「直感」には頼るべき?それとも、信じすぎると痛い目にあう?

「予感」「第六感」「虫の知らせ」なんていう言葉はたくさんありますが、そもそも直感はどこまで信じられるものなのでしょうか。なんだか不思議な力が働いているのでしょうか?それとも根拠がなく、ただ単に自分の好みを直感と呼んでいるだけなのでしょうか。

一般的にも「直感は信じたほうがいい」なんて言われますが、一体どこまでが本当?

ここでは、人気YouTubeチャンネル「AsapSCIENCE」の動画を参考に、直感を科学してみましょう。

01.
「直感」は過去の経験の積み重ねが
無意識に出てくるもの。

チェスのコマをゲームの途中の状態まで並べ、その画像を5秒間で記憶するという実験をしたところ、初心者は25%の再現率で、上級者は95%の精度で盤面を再現できたと言います。ところが、チェス盤の上にコマをまったくでたらめに並べたところ、初心者も上級者も25%の再現率で、その差は出なかったそうです

この結果で分かるのは、チェスマスターに何か特別な映像記憶力があるわけではない、ということ。彼らは、何年ものチェス経験の積み重ねに基づいた「知識と直感」から盤面を再現していたと言えるでしょう。

02.
差し迫った判断を求められると
「直感」が働く。

私たちの脳は即断型の「速い思考」と、熟考型の「遅い思考」の両方で情報処理をしています。

たとえば数学の問題を解くときは「遅い思考」が働き、映像を見たときなどは「速い思考」で瞬時に状況を判断するのです。

では、速い思考と遅い思考は、どのように使い分けているのでしょうか?

将棋の対局では、持ち時間を使い切ると、考える間もなくすぐに次の1手を指さなければなりません。そんな状態のプロ棋士の脳は、無意識で行なえる習慣運動や反射などに関連した「大脳基底核」が働いているそうです。必ずしも、ものすごい速さで深い思考をして次の手を考えているわけではないのです。

脳は差し迫った判断を求められると、自然と「速い思考」が働くようにできているのです。

03.
情報が多すぎるものは「直感」で、
少ないものはじっくり決めるのがいい。

一世一代の決心、たとえば家を購入する場合、その家の状況や周りの環境をリスト化して、じっくり比べるべきだと思っていませんか?でも、直感で判断したほうが、より良い家を判断できた、という調査結果もあると動画では紹介されています。

関連情報が多い場合、一つひとつの項目をじっくり選んだとしても、総合的には一体何が良いのかわからなくなるそうです。そういうときこそ直感に頼ると、脳に入ってきた情報からざくっと総合的に判断できます。実際に家を選ぶ実験では、じっくり慎重に家を選んだ人よりも、直感で選んだ人のほうが長期的には満足している、という結果も出ているそうです。

逆に、歯磨き粉などの比較事項が明確な商品を選ぶようなときは、じっくり情報を検討して比較するほうが良いようです。

04.
カラダは、意識よりも速く
状況を判断している。

ここで2つの例を紹介しましょう。録音した音声から自分の声を聴き分ける、という実験では、75%の人が自分の声を判別できないそうです。しかし、皮膚から出る電気信号は、自分の声が流れたときに大きく反応を示します。つまり、被験者は意識できませんが、直感で自分の声を判別できているのです。

これと同じことが、カードゲームでも起こります。GOODかBADのどちらかが書かれたカードを使い、これを4つの山にわけます。どの山にGOODが多く含まれているか判断するには、何枚カードをひけばわかるでしょうか?

参加者はカードを80枚引くまで気が付きませんが、皮膚の電気信号は10枚目で反応しているというのです。つまり参加者が意識しないうちから、直感ではカードのパターンを認識できているというわけです。

05.
人の感情は、直感よりも
じっくり考えたほうがいい。

しかし、だからと言って直感はいつでも正しいのでしょうか。この動画でまとめているのは「感情移入する場合は、直感での判断は控えたほうがいい」ということ。

たとえば900人以上を対象にした調査によれば、他人の感情を理解するには、即断するよりもじっくり状況を分析して考えたほうが正しく判断できる、のだとか。

「直観」はそもそも、はるか昔に相手を敵か味方か判別するために備わった機能だとも言えます。でも、その直感力を磨くには、何よりも経験が大事というのは前述した通り。情報をじっくり分析する「遅い思考」で経験を重ね、いざという時は直感に頼る「速い思考」を使うのです。

この2つのタイプの思考をうまく使い分けていくことが、何よりも重要な要素になってくるのではないでしょうか?

Licensed material used with permission by AsapSCIENCE
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。