20万人を奮い立たせた「伝説のスピーチ」6分35秒

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

マーティン・ルーサー・キング・Jr凶弾に倒れる

“I have a dream today……”

熱量のこもったこの言葉は、どの大統領の就任演説よりもセンセーショナルで、20世紀アメリカを代表する名演説として今日まで語り継がれてきました。

1963年8月28日、ワシントンD.C.で人種差別撤廃を求める大規模な集会「The Great March on Washington」が行われました。

リンカーンの奴隷解放宣言から100年を記念する大集会には、公民権運動家をはじめ、著名人やハリウッドの映画関係者も多く参列したそうです。その数20数万人。

リンカーン記念堂を埋め尽くす群衆を前に、マーティン・ルーサー・キング・Jr(キング牧師)が演説をはじめました。

私には、夢がある——。

人種差別撲滅に働きかけ、アフリカ系アメリカ人のみならず、アメリカに暮らす多くの移民たちの人生にも多大なる影響を与えた伝説のスピーチ。

キング牧師が繰り返し口にした「私には夢がある」は、アメリカの人種差別の歴史と公民権運動を語るうえで欠くことのできない象徴的なフレーズとなりました。

インド独立の父、マハトマ・ガンディーに啓蒙され、徹底した非暴力主義を貫いたキング牧師の活動にノーベル平和賞が送られたのは、その翌年のこと。

同年、雇用と教育の機会均等を求める公民権法が可決。建国以来200年、アメリカで施行されてきた法の上における人種差別が、ついに終わりを告げた瞬間でした。

それから4年後の1968年4月4日。

労働者のストライキを支援する目的で訪れたテネシー州メンフィス。市内にあるロレイン・モーテルのバルコニーで、公民権運動の指導者は凶弾に倒れました。享年39歳。

私には夢がある。
いつの日か私の幼い子どもたちが、肌の色ではなく
人格そのものによって評価される国に住むという夢である。

キング牧師の死から今年で54年。

アメリカでは、今また差別意識に基づいた暴力や中傷が問題視されています。無くならないヘイトクライムは、ともすれば「夢」を見失いかけている現実そのものなのかもしれません。

自由、そして平等とはなにか? キング牧師のメッセージにあらためてそれを考えてみたくなります。

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