#MeTooの先へ。アメリカでも急拡大する「4B運動」とは
「恋愛なんて時間の無駄」「結婚はもはや制度疲労」。そんな言葉をよく耳にするようになった現代。ジェンダー平等や多様な生き方が叫ばれるいっぽうで、結婚や出産、そして男性中心的な社会構造に息苦しさを感じている女性は少なくない。
2024年アメリカ大統領選後、そんな女性たちの間で、静かに注目を集めているのが「4B運動」だ。これは、韓国発の社会現象で、「デートしない、結婚しない、セックスしない、出産しない」という、4つの「しない」を掲げるもの。トランプ前大統領の再選によって女性の権利後退への危機感が高まるなか、この運動は、単なるトレンドを超え、女性たちの切実な叫びとして、アメリカ社会に波紋を広げようとしている。
トランプ再選とキム・ジヨン
アメリカにおける「4B」急増の理由
「NBC News」によると、トランプ氏の再選後48時間でGoogleにおける「4B運動」の検索数は50万件を超え、トレンド入り。この数字は、アメリカ社会における女性たちの間に、大きな変化が生まれていることを如実に物語っている。
Yale大学の博士課程に在籍し、韓国人女性の異性愛拒否について研究するMeera Choi氏は、NBC Newsの取材に対し、「女性たちは、政府も、国家も、そして男性も自分たちを裏切ってきたと考えている」と語る。そして、そうした失望が、男性との関係自体を拒否するという「4B」の選択につながっていると分析。
興味深いのは、アメリカにおける4B運動の広がりに、韓国文学の影響が見られる点だ。30歳のAleisa Mora氏は、韓国のベストセラー小説「82年生まれ、キム・ジヨン」に触発され、4Bを実践する決意をしたという。彼女が4B運動について投稿したTikTok動画は、590万回以上も再生され、多くの女性たちの共感を呼んでいる。
「#MeToo」の先へ?
女性たちが「私的ストライキ」を選ぶ理由
4B運動の広がりは、#MeToo運動以降も根強く残る、性差別や女性蔑視、そして男性中心的な社会構造に対する、女性たちの根深い不満を浮き彫りにしていると言えるだろう。女性たちは、もはや男性に認められることや、社会の期待に応えることよりも、自分自身の価値観や幸福を優先する道を選び始めているのではないだろうか。
実際、4B運動を実践する女性たちからは、「男性に期待するだけ無駄」「自分の時間やエネルギーを、もっと大切なことに使いたい」といった声が聞かれる。
結婚も出産も個人の選択
「4B」が問いかける社会の未来
もちろん、4B運動は、すべての女性にとっての正解ではない。結婚や出産の素晴らしさを実感している女性もいれば、「4B」という選択に抵抗を感じる女性もいるだろう。しかし、重要なのは、「結婚するかしないか」「子どもを産むか産まないか」といった問題を、個人の自由な選択として認められる社会を作ることではないだろうか。
4B運動は、私たちに多くの問いを投げかけている。それは、これからの社会における、男女間のあり方、そして個人の生き方について、改めて深く考え直す貴重な機会を与えてくれるだろう。
👀GenZ's Eye👀
トランプ氏が当選した直後、「My body, my Choice(私の身体、私の選択)」というフェミニズムのスローガンに対抗して、「Your Body, my choice(お前の身体、俺の選択)」というツイートがミソジニストによりX上に投稿され、物議を醸しました。
4B運動については「過激だ」と批判する声もあるようですが、女性蔑視が顕在化しつつある今、この運動の広がりは女性たちが自分を守るためにとった自然な反応といえるかもしれません。
なぜここまで怒っていって、こんなにも拡大しているのかーーー。問題の背景を知ると、運動に対する感想もまた変わってくるはずです。