「おばあちゃん孝行」がヒットの鍵? メキシコのUber Eatsが見せた、祝日マーケティングの進化系

世界各国で、祝日の過ごし方は多様化している。家でゆっくりと過ごす人、旅行に出かける人、はたまた普段通りに仕事をする人…。しかし、メキシコの人々にとって、独立記念日は特別な意味を持つ日。一家団欒で伝統料理を楽しむ、大切な祝日である。そんなメキシコで、Uber Eatsが仕掛けて話題を呼んだ、斬新なマーケティング戦略をご紹介しよう。

メキシコのUber Eatsが仕掛けた「おばあちゃん孝行」キャンペーンとは?

Contagiousの記事によると、メキシコの独立記念日には、多くの家庭で「ポゾーレ」と呼ばれる伝統的なスープを手作りする習慣があるという。しかし、その調理は複雑で時間と手間がかかり、特に、おばあちゃん世代への負担が大きいことが課題として挙げられていた。

そこで2024年の独立記念日、Uber EatsはWieden+Kennedy Mexicoとタッグを組み、“おばあちゃんを解放しよう” をテーマに、デリバリーサービスの利用を促すキャンペーンを展開した。

ユーモアと愛情たっぷり! おばあちゃんを主役にした広告戦略

キャンペーンの中心となったのは、おばあちゃんが家事から解放され、自由な時間を満喫する様子を描いたデジタル広告だ。太極拳に興じたり、家中のあらゆるものを編んでみたりと、ユーモアあふれるおばあちゃんの姿は、多くの視聴者の心を和ませた。Contagiousは、この「おばあちゃん」という親しみやすいキャラクター設定が、幅広い世代への共感を呼んだと分析している。

伝統の味を食卓に:デリバリーが叶える、進化形のお祝い

Uber Eatsが今回のキャンペーンでパートナーに選んだのは、ポゾーレ専門のレストラン「La Casa del Toño」だ。Contagiousによると、これは「伝統的な味だからといって妥協せず、家庭で作るものと遜色ないクオリティのポゾーレを届けたい」というUber Eatsのこだわりを示しているという。

事実、キャンペーンは大きな成功を収めた。Contagiousによると、前年の独立記念日と比較して、Uber Eatsの注文数は80%増加、ブランドイメージのポジティブな評価は70%増加、広告のリーチは940万人にも達したという。

祝日マーケティング成功の鍵は「伝統×革新」にあり?

今回のUber Eatsの成功事例は、伝統的な価値観を尊重しながらも、時代の変化に合わせた新たな価値観を提案した点にあると言えるだろう。日本でも、おせち料理や年越しそばなど、祝日と食文化は密接に関わっている。Uber Eatsの戦略は、今後の日本の祝日マーケティングを考える上でも、大きなヒントになるのではないだろうか。

Contagious/YouTube
Top image: © iStock.com/MEDITERRANEAN
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