世界中から問い合わせが殺到している「ヘアピン」。どうして?
大ヒットの可能性を秘めているヘアピンがあります。
発売未定ですが、すでに日本のみならず海外からも問い合わせが殺到中。ただし、単なるファッションアイテムではありません。革新的な、その機能が注目されています。
「音が感じられる」
ヘアピン
ヘアピン
名前は『Ontenna』。音とアンテナを合わせたネーミングの通り、髪につけることで、音を感じることができるようになっています。
「なんに役立つの?」
答えはシンプル。これはろう者に向けたデバイスなんです。
現在、広い意味でのヘルスケア業界は、ウエアラブルが主流に。洗練されたデザインのものも増えてきています。でも、耳の聞こえない人に音を知らせるプロダクトは“そういうもの”が少ないのが現状。そのなかで『Ontenna』は、見た目と機能を両立させたスグレモノなんです。
リアルタイムで、音を感じる
その仕組みはシンプル。音を感知し、本体のバイブレーションが作動します。その微妙な振動が、髪を通じてつけている人に“伝わる”のです。風が吹くと、髪の毛がなびいてその向きがわかる、そんな感覚をイメージをしてもらうとわかりやすいかもしれません。
ちなみに、カバーできる音は30〜90デシベル。これは深夜の郊外くらいの静けさから、騒がしいカラオケ個室と同じくらい。かなり広い音域です。それらをリアルタイムで変換、256段階の振動で伝えてくれます。
実際につけてみました。
まず、軽い! つけていることへの違和感はほとんど感じません。
肝心の機能面ですが、話し声はもちろん、笑い声の強弱までを、繊細な振動の変化でしっかりと感じとることができます。
この感覚、なかなか言語化するのが難しいのですが…。「自分の声をすぐその場で録音再生しているような感覚」と言えば、想像できるでしょうか。
映画やコンサートだってより臨場感を楽しめるように!
ろう者は、音を情報として認識することが難しく、自分が声を出していてもわからなかったり、人に話しかけられても気がつかないということも。
でも、『Ontenna』があれば、メール着信に気づけるし、洗濯が終わったこともわかります。
家の中だけじゃありません。車や自転車の接近にも気づけるので、外出だってより安全になります。
さらに、これまで字幕を追っていた映画やコンサート、スポーツ観戦などのエンタメだってもっともっと楽しめるようになるはず。
なんてシチュエーションを想像してみると、世界中から問い合わせが殺到している理由がわかります。うん、これはイイ!
ろう者と一緒になって『Ontenna』を開発しているのは、富士通株式会社。社会問題の解決に向けて推進している、オープンイノベーションの一環として研究が行われています。現在は、音程がわかる機能を搭載させるべく、トライアンドエラーを繰り返し中だそうですよ。
「商品化が待ち遠しい」。そう思っている人が、たくさんいるヘアピンです。
「もっと詳しく知りたい!」という人は、開発者の本多達也さんがTED×Hanedaに出演した、この動画をチェックしてみて。