「なぜか魚が大量に捕れるスポットがある」と聞いたダイバーが潜ったところ、水深18mの地点に「巨大なイトスギの森」が沈んでいるのを発見したのです。
はるか昔に姿を消し、今も非常に良い保存状態で存在する海底の森。一体どうして森は海に沈み、今まで誰にも見つからずに存在していたのでしょう。
5万年以上前、
地上にあった「イトスギの森」
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アメリカ、アラバマ州の約24km沖で見つかったのは、約1.3平方mの巨大な森。放射性炭素年代測定によると、その森のイトスギは今から5万年以上前、氷河期の時代に存在していたといわれています。
現生人類であるホモ・サピエンスの出現が約5万年前といわれているので、それよりもずっと前からこの場所にあったということになります。
海底にありながらその保存状態は非常に良く、木の内部は新鮮なままで残されており、現在研究が進められています。
巨大ハリケーンがもたらしたもの
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この海底の森が見つかったのは2006年。
それまで誰の目にも触れずにいたのは、森が深い泥の下に眠っていたからであることが明らかになっています。森の発見のキッカケになったのは2005年に訪れた巨大ハリケーン・カトリーナが海底の泥を払ってしまったこと。
イトスギがもともと丈夫な性質であったことと、泥が蓋をしてくれたおかげで5万年もの間、森は良質な状態で保存されていたということです。
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では、なぜ森が沈んでしまったのか。それは氷河期と間氷期の間に海面の水位が大きく影響したためだと考えられています。
例えば、恐竜のいた時代(約2億年前)は温かく、アメリカ大陸のほとんどは海底に沈んでいました。それが氷河期になると海抜が122mほど下がり、今まで沈んでいた土地が海上に表れたといわれています。
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地球は大体4万年から10万年の周期で氷河期と間氷期を繰り返しています。
イトスギの森は氷河期に地上にあったものが間氷期で海抜が上がったことにより、海底に沈んだと考えられます。
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これが、現在の海岸線と氷河期時代の海岸線の比較。約48kmの距離が氷河期の終わりに海底に沈みました。
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海底のイトスギの森は、ちょうど沈んだ海岸線の真ん中辺りに位置していたようです。
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海底の森は泥が払われたことにより、魚たちの住処となりました。この辺りで大量に魚が捕れるのはそのためです。長い間泥の蓋に守られていた森は、これから魚たちの生活によって朽ちていき、森の研究ができるのもあと2年ほどといわれています。
氷河期に存在したイトスギが環境の変動によってどのように変化していったのか、今後も研究者の調査は続いていきます。
30分近い動画ですが、調査研究に興味のある人はどうぞ。