慶應スタートアップ発、闇バイトのリアルを伝える擬似体験アプリ

スマートフォンやSNSが生活に欠かせないツールとなった現代。 そのいっぽう、誰もが手軽に情報を発信・受信できるがゆえに、デジタル社会の“闇”に足を踏み入れてしまう「闇バイト」が蔓延している。

警視庁の発表によると、2024年の闇バイトに対する警告は1万件以上と、昨年と比較して大幅に増加しており、その脅威はますます深刻化している。 さらに、逮捕者の約8割が10代~20代の若者という事実も、深刻さを物語っている。

なぜ、彼らは「闇」に落ちてしまうのか?

従来の情報リテラシー教育は、座学中心で、若者にとっては「他人事」として捉えられがちだった。しかし、「ディップ株式会社」が2023年12月に実施した闇バイトに関する高校生を対象にした調査によると、ネット上の危険な求人情報を見抜ける高校生はわずか23%しかいないという結果に。 つまり、残りの約8割は、巧妙に仕組まれた罠を見破ることができず、「闇バイト」に巻き込まれてしまう可能性があるわけだ。

Classroom Adventureが見出した
リテラシー教育の新たな可能性

© YouTube/クラスルームアドベンチャー

こうした現状を打破すべく、慶應義塾大学の現役学生が立ち上げたEdtechスタートアップ「Classroom Adventure」が、これまでにない情報リテラシー教育プログラム『レイの失踪』を開発。 最大の特徴は、座学ではなく、ストーリー仕立ての「追体験」を通して、リアルに闇バイトの恐怖を体感できる点にある。

©株式会社 Classroom Adventure

参加者は、架空のSNS空間で実際に起きた事件を基にした状況を疑似体験することで、情報を見極めることの難しさ、そして闇バイトに加担してしまう心理を、よりリアルに体感することができる。 「『レイの失踪』では、『なぜ騙されてしまうのか』『なぜ抜け出せないのか』『何をすべきなのか』という3ステップを体験することで、闇バイトに関する深い知識を学びます」と、Classroom Adventure開発者は語る。

想像力を武器に
デジタル社会を生き抜く

©株式会社 Classroom Adventure
©株式会社 Classroom Adventure
©株式会社 Classroom Adventure

『レイの失踪』は、国内の中学校や高校にも導入が決定しており、情報リテラシー教育の新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。

情報過多な現代社会において、受け身で情報を受け取るのではなく、自ら情報を取捨選択し、その真偽を見極める力が重要になっている。 そのためにも、想像力を働かせ、批判的な思考力を養うことが重要。

「自分は大丈夫」という思い込みを捨て、デジタル社会の落とし穴に落ちてしまわないよう、今一度、情報との向き合い方を大人である私たちも見つめ直してみる必要がありそうだ。

© YouTube/クラスルームアドベンチャー

👀GenZ’s eye👀

最近では、日払いバイトアプリ「タイミー」などでも闇バイトが隠れているという記事を目にした。指定された道を歩くだけで7500円の報酬で、「猫探し」のタイトルがついたものだったらしいが、「猫」とは反社会的勢力の間で、防犯カメラまたは、高級車の“隠語”とし使われているらしい。もちろん10代の若者に対して教育していくことは必要だが、行動力のある大学生を始めとする20代にも、こうした教育プログラムが実施されることが望ましいのではないだろうか。

Top image: © 株式会社 Classroom Adventure
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。