我々は、なんのために生きているのか?

生きる目的や意味を探し続ける、人生なんてそんなものなのかもしれません。ふとした瞬間に思う「生きる意味」。それを歴史に基づいて分かりやすく説明したコンテンツを紹介します。「The School of Life」より、迷いがなくなる(?)動画をどうぞ。

人は時折、深く悩んでしまいます。「自分のしていることに意味があるのか、人生にまったく意味なんてないのではないのか」毎日同じことを繰り返していると、そんな考えにとらわれてしまうことがあるでしょう。

そんなときは、一歩下がって、大きな視点で考えてみましょう。私たち「ヒト」という大きな種族はなぜ生きているのか?どのように生き、発展してきたのか?20万年にも及ぶ人類の歴史から考えてみましょう。

人間が生きる意味とは何でしょうか?もちろん、「神が創りたもうたから」などという意味ではありません。「ヒト」という種族は何のために生きているのでしょう?

それは大きく分けて4つあります。

1.種族を存続させること。つまり子孫を残すこと。
2.自分自身について知ること。
3.世界のことを知り、それに適応すること。変化し続ける環境を知り、その中で生きる方法を探すこと。
4.自分の欲求を満足させること。つまり幸せの追及。

この4つのことで人生の多くのことを説明できます。

子供を持ったり、友情を築いたり、人を愛することなどは「種族を存続させる」行為です。

哲学や心理学、教育などは「自分自身について知る」活動。メディアもここに分類されるでしょう。ビジネスや科学、建築などは「世界のことを知る」ものです。宗教、文化、芸術などは「幸せの追求」のための活動です。

「世界のことを知る」欲求を持っている私たちは、都市をつくります。様々な事態に対応するために科学があります。子供や家族を持つのは「種族を存続」させたいから。人が生きる上で行う活動は、すべてこの4つのことから説明できるのです。

シェイクスピア、ニュートン、アインシュタイン、J.F.ケネディなどの偉人も、人類の活動の大きな流れにはほんのわずかな影響しか与えていません。

人類の大きな目標の前では、私たち個々人の力は微々たるもの。「自分は小さな存在に過ぎない、何の意味もない」と考えると気が滅入ってしまいます。

そうではなく、自分は大きなゴールへ向かう流れの中に入るのだと考えてみてはどうでしょう。そのゴールは個人的なことでもあり得ます。例えば、自分のビジネスを立ち上げること。これは「世界のことを知る」という人類の大きな活動の中のひとつと考えられます。

人類の歴史を考えても、その瞬間大発見だったことが数百年後には無意味なものになる、ということは珍しくありません。14世紀の研究は今では何の役にも立ちません。11世紀に生きていた人など一人も知りませんし、9世紀に起きたことなど全くわかりません。歴史の中で多くの人が生き、そして死んでいきました。

では現代を生きる私たちはどうでしょうか?私たちは過去を知り、未来について考えます。長い人類の歴史の中で、私たちが及ぼす影響はごくわずか。しかし、私たちの毎日の営みが、人類の大きな目的へとつながっているのです。

科学が発展し、脳の仕組みなど様々なことが明らかになるかもしれません。子供が子供を産み、さらにその子供が子供を産むかもしれません。他の人の苦悩について考えるかもしれません。

こうした活動一つひとつを見ても、意味は感じられないでしょう。これを一人ひとりの個人の活動として考えると、「生きる意味などない」と感じてしまいます。これを、「人類すべての大きな流れ」と考えるのです。

小説家ジェームズ・ジョイスの著書『若き芸術家の肖像』の主人公は、地理の教科書に自分の名前を書く際、所属を「スティーブン・ディーダラス、化学講座、クロンゴウスウッド大学、サリンズ市、キルデア州、アイルランド、ヨーロッパ、世界、宇宙」と書きました。

私たちは名前があり、会社や学校に所属しているかもしれませんが、最終的には誰でも所属は「宇宙」なのです。

このように自分の位置づけを考えるのは大事ですが、地理的な位置づけではなく、目的の位置づけが必要です。突き詰めて考えると、私たちが生きる目的は、人類という種族の大きな目標のため。

私たち自身が行う活動はわずか。子供を作り、お金を稼ぎ、世界のことを少し知る。だからこそ、私たちは種族全体について考えなければなりません。私たち一人ひとりの個人の活動が、大きな人類の歴史を形作っているのですから。

具体的には、お金を稼ぐことは「世界を知る」ことにつながります。子供を作ることは「種族の存続」に、子供に何か教えれば、「人類について知る」ことに、部屋をきれいに掃除したなら、「幸せの追求」につながっているのです。

「生きている意味が感じられない」という状態は、4つの人類の目的の中での自分の活動の位置づけがわからない、という状態です。

しかし、よく考えれば、すべての活動が人類の目的につながっているのです。私たちがしていることに無駄なことはありません。そう考えてみれば、生きる意味が見つかるでしょう?

Licensed material used with permission by The School of Life
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。