「Iceage」デンマークのアンファンテリブル ーー Pulse #005

 

The only current punk band I can think of that sounds really dangerous

いま唯一の、アブないパンクバンドだ

 

Iggy Pop, 2013

イギー・ポップ、2013年

Iceage(アイスエイジ)――このデンマークのポストパンク/ハードコア・バンドのライブはかなり熱狂的。時代やトレンドに左右されず、パンクのレジェンドであるイギー・ポップやリチャード・ヘルなども一目置く存在だ。

メンバーは全員1992年生まれ。僕と同世代だ。10代の頃、彼らのファンになってからずっと追い続けてきた。そんな彼らにインタビューするチャンスをもらえた。興奮して夜はあまり寝られなかったけど、アドレナリンが出まくり。気分はレディートゥーゴー!

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Iceageの魅力を他人に説明するなら?

まずフェイク感とは無縁だ。彼らの音やスタイルにはリアリティがある。デビューから8年間ずっとそれは変わらない。Iceageには明確なイメージがあって、パンクのアナーキーさを体現するバンドだ。インタビューのためにTABI LABOのスタジオに入ってきた瞬間から、僕は彼らが「ロックスターだ!」と感じた。

ボーカリストのエリアス・ベンダー・ロネンフェルトは、ほぼウエストまでボタンを外したシャツにジャケットというスタイル。ベーシストのヤコブ・プレスは、ボロボロのビンテージシャツを着こなしていた(本人曰く、シャツはもう寿命らしい。それぐらい、本当にボロボロだった……)。

僕はエリアスのジャケットのポケットに何か入っているのに気づいた。それはヘルマン・ヘッセの『デミアン』(20世紀ドイツ文学の古典作品)だった。

なんてIceageっぽいんだろう!

彼らは、それが文学でもなんでも、影響受けたものを自分たちの音や歌詞で表現する。パンクバンドというと、棚に並ぶ小説よりも初期衝動にまかせるほうがお似合いのようだけど、Iceageはその両方を内包したバンドだ。

例えば、3rdアルバム『Plowing Into The Field Of Love』は、“アメリカの音”を表現していた(と僕は思う)。彼らの出身がデンマークのコペンハーゲンであることを考えれば、これはとても見事だった。実際、欧米や日本でもレビュアーから高い評価を得た。

作詞を担当するエリアスはデンマーク語ではなく、英語で歌詞を書く。その理由はシンプルで「デンマーク語は役に立たない。700万人しか話さないじゃないか!」。

そうそう。Iceageのオーディエンスが700万人では足りないよね。

昨年は日本人フラワーアーティストの東信(あずま まこと)とのコラボインストレーションによるライブ動画をつくってたし、最新アルバム『Beyondless』ではスカイ・フェレイラと一緒に演ってる曲もある。いろんなスタイルでの表現も彼らの持ち味だ。

僕のIceageに対する思いはさておき、今回のPulseは彼らのキャラクターがとてもよく出ていると思う。テキストだけで読むと、ぶっきらぼうで、もしかすると不機嫌なヤツらに思えるかもしれないけど、実際はインタビュー後にコーヒーとタバコのために近所のコーヒーショップ『Good People & Good Coffee』で一緒に過ごすほどリラックスした取材だったよ。

Pulseの最新の動画です!

まずは自己紹介を

エリアス:俺はエリアス。

ヤコブ: ヤコブ。俺らはコペンハーゲンから来たバンドだよ。

 

どうして
"Iceage(アイスエイジ)"?

ヤコブ:最初にバンドの名前を決めなきゃいけないだろ?別に、特にこれを選んだとかの理由はないまま、最終的にこの名前になったんだよ。

エリアス:16歳のガキの頭でブレインストーミングした結果だよな。

 

知らない人に
バンドの紹介を

ヤコブ: いや、むしろ言葉で説明するのは嫌なんだよね。音楽の芯の部分からなんか盗み出されるような気がするんだよ。

エリアス:他の人が俺たちのためにやってくれないかな。

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デンマーク語で
挨拶とかを教えてくれる?

ヤコブ: 毎回その質問が来るたびに、何も思いつかない。

エリアス:デンマーク語ってまったく使えないよ。700万人しか使わない言語だし。日本語か他の言語を学んだほうがいいよ。

 

バンド結成の経緯は?

ヤコブ:エリアスは、近所に住んでたんだよ。ダン(ドラマー)は、すでにドラマーとして活動してた……俺たちみんなコペンハーゲン中をうろついてる少年として出会って。楽器に興味持ってバンドを結成する何年も前からヤンキー仲間だったんだ。まあ、長い時間一緒に過ごしてるしね。

エリアス:もし俺たちが生理になるなら、絶対みんな月の同じ日に来るよな。それくらい長く一緒に過ごしてる。

ツアーに絶対必要なものは?

ヤコブ:楽器は当たり前か。あとは私物とか、俺なら本とか。

エリアス:靴下。靴下は大事だ。

 

ライブ中に起こった
最悪な出来事は?

エリアス:悪い奴らが二階からライブハウスの外に突き落とそうとしてきたことかな。結局、落ちなかったからよかったけど、落ちてたら最悪だった。

ヤコブ:うーん。他のミュージシャンもあると思うけど、演奏中に機材が全部ぶっ壊れて、途方にくれるしかない時。

エリアス:何度壊れた機材をなおしたことか……。

ヤコブ:一度、俺のベースから火がでたこともあったよね。多分それが一番最悪な出来事。

 

最高なことは?

エリアス:ハイライトはいろいろあるけど、なによりライブってできることすべて出し切って、自分が空っぽになるのを感じるのがイイんだよね。

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何を飲む?

エリアス:ウイスキー、ビール……ワインでもなんでも飲むよ。

曲作りの方法は?

エリアス:決まったやり方は特にないんだけど、ゆっくりと向き合って、毎回土台から作り直している感じかな。まあ土台を作り直せたことはないんだけど……。ツアー中とかは難しいよね。それほど忙しいわけじゃないんだけど、余裕はない。だからこそ思いついたりもする。同じ曲をやり続けるには、少し休憩したらすぐ新しい曲を作る必要があるからね。

ヤコブ:偶然って感じ。それが決め手になったわけじゃないんだけど、大体は聴いてるものや好きなものから影響を受けてる。決して次のレコードはこんなのがいいなって座って考えてるわけじゃなくて、成り行きで。計画立てなくても自然とそっちに行くときってあるじゃん。

エリアス:そんなことを何十年も続けてる。だけど、この方法は間違ってるかもしれない。

日本のフラワーアーティスト
東信とのコラボレーションは?

ヤコブ:僕たちのアルバム『Beyondless』の歌詞からインスピレーションを受けたアーティストたちの展示会をやるってプロジェクトがあったんだ。それで、東信にもオーダーしたら、コラボレーションならやりたいって。『Under The Sun』のMVがそれだ。

エリアス:そう、MVの中では古い工場倉庫の中の階段を登ると、ものすごく大きく咲き誇った花がズラーっと置かれていて。花たちのエネルギーの強さに圧倒された。香りも“レコード”できる方法があったらよかったのに!

 

日本で一番楽しいことは何?

エリアス:東京って未知だよね、例えば、超高層ビルの9階にあるなんて思わないような奇妙な場所が見つかったり。美しくてまるで映画みたいだけど、東京ではそういう面白い何かを発見することがすごく楽しい。(日本で演奏する機会は) ものすごく素敵なことだよ。ファンはすごく優しいし、いつも歓迎してくれるし、貴重な体験をしてると思う。

ヤコブ:ヨーロッパやアメリカよりも、真剣に聴いてくれる。あっちだと演奏中でもスマホをいじったりしてることが多いからさ。

 

世界で一番好きなバーが
東京にあるって聞いたけど?

エリアス:それは、「NIGHTINGALE」というバーだよ。めちゃくちゃおもしろい。すごく狭い店だから……多分言うべきじゃなかったかな。でも、昨夜もそこにいたよ。

 

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DMZ Peace Train
(韓国の軍事境界線)
での演奏は?

ヤコブ:あれは、どうなるか俺たちも想像してなかったんだ。むしろ、国境で韓国兵士に囲まれる姿を想像をしてたくらい。だけど、実際は全然違った。

エリアス:何かストレスを感じるような場なんじゃないかと思ってたけど、実際は華やかなパーティーのような歓迎ぶり。スナイパーに銃を当てられると思っていたら、全く違う雰囲気だったよ。韓国兵と一緒に楽しんだし、韓国のお酒ソジュも飲んだ。

スカイ・フェレイラとの
コラボレーションは?

エリアス:作曲をしている段階でもっといろんな歌声が合わされば曲の響きがより魅力的で叙情的になって、曲が持つ意味が広がるんじゃないかって思ったんだ。その時に頭に浮かんだのがスカイ・フェレイラで、幸運にも本当に協力してくれたってわけさ。

過去のインタビューで
ものすごい数の文学作品をあげていた。
好きな本は何?

エリアス:いっぱいありすぎて難しいけど、最近読んだお気に入りは 『A Lie of the Mind(心の嘘)』というサム・シェパードが書いた劇かな。難しくて激しいラブストーリーなんだ。

 

今、読んでいるのは何?

ヤコブ:ジョージ・オーウェルの『動物農場』をちょうど読み終わって、今はウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』。『マトリックス』の原点ともされる本なんだ。

エリアス:最近は理論派を読むことが多い。

リチャード・ヘルが
君たちのことを評価していた。
彼についてはどう思ってる?

エリアス:そうだね。彼らは俺たちの10代のヒーローだよ。かつてベッドルームで憧れてた存在にそんなふうに書いてもらえるなんてうれしすぎるけど、調子には乗るべきじゃないと思ってる。(イギーポップに会った時は)現実とは思えなかったよ。だって12歳の時から彼に夢中だったから、僕にとってはDNAみたいなもんなんだ。そういう存在の人たちに会えるなんてさ。

 

イギー・ポップは
「アブないパンクバンドだ」って
言っていた。
どれぐらいアブない?

ヤコブ:ライブを観に来ればわかるよ。

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最新アルバム『Beyondless』

現時点での最新作2018年の『Beyondless』は、パンクというよりもポストパンク的なレコードだ。

エリアスはポエティックな英詞を書くし(ネイティブな英語話者よりも素晴らしい!)、バンドはサクソフォニストやトロンボーニストも加えて、パワーがあるサウンドを完成させている。

とてもユニークな音楽。ぜひチェックしてみて!

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