素人でもわかるスゴさ!F1のタイヤ交換「世界最速の瞬間」を捉えた映像
ピットストップ1.92秒。
これは、2016年6月に開催されたF1グランプリ第8戦(ヨーロッパGP)決勝、ウィリアムズのピット作業においてはじき出された、F1史上最速のラップです。「ついにF1のピットストップが1秒台に突入!」と、ファンをはじめ多くのモータースポーツ関係者から、感嘆のコメントやツイートがあふれました。
F1マシン自体のスピードで記録が出たわけじゃないのに、なんでこんなに盛り上がるのか?知れば知るほど、オモシロかった。
えっ、もうおしまい?
一糸乱れぬピット作業
あまりの早業に、いったい何が行われているかすら、よく分からないんですが。画面奥から侵入してくるF1マシンを、左右に分かれて待ち構えるクルー。その数20人。
ざっくり説明すると、タイヤ交換専門の“ホイールマン”と呼ばれるクルーが前後4本のタイヤに対し、それぞれ3人で作業にあたる。ボルトを回す人、古いタイヤを外す人、新品タイヤをはめる人に役割分担され、じつにシステマチック。流れ作業を早送りで見ているようななめらかさでタイヤ交換を終えたマシンは、わずか1.92秒でピットを後にしました。
コンマ1秒の世界を争うF1今期8戦すべてでピット作業
トップ独占がスゴい!
トップ独占がスゴい!
さて、コンマ1秒以下を争う世界のF1、とくに近代はコース上での抜きつ抜かれつが難しく、各チームともピット戦略が勝敗を左右するひとつのカギとなっています。ドライバーのスキルだけでなく、いかにピット作業でタイムロスを出さないかが、ピットクルーたちの腕の見せどころ、というわけ。
ちなみにですが、もしも、時速300キロで相手マシンが走っていたとすれば、1.92秒。距離にしておよそ170メートルほどのビハインドで済みます。
2013年アメリカGPにおいて、レッドブル・レーシングのピット作業で叩き出された1.923秒が、永らく世界最速とされてきました。今回のウィリアムズは、これを打ち破ったばかりか、今期開幕以来すべての決勝レースにおいてトップをマークし、2016年から新たに創設されたピットストップ賞を、いまだ他のチームに譲り渡してはいません。
今回、動画が世界中で多くの人の目に留まった背景には、こうしたピット戦略あってのこと。ピット作業に注目しながら観戦する、これもF1の楽しみのうち!