あえて「まずいドリンク」を作ったのにはワケがある【ハイネケン】

飲料メーカーにとって、ユーザーの求めるおいしいドリンクを作ることは、何よりも重要なはず。ところが、ビールブランド「ハイネケン」が、あえて「まずいドリンク」を開発したようだ。

激マズ風味に込めたメッセージ

「ハイネケン」が生み出したのは、「Lidera」というノンアルコールドリンク。これ、なんでも一口飲んだら顔をしかめずにはいられないほどのきっつい味だという。

いったいなぜ、味の悪いドリンクなんかを作ったのか。

それは、女性が不平等に直面している現状を伝えるため。女性の管理職比率の低さや男女間の賃金格差、ハラスメントなど、職場における見えない女性差別を表現するため、わざわざ「Lidera」を開発したんだそう。

苦悶の表情を生み出した
“原材料”が衝撃……

© Grupo HEINEKEN Brasil/YouTube

「Lidera」の具体的な味は公表されていない。しかし、開発に携わったRicardo Dolla氏は「労働市場における女性のデータを"原材料"としたら、まずくて不快なフレーバーを導き出せた」と述べている。

ちなみに、ブラジル「ハイネケン」の公式YouTubeでは、「Lidera」を実際に飲んだ人たちの動画が公開されている。彼らの表情を見れば、どれほど不味いのか想像できるだろう。

「ハイネケン」が目指す
真にジェンダー平等の社会

ジェンダー平等を目指す動きは広まってきているように見えるが、ふたを開けてみるとジェンダー格差はまだまだ存在している。そんな現状を伝えるため、「一見普通の飲料だけれど、中身はまずい」というドリンクをハイネケンは開発した。

Ricardo氏によると「Lidera」の試飲をした人のなかには「まずくないふり」をしようとする人もいたそうで、それがもっとも衝撃的だったらしい。この「真実に対して見て見ぬふりをする姿勢」こそが、ジェンダー格差の解決を阻む要因の1つなのだろう。

ドリンクなら"喉元過ぎれば不味さを忘れる"かもしれないが、ジェンダー不平等は飲み込むことすらできないほど深刻な問題のはず。

今回のハイネケンの取り組みのような職場で女性が置かれている環境にスポットライトを当てる施策は、今後も行われる必要がありそうだ。

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