キーワードは、ひとりダイバーシティ。日経で知を探索せよ!

ここ数年、日本では「ダイバーシティ(多様性)」というキーワードが飛び交っている。ビジネスシーンにおいても例外ではなく、目にしない日はないと言ってもいいくらいだ。

しかし、ビジネスにおけるダイバーシティの位置付けや企業との関係性、各人が備えるべき価値観など、その本質を理解している人はどれほどいるのだろうか。

なぜビジネスにダイバーシティが必要なのか。

それはイノベーションを生むためです。

そう話すのは、経営学者の入山章栄さん。

伸び悩む企業やビジネスパーソンの救世主となりうるかもしれない「ダイバーシティ」の本質について、詳しい話を伺った。

入山章栄

早稲田大学 大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。19年4月より現職。主な著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP)。

「ダイバーシティ」という
言葉の先行

昨今、ダイバーシティを推進する企業が増えていますが、実際は多様性という言葉やイメージが先行してしまい、なぜ企業にダイバーシティが必要なのかを理解されないまま「とりあえずやったほうがいいですよね?」みたいな方も多いんです。

「そもそも御社はなぜダイバーシティをやるんですか?」と質問をするんですが、「よく分からない」「上が言うから」という返事がくるんですね。さらに、ダイバーシティはコストもかかるから経営にとってマイナスだ、というネガティブなイメージを抱えている方も多数でした。

いやいや逆ですよ、と。

企業として生き残っていくための手段が、ダイバーシティです。

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これからのビジネスに
ダイバーシティが不可欠な理由

なぜビジネスにダイバーシティが必要なのか。経営学的に言うと、会社は当然利益を出さないといけません。現代社会においては、その手段のひとつがダイバーシティです。

もう少し噛み砕くと、今の世の中は変化がとても激しく、先が見えづらい。その傾向はさらに加速していくでしょう。そうなると今後、ビジネスを現状維持から発展させていくためには、自らが積極的に変化を起こす、いわゆるイノベーションが必要なのです。

ではイノベーションはどうやって起きるのか。すでにこの世に存在しているけど、まだ出会っていない「既存の知」と「既存の知」の組み合わせで起きるんです。これは20世紀前半を代表する経済学者のシュンペーターが「新結合」という言葉で説明していて、僕はそれをさらにわかりやすく「知の探索」と呼んでいます。

さまざまな離れた知を持つ人が同じ組織のなかで「知の探索」をすることで、新しい発想やアイデアが生まれる、という考え方です。逆に、同じ組織で同じ人と何十年もずっと一緒にいると、新しいアイデアが浮かばなくなってくる。

かつての日本企業は、同質の考えを持った人を集めて組織化することで、一致団結の力で急成長を遂げました。むしろ多様性などないほうが良かったんです。

しかしバブル崩壊以降は、経済の仕組みそのものが変わり、働く人のライフスタイルも変化し、新しい発想を生み出していくイノベーションが求められる時代に変わりました。つまり、ビジネスにおけるダイバーシティは、イノベーションと密接に繋がっているのです。

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デキる人が実践する
「ひとりダイバーシティ」

世間一般のダイバーシティの認識である、組織の人材の多様化も大事だと思いますが、ひとりの人間がその人のなかで多様な経験や知見を持つことも「知の探索」なわけです。

これを経営学でイントラパーソナル・ダイバーシティと呼びます。「個人内多様性」という意味で、僕は「ひとりダイバーシティ」と呼んでいます。新しい分野なので日本ではまだあまり浸透していないのですが、今後日本経済を支えるミレニアル世代やZ世代の方々には、ぜひイントラパーソナル・ダイバーシティを学んで欲しいと思います。

僕が尊敬している、立命館アジア太平洋大学学長でライフネット生命保険創設者の出口治明さんがおっしゃっていることですが、やるべきことは3つ。

①移動する
②読書をする
③人に会う

まず、1つめが「移動」です。経営者の友人の言葉で「発想力は移動距離に比例する」というものがあるのですが、知の探索は、自分の認知の外に出ること。一番手っ取り早いのが、自分自身を物理的に移動させることなんです。

2つめは、物理的ではなく認知の外に連れ出してくれる「読書」です。より知見を広げるためには、興味がないジャンルを積極的に読んでみてください。書店で、目をつぶって選んだ本を読んでみる、くらいの冒険もアリだと思いますよ。

3つめが「人に会う」こと。自分が会ったことがないような人に会って話をすると、全然知らない世界に出会えます。

 

こういう話をすると、極端に「アフリカ行きます!」とか「億の投資に挑戦します!」という方がいるのですが、「知の探索」はそんな大きなものである必要はなく、身近で些細なことでも探索を続けることが大切です。

まず今日、いつもとは1つ違う駅で降りてみてください。そういった習慣を崩すことで感じ取れる「知の探索」があるはずです。

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日経電子版は
「ひとりダイバーシティ」の宝庫

僕は「ひとりダイバーシティ」を実践するうえで、新聞にはものすごい可能性があると思っています。というのも、SNSやネットニュースだけを見ていると、アルゴリズムがすごすぎて、ピンポイントにターゲティングされるじゃないですか(笑)。似たようなジャンルしか出てこないわけです。

「知の探索」には、自分と離れた知見を得ていくことが大切なので、フィルターをかけずにいろいろな記事を目にすることができる新聞は最適な媒体です。とくにビジネスパーソンにとって日経電子版は、経済に関するあらゆることを知ることができるので、全く興味がなかったジャンルの経済ニュースも自然と目に入ってくるわけです。実は、そういう “自分では選ばない記事” を読むことに価値がある

タイトルもフィルターがかかってないフラットなものが多いですし、日経電子版は非常に「知の探索」に向いているメディアだと思いますよ。

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自分から離れた「知」を

ビジネスを成功させるためには、成功した既存の事業を深めていく「知の深化」と、新たな事業を展開してイノベーションへと繋げる「知の探索」のバランスが大事です。

人間の認知には限界があるので、どうしても自分の目の前だけを見てしまう傾向があります。目の前のことがうまくいっているときは、なおさらです。日本でイノベーションが起きにくい理由のひとつは、変化を好まず深化に偏り過ぎているからでしょう。

2023年は、自分の興味に近いものも遠いものも、バランスよく配信される日経電子版を使って「知の探索」に挑戦してみてください。

自分から離れた知を、少しずつでも継続的にインプットして、「ひとりダイバーシティ」を体現しましょう。

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