「イギリス労働者階級のリアル」IDLESのGREAT
ロックミュージックの多くは労働者階級と密接に結びついていると思う。とくにイギリスはそう。
IDLES(アイドルズ)はブリストルのパンクバンドです。彼らの曲も労働者階級の生活がひとつのテーマになっています。
それがよくわかるのが『GREAT』のMVです。
日本人からすると、よくあるライブハウスでバンドが演奏しているシーンをメインにした特徴の少ないビデオに見えるかもしれません。実際に、TABI LABOのメンバーは僕がこのビデオを選んだことが不思議だったみたい(笑)。
だけど、イギリス人である僕からすると、このビデオはとてもリアルです。
IDLESが演奏しているステージは、Working men's clubそのものです(Working men's clubはストリッパーが出演するようなクラブ、労働者階級の男たちが週末に奥さんの目を盗んでいくような場所です)。
そのほかのシーンで登場する場所もサッチャー時代に建てられた公共住宅やサッカーのスタジアム、最近日本で流行しているようなカフェが併設されているようなものとはまったく違うコインランドリーなど、とてもリアリティを感じます。ボーカルのジョー・タルボットのファッションもそうです。
知っての通り、現在イギリスではブレクジットに関することで、いろいろと混乱しています。IDLESがテーマにしているイギリスの労働者階級の人たちは、その中心にいます。
そういう視点でこのビデオを見てみると、IDLESというバンドのパンクスピリットがより理解できると思います。
子どもの頃からミュージシャンや音楽好きに囲まれて育ちました。音楽に関しては雑食ですが、自分のルーツを挙げるとすれば、70's〜80'sのパンク、ポストパンク、ニューウェイブだと思います。僕自身は1991年生まれだけど(笑)。