もしも、電車のなかに「ブランコ」があったなら。

サンフランシスコに住む人たちにとって、身近な移動手段であるベイエリア高速鉄道(通称:BART)。毎日多くの乗客が利用するこのBARTの車内に、ある日突然ブランコが出現。いったい、なぜ?そして誰が?

ちゃんと大人もこげる
ブランコ

車内に現れたのは、ブランコ。吊革を使って設置された、実際にこぐことができる本格的なものです。

最初は戸惑っていた乗客も、恐る恐る乗ってみる人が出始めると、いつのまにか順番待ちに。

テーマは
「クリエイティブなジャマなもの」

じつはこのブランコ、アーティストであるHunter Franksさんの作品。彼の活動は「Creative Interventions(クリエイティブなジャマなもの)」と題されていて、まったく必要のないようなものを日常の中に置くことで、毎日の生活をちょっとハッピーにしてしまおうというもの。

たとえば移動時間って「目的地に早く着かないかな」と、気が急いてしまいがち。でもこんなブランコがあったら、電車で移動するのが楽しくなるかもしれません。

実際にブランコに乗った人たちは、見知らぬ者同士にも関わらず、「楽しかった!」と会話をはじめたそうです。

彼は「#noBARTwithoutART(アートがなければ、BARTじゃない)」というハッシュタグを使って、まるでBARTの認可を得ているかのようにSNSで呼びかけるなど、その手口はかなり強引。ですが、

「お互いが無視をして、スマホを凝視しているような風景を変えたかった。みんなの通勤時間を楽しいものにするにはどうしたらいいのか、って考えたんだ」

と。

余計なものが
心の余裕を生む

Franksさんは他にも、券売機手前の床に「けんけんぱ」をする模様を描いたり、心が温まるメッセージ(夕焼け注意、など)を書いた標識を勝手に設置してしまったりと、いろいろな「ジャマなもの」をつくっています。

何かと、効率を追い求めてしまう都市の生活。でもこういう余計なものが生み出す心の余裕が、より良い人生を過ごすためには必要なのかもしれない、と思わされますね。

Licensed material used with permission by Hunter Franks
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。