これが、唯一「自動車事故の衝撃」に耐えられる進化した人間のカラダ

彼の名前は「Graham(グラハム)」。メルボルン大学の外科医、自動車事故調査官の意見をもとに、アーティストが製作した人体標本だ。

まるでミュータントのようなボディ。あまりにも異形なその体躯が訴えかける真のメッセージとは?

自動車安全性能 vs 究極の人体

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人間が自動車事故に耐えうるよう、体が進化したらどうなるかを具現化するこのプロジェクトは、交通安全キャンペーンの一環。事故の衝撃にも耐えられる“進化しすぎた”人間の姿を示すことで、対極にある「安全運転への喚起」を呼びかける、というのがプロジェクトの主眼にあった。

「自動車技術の発展は、人間のそれとは比較にならない速さで進んでいます。もちろんそれに伴って安全面も向上していることは事実。けれど、私たちの体の方が、いかなる衝撃にも耐えられるようにはできていないのですから」。

とは、「Road & Track」の記事から抜粋した事故調査官David Logan氏の談。結局、甚大な事故の前では人間は非力。誰もが分かりきったことを、あえて逆説的メッセージに込めるための大掛かりな仕掛けが、このグラハムだったのだ。

科学的根拠と人間工学に基づいて誕生した“究極の肉体”をパーツごとに細分化していくと、もはやキモチ悪さも通り越し、理にかなった構造のひとつ一つにため息が出る。もしかしたら、人間の進化の最終形態がここにあるのかもしれない。

どんな衝撃を受けても
生き延びられる体

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肌の質感、体毛の流れなど、本物の人間と見紛うビジュアル。3枚の写真を見比べて、まず自動車事故による損傷のほとんどが頭部から胴体にかけてであることがよく分かるはずだ。なぜなら、そこにこそ普通じゃない異形が集中しているから。

体全体がエアバッグ!?

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まるでヘルメットを装着しているような肥大した頭部。頭蓋骨の内部は気泡が入り、事故の衝撃を吸収。頭蓋骨と脳の間は空洞を挟んだ二重構造に。最大の特長は首がなくなり胴体と頭部が一体化したことだろう。

また、目と鼻が退化しおでこが異常に前へと出ているのも、正面からのインパクトに対して保護する意図がある。頬から口角、あごにかけて、むくんだ頬の正体はびっしり詰まった皮下脂肪が。

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肋骨にかけて何層にも皮膚がたるんで見えるが、この乳房のように見える突起からは空気が入ることで、内臓を保護するもうひとつのエアバッグを人体が作り出すんだそう。もう、想像の上を行きすぎている。

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見た目にはあまり変化を感じない下肢。だが、骨格は大きな進化を遂げている。人間の膝は一方向にしか曲がらず、それゆえ事故に限らずさまざまな怪我の原因となってきた。

しかし、グラハムの膝は180度どの角度にも曲げることができる。運転時や同乗時だけが、自動車による交通事故とは限らない。歩行者であるときに自動車と衝突しても、吸収を和らげる工夫がここにあるそうだ。

そしてもうひとつ、馬や鹿など四肢動物と同様、新たに向こうずねにもう一つ関節が増えている。グラハムにとって、「弁慶の泣き所」はもはや急所ではなくなった!

とは、いかない現実
結局のところ安全は心がけ

もしも、自動車と同じ速度で人間の体も進化したならば……、そんな「if」から生まれたのがグラハムだ。自動車の安全性能に頼ることなく、人体が変化を繰り返すには、ダーウィンの進化論を3倍速にしたところで、現実的には追いつかない。

「変化に最も対応できる生物が生き残る」のは、あくまで自然界での話。どんな事故にも耐えうる体は、皮肉にも自動車事故に対する人間の脆弱さを表しているのではないだろうか。

Reference:Road & Track
Licensed material used with permission by TAC
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