千葉のブラウンズフィールドで学んだ「同じ釜の飯」 が育む信頼関係とは?

千葉県いすみ市にあるオーガニック農園「Brown’s Field(ブラウンズフィールド)」。

ここのオーナーは、マクロビオティック料理家の第一人者である中島デコさんです。季節のめぐりに沿った、自然の暦とともにある暮らしから、学べること、また実践できることとは?

「掃除」から始まる
ブラウンズフィールドの朝

©2018 The CAMPus

ブラウンズフィールドの朝は、掃除から始まります。住み込みで働くスタッフや研修生など、約10名で一斉にお掃除するなんて、とても気持ちのいい習慣。

とはいえ、すでに掃除の前から自分の仕事をしていたりする人もいるからすごい。たとえば前の晩の雨風の影響をチェックしに外回りを済ませていたり、その日の仕込みを始めていたり、ブラウンズフィールドのスタッフさんたちは本当に気持ちがいいくらいによく働くのです。しかもみんな、心から楽しそうに働いていることにも驚かされます。

「わたしが何にもできないからねぇ〜(笑)」

と笑うのは、他ならぬ中島デコさん。

彼女ほどのクリエイティビティの持ち主が何をおっしゃるのですか! と思わず反論してしまいましたが、その言葉の真意は、スタッフ間で日々築き上げられる信頼関係のことなんだと感じました。

みんなの仕事が
「同じ釜の飯」となる

©2018 The CAMPus

朝の掃除のあとは、みんなで丸いテーブルを囲み、「同じ釜の飯」をいただきながら、前日のことや朝の体調なんかをチェックイン。

一見、なんてことない雑談ですが、安心して体調を伝え合えるというのも、共同生活をしている=同じものを食べているブラウンズフィールドならでは。それに加え、まだ日が浅い研修生に実家のことを聞くなど、さりげない会話の中にもコミュニケーションの大切さを感じさせます。

そしてもちろん、スタッフそれぞれの持ち場や状況も確認するデコさん。

「畑のあの作物はどう?」

「今日のカフェのメニューはどんな風?」

「宿泊の予約は何名なの?」

それぞれのスタッフから共有を受けます。対応を急ぐべきことや手が足りてないことがあればデコさんも自ら参加。スタッフを信頼して全面的に任せているけれど、だからといって絶対に放置するということはありません。

柔軟に助け合って
信頼関係が深まる

©2018 The CAMPus

ブラウンズフィールドは、「ライステラスカフェ」や、宿泊施設を兼ね備えた「慈慈の邸(じじのいえ)」、オーガニック自然食品店の「ナチュラルストア アサナ」と、様々な業態を兼ね備えていて、スタッフ一人ひとりの担当分野がそのまま事業に影響します。

そのため、何か不測の事態が起きたとしても「あっちが大変そうだから私が入るね」「今日は収穫があるから誰か手を貸して」といった風にスタッフが自主的に対応。しかも肩に力を入りすぎず、柔軟に工夫し合っているのがよくわかります。

そうして、日々の各自の仕事が、お米としてご飯になったり、野菜のおかずになったり、お客さまを迎えるアイデアになったり、新しいイベントが生まれたりと、一つひとつが成功事例として積み上げられます。

そしてそこからまた、お互いの信頼関係が深まるんですね。

デコさんからスタッフへ
先輩から新人へ受け継ぐもの

©2018 The CAMPus

ブラウンズフィールドのスタッフには、はっきりとした任期はないものの2〜3年の住み込み期間が平均的です。

季節を2周するうちに作物のシーズンを感じとり、加工品や保存食作りを学ぶのにも十分な期間のようです。住み込みスタッフとしてもうすぐ丸2年目というゆはらさんは、自身の経験をこう話してくれました。

「1年目には誰かに言われるまで気づかず出来なかったことも、次の年には自分から『あれがもうすぐ実る頃だな、今のうちにこれやっておこう』と思いつくようになるんです」

そんなスタッフのみんなの自主性に感動していると「みんな働きものでしょ〜」「しかも前任者や先輩たちから受け継いでいることがすごいと思うの」と嬉しそうなデコさん。

©2018 The CAMPus

たとえば、オープン10年を迎えるという「ライステラスカフェ」でも、立ち上げたスタッフたちの考えやスピリットが今のスタッフにも継承されていて、さらに進化もしている、と感じるそうです。

デコさんからスタッフへ、先輩スタッフから新人スタッフへ。それぞれが積み上げてきた知恵や工夫や学びの結晶が、きちんと受け継がれている。簡単なようでいて、なかなかできることではありません。

一緒に食べ物を育み、収穫したてのものを一緒に食べる。「同じ釜の飯」は、家族の存在に近いくらい本質的な信頼関係を築き上げているようです。

自分の軸を、大地と繋げる

©2018 The CAMPus

「一生困らないくらいの梅干しがあるんだけど、それでも毎年作るの」と、デコさん。その理由は、梅干しや梅酢を使うという目的だけではありません。「この土地で採れたものを、ここでいただくことに意味があるから」と。

わたしたちの暮らしはとても便利になり、ともすると、北米産の小麦でできたパン、南米からのコーヒー、フィリピン産のバナナといったように、本当の意味での地産地消が難しいことすらありますが、その土地のものを食べることで「自分の軸が、大地としっかりと繋がる」とデコさんは言います。

自分の中心に軸を持ち、それがしっかりと安定することで自信に変わり、何があっても「だいじょうぶ」と思える、生きる強さになる。

地元産のものを食べることは、自然のなかで暮らすための「基本のキ」なのかもしれません。

「Brown's Field(ブラウンズフィールド)」

住所:千葉県いすみ市岬町桑田1501-1
TEL:0470-87-4501
公式HP:http://brownsfield-jp.com/

本記事は、オンライン農学校「The CAMPus」に掲載された会員制コンテンツを一部抜粋し、編集したものです。

Top image: © The CAMPus

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