2023年、牛丼と日経でロジカルシンキングを習得せよ!

ロジカルシンキング——ビジネスパーソンなら誰もが耳にしたことがあるこのキーワードは、少し誤解をされているかもしれない。「なんとなく大事なのは分かるけど、自分の仕事には関係なさそう」と。

しかし、こう聞いたらどうだろう。

ビジネスにおけるロジカルシンキングとは、はっきりと「結論」を出し、しっかりと「根拠」を示すこと。そしてそこに「意味」がつながっているということ。

すべての仕事の “基本” であることを感じてもらえるのではないだろうか?

上の言葉の提唱者であり、実践者でもある伊藤羊一さんによれば、ロジカルシンキングは「決まった箱に言葉を入れていく行為」だそうだ。

たとえば、こんな具合に。

このピラミッドのフレームワークを使いこなすことができれば、一見難しそうに感じるロジカルシンキングも、無理せず習得できるという。

「自分は今のままのスキルでいいのだろうか、成長のために少しでも動いたほうがいいのではないか」そんなふうに感じるなら、2023年こそロジカルシンキングを習得して、ビジネススキルをアップさせてほしい。

詳しい話を、伊藤羊一さんに伺った。

伊藤羊一

日本興業銀行、プラスを経て2015年4月よりヤフーへ。現在Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行うほか社外でもリーダー開発を行う。2021年4月武蔵野大学アントレプレナーシップ学部を開設、学部長就任。Voicyパーソナリティとしても活躍。ベストセラー『1分で話せ』著者。

仕事は、結論と根拠があればいい。
それで意味がつながる

ロジカルシンキングは「論理思考」という意味ですが、僕は「結論と根拠のパッケージ」だと考えています。

たとえば牛丼が人気である理由を、3構造のピラミッドスクラクチャーにするとわかりやすい。①早くて ②安くて ③うまいから、といった具合です。

組織でも同じで、上司に「この企画をやりたいんです!」と熱弁をふるうだけでは実現しません。「この企画が成功する根拠は3つあります。①来客が見込めて ②我が社の利益になり ③簡単だから」。こう言われたらさらに具体的に聞きたくなりますよね。これがビジネスの世界で大切なんです。

じつは僕自身が30代前半までビックリするくらいロジカルではなく「お前に左脳はあるのか?」と言われ続けてきました(笑)。なのでビジネススクールへ学びに行ったんですが、最後のレポートで「伊藤さんはロジカルシンキングの入口に入りかけています」と言われたことが悔しくて……。そこからさらに勉強して、ピラミッドの3構造に行き着きました。

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1日1ピラミッド。
日々の訓練で「3つ目」を習得せよ

なぜピラミッドストラクチャーかというと、根拠が3つあると人を説得しやすいんです。1つ目2つ目では反応がいまいちでも、3つ目を出されると「おぉ……」となってしまうもの。

ただ、どんな結論でも1つ目と2つ目は比較的簡単に出てくるんです。3つ目がなかなか出てこない。でも、普段から意識することで、だんだん3つ目が出てくるようになる。一方で、根拠の数が多ければ多いほど良いというものでもなく、多い場合は逆に3つまで絞り込むことも重要です。

僕も学び始めの頃は、1年ほど毎日「1日1ピラミッド」を必ず作るようにしていました。すると、いつの間にかパッと3構造ピラミッドが組めるようになったんですよね。

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具体例やファクトの数が
根拠を強くする

さらに大切なのが、説得力を加えたい場合に、結論と根拠の下にさらに具体例やファクトを並べることです。たとえば、早い=提供まで15秒、安い=1杯380円、うまい=誰々も言ってた、というふうに。そうやって毎日ピラミッドを作りながらファクトを並べる習慣ができれば、自然とロジカルシンキングが身に付いていきます。

初めの題材は本当になんでもよくて

・オフィスのみんなが眠そうである。なぜなら……
・今日の自分は気分がいい。なぜなら……
・このニュースは面白い。なぜなら……

のように結論から設定して、3つの根拠とファクトをセットで考えていきます。ピラミッドは日々の意識ですぐに挑戦できることだし、ファクトを加えるには、毎日15分からでも世の中のさまざまなことに目を向ければいいんです。

その訓練のひとつとして「日経電子版」のように、幅広いトピックを扱っているメディアを活用するのもいいと思います。見出しを眺めるだけでも世の中の流れが見えてきますし、自分ならどう考えるか、という仮説も立てやすい。

せっかくなので「日経電子版」を題材にしたロジカルシンキングのピラミッドも作ってみましょう。たとえばこんな感じでしょうか。

他紙とは明らかに異なる日経らしい主張がありながら、ビジネスパーソンに必要な「経済」については言うまでもなく圧倒的です。

さらに、主張の軸はありつつも、そこに “偏り” がなく、フラットで透明性があることも大事なポイントです。

これが僕が「日経電子版が役に立つメディアである」という結論に対して考えた、3つの根拠ですね。

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「思考の構造化」には
とにかく喋ってアウトプット!

ロジカルに伝えるためには、思考を構造化することも重要です。そして思考を立体的に捉えて構造化するには、とにかく頭の中の考えをアウトプットすること。友達同士でも構造化されていない会話ってつまらないじゃないですか(笑)。

では、どうすれば構造化できるかというと、noteやTwitterに書いてみる。公開しなくてもいいんです。文章化するのはハードルが高いという人は、一番簡単な方法として人に話すのがおすすめです。あなたがなぜそう思うのかを、とにかく喋る。

先日、シリコンバレーに学生を連れて行ってきたんですが、アメリカ人はとにかくめちゃめちゃ喋る。「今、こんなことやってるんだ」とか「ダイバーシティについてどう思うか」とか「イーロンマスクをどう思うか」とか、普通に話をしている。そうやって、誰かに伝えようとすることで思考が構造化されるわけです。

日常生活の出来事やインプットしたニュースなどを、書くこと、話すこと、を意識して捉えるだけでもだいぶ思考が整理され、自分のなかの軸が見えてくるはずです。

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量が質を生む。
不安なら、アクションするしかない。

最近の若い方のなかには、ワークライフバランスどころか、社会全体が「Work is Life」になりつつあるからこそ、ゴールの立て方がわからず不安な人も多いようですね。

そういうときこそ、ゴールを仮置きしながら動いていくしかないんです。

僕は初めて孫正義さんにプレゼンしたとき、5分の内容を300回以上練習したんですが、量が質を生むことってあるんですよ。プロ野球選手が素振りをするように、ミュージシャンが何度もリハーサルをするように、ビジネスパーソンの方には1日1ピラミッドを試してみてほしい。そのとき、日経電子版のチェックを習慣化しておけば、根拠になるファクトもしっかり補強することができる。

でも何もやらない人は、そりゃ不安なままだよね(笑)。不安なのはもちろん僕も分かるけど、だからこそ毎日アクションしていくことが大事ですから。

2023年は、動いていきましょう。

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