あのURBAN RESEARCHが、東北の漁師のカッパを作った理由。

2017年10月のことだった。
アパレルブランドURBAN RESEARCHが、東北の若手漁師集団、FISHERMAN JAPANとの新作コラボウェアを発表した。

これは、JAPAN MADE PROJECTというとりくみの一環だ。

JAPAN MADE PROJECTは、日本の伝統的な地場産業と協業し、さまざまなプロダクトを企画・販売するローカルコミュニティプロジェクトだ。2014年9月にスタートし、長崎、金沢、東北、そして直近では熊本にて展開している。ちなみに東北は2015年10月にスタートしており、先述の新作は第3弾のプロダクトだ。

東北第3弾のニュースリリースを読んだ私は、記事にしたいと思った。理由は3つ。①おもしろかったから、②本質的だったから、③私がKBF(URBAN RESEARCHが展開しているショップ)のファンだったから。

ただ、そのときはインタビューは想定していなかった。きちんと事実を整理して原稿を書き、好きなブランドのとりくみを発信できたら嬉しい、と思った。というわけで、JAPAN MADE PROJECTについてリサーチし始めた... のだが。

このプロジェクト、すごく手間がかかっているし、本格的なのである。都会の人間(なり会社なり)がイメージアップを図るべく地方創生の波にのってふらっと地方に行きました、レベルではできないことをやっているのである。なのに、どこにもその“努力”と“苦労”が載っていない。普通、みんなそこを出したがるのに。

その謙虚さ(といえばきっと「謙虚とかじゃないですよ(笑)」って返ってくるんだろうけど)は、ひとつの証拠だ。世間体じゃなくて、流行りじゃなくて、等身大の選択だったのだということ。

ずっとKBFを愛用していたのに何も知らなかったことへ後悔も相まって、きちんとこのプロジェクトの本質を探りあてたいと思うようになった。そして、その舞台の裏を一切公開していないなら、話を訊きにいくしかないと思った。

というわけで、JAPAN MADE PROJECTを担当している販売促進部 カンパニープロモーション課 シニアチーフの川瀬晃子さんにインタビューさせてもらった。その場をセッティングしてくれた同課のチーフ、金敷咲さんも同席してくれたのだが、彼女もJAPAN MADE PROJECTに携わる一員。溢れ出る思いが伝わってきたので、途中からは金敷さんにもインタビューに加わってもらった!

これまであまり明かされてこなかった、JAPAN MADE PROJECTのシリアスで、ユーモラスで、頼もしい話。ぜひ読んでみてください。

「どこに行っても同じ商品構成
 おもしろみがないと思った」
 ——プロジェクトの始まり

——実は私、昔からURBAN RESEARCHが展開しているショップ、KBFがすごく好きで。今日も全身KBFで来ました(笑)。

川瀬:ありがとうございます。

——URBAN RESEARCHは某大手ファッション通販サイトのランキングでもよく目にしますし、全国的にも知名度が高いと感じています。だから、URBAN RESEARCHがJAPAN MADE PROJECTをしなければいけない理由が何だったのか、まずは訊きたいんです。

川瀬:「やらないといけない」という発想ではなく、最初の長崎での展開は、URBAN RESEARCHが長崎に出店することがきっかけでした。どこに行っても同じ商品構成で、金太郎飴のような感じではおもしろみがないと思ったので、地方の特色を活かし、その地域のみなさんと一緒に物作りができればという気持ちからプロジェクトをスタートしました。それが、長崎のあとも、金沢、東北、熊本でプロジェクトを続けている一番の理由です。

——最初の長崎の商品を実現するまでには、どういうプロセスがあったんですか?

川瀬:長崎店は、アミュプラザ長崎という商業施設に入っているんですが、ディベロッパー(開発業者)の方と一緒に企画を進めていき、その方と、弊社からは役員とバイヤー、それから長崎県庁の方も入ってくださり、みんなで一緒に長崎市内を回りました。JAPAN MADE PROJECTのコンセプト——日本製で、その土地ならではのものをURBAN RESEARCHで売りたいんだという希望をお伝えしながら、一緒に企画・共同開発してくださる方を探し、アポイントをとって提案しに行きました。

——手ぬぐいは長崎雑貨たてまつるとのコラボレーションで、そのほか、文明堂総本店西海陶器陶彩 花と風ともそれぞれ商品を作っていますよね。長崎はファーストトライだったわけですが、何か印象的だったことはありますか?

川瀬:手ぬぐいは特におもしろくて。

川瀬:1570年代、戦国時代から1世紀ごとにどんどん現代へ向かっている柄になっていて、各時代ごとに「もしこの時代にURBAN RESEARCHがあったら」というファンタジーを描いているんです。今年はちょうど4回目だったので、4世紀分の絵柄を全部まとめたトートバッグも作りました。

——柄もですけど、コンセプトからおもしろいですね。

川瀬:たてまつるの店主、高浪高彰さんが本当に長崎の歴史にお詳しいんです。時代背景を踏まえながら、毎回「URBAN RESEARCHがあったら……」と考えてくださって、絵柄をご提案くださるんですよ。それを見たときとか、やっぱりすごくおもしろいなあと思います。

——これは今後もずっと続いていくんですか?

川瀬:はい。どんどん現代に追いついていきますよ。

——ちなみに、川瀬さんはプロジェクトに最初から携わっていらっしゃるんですか?

川瀬:私は、戦国時代から——じゃなかった(笑)、2015年からです。

——ははは、時間の軸が、この長崎のプロジェクトの影響を受けてますね(笑)。

「今自分たちができることは?」
 ——コンビニ前、偶然の出会い

——川瀬さんが最初に関わったプロジェクトはどれなんですか?

川瀬:東北(2015年10月〜)ですね。

——東北のプロダクトは第3弾まで出ていて、かなり力を入れて取り組まれている印象を受けます。川瀬さんご自身も、かなり思い入れがありますか?

川瀬:はい。よく「東北を始めたきっかけは何ですか?」と訊かれますが、最初はBEAMSさんに「現地の視察に行ってみないか」とお誘いいただいたことがきっかけでした。まずは「行ってみよう」という感覚で、上司とふたりで東北へ飛び込んだ感じです。

——じゃあ、東北に足を運んだときは、まさかこんなにプロジェクトが展開するなんて思いもしなかったわけですよね。

川瀬:そうですね。復興にむけてがんばる街や人を見てたくさんの刺激を受けましたが、具体的な商品化についてはじっくり考えたいと思っていました。

——でも今、FISHERMAN JAPANとこんなにたくさんの商品を展開していますよね。彼らとはどういう出会いを?

川瀬:ちょっとコンビニで休憩しているときに、偶然(笑)。

——コンビニの前とは(笑)。

川瀬:私たちをアテンドしてくださった方に、ホヤ漁師さんが差し入れをしてらっしゃったんですよ。その漁師さんともいろいろと話していくなかで、「URBAN RESEARCHなんですけど」とお話をしたら、「ああ、服屋さんなんだ。漁師の服ってイケてなくてね。もうちょっと、かっこいい服があったらいいんだけどなあ」というようなことを、ぽろっとおっしゃって。

——「一緒に作ってほしい」という流れに?

川瀬:そうですね。ちょっとそういう話になったのが、今やこんなことに。

——すごいですね。事前にリサーチして、アポとって、会って提案したものだとずっと思っていました。漁師さんの「かっこいいウェアがほしい!」という声に対して、そこからどういうアクションを起こしていったんですか?

川瀬:出会いがそんなふうに偶然だったので、最初はかなり漠然としていたんです。なので、まずは今の東北を知ることが最優先だと思いました。特に私は東京生まれ、東京育ちですし、身近な地域ではなかったので。現地のいろんな作家さん、ブランドをまわるなかで、震災前と後の違いだったり、現状についてだったり——なかなか厳しいという声が多かったのですが、とにかく震災以降の現状を知ろうと思いました。

——川瀬さんの個人的な目線でいいんですけど、東北はどんなふうに映ったんですか。

川瀬:そうですね……。最初は、意外と普通に生活されているように見えたんですよ。やっぱり私のなかではどこか現実味がないというか……。でも、FISHERMAN JAPAN事務局長、長谷川琢也さんにお会いして「まだ仮設住宅にいる子がいるんだよ」という話を聞いたときに、うわべの会話ではわからない現実を知って、ちょっとショックでしたね。

そんなふうに、東北で一次産業をされている漁師さんと初めて関わりを初めて持ったことで、CSR事業としてではなく、今自分たちができることは何かを考えました。そこで、まずは漁師さんの作業着——タウンユースで着ることができる、機能性のある服を作ろうということになりました。

——それが第1弾のシーパーカーとスウェットですね。

シーパーカー 各24,000円 (税抜)

スウェット 各9,800円 (税抜)

——商品開発はどういう感じで進むんですか?

川瀬:何度かサンプルを持って現場に出向き、漁師さんと直接お話しながら進めましたね。まずは、今の漁師さんがどういう作業をして——海の上以外での作業も含め、どういうときにどんな服を着ているのかをヒアリングしました。その上で、「撥水性があって羽織れるものがあるといいよね」という話を聞き、その結果できたのがシーパーカーです。

スウェットに関しては、「インナーがあれば、コーディネートでレイヤードできるしいいんじゃないか」と、逆に提案させてもらいました。そこからサンプルを作り、実際着て見てもらって、「裾はもうちょっとこういうほうがいい」というような意見をもらい、どんどんサンプルに落とし込んでいきました。サンプルは、2回ぐらい上げたと思います。

——ちなみに、第1弾の商品にはスケートボートも入っていますよね。ちょっと異色な感じもしますが、なぜですか?

川瀬:これは、AlexanderLeeChangさんと、現地のFUNADEというブランドとのトリプルコラボ商品です。石巻は実はストリートタウンで、スケートボードをする人が多いという話を聞いたので。

スケートボード (コンプリート) 30,000円(税抜)

——FUNADEはどういったブランドなんでしょう?

川瀬:FUNADEは、東日本大震災で被災した大漁旗をリメイクして、いろんな商品を作っている宮城県石巻市発のブランドなんです。だから、このスケートボードのデッキには、大漁旗が施されているんですよ。同じ柄はふたつとないんです。

——へえ! デザインまでしっかり見て、さらにお話を聞くと、いっそうその土地のストーリーを感じられておもしろいです。

「ほんとに、ピュアな気持ちで
 やっていくしかない」
 ——カッパまで作った理由

——実際できあがった商品に対して、漁師の方々はどんなリアクションを?

川瀬:かなり戸惑われていたかと(笑)。

——戸惑う(笑)?

川瀬:やっぱり私たちはアパレルなので、普段の服よりおしゃれだと思ってくださったのか、「作業着には着れないよ〜」みたいな(笑)。

——でも、コンビニの前でおしゃれな服がいいって言ってたから作ったのに(笑)!

川瀬:あ、でもたぶんそれはカッパのことを言ってたんじゃないかな?

——あ、なるほど。でもFISHERMAN JAPANは、活動理念として新3K(=カッコいい、稼げる、革新的)を掲げていますよね。なのであのシーパーカーとスウェットはその理念に沿った、まさに革新的なかっこよさというか。

川瀬:そう思っていただけていたら嬉しいですね。やっぱり、服ってモチベーションにつながる部分もあると思いますし。若い子たちが「漁業をやりたい」「漁師になりたい」と思う、いいきっかけになればいいなと思います。

——で、戸惑いながらも着ていただいて。

川瀬:はい。第1弾のシーパーカーは、すごく大好評だったんですよ。

——第3弾でカラーバリエーションが増えましたよね?

川瀬:そうなんです。JAPAN MADE PROJECTのオリジナル商品で、追加生産することはなかなかないんですよ。値段も決して安いものではないにもかかわらず、結果として追加生産したほど人気商品になって嬉しいです。

シーパーカー(上段・メンズ/下段・レディース)
各2万4000円(税抜)

——そして、第2弾にいくわけですけれども。

川瀬:第1弾で、BEAMSさんとYahoo!JAPANさんと一緒に取り組むなかで、世間にも注目され、私たち自身もだんだん熱が入っていくのを感じましたね。

——第1弾はシーパーカーにスウェットと、漁師じゃない人でも着ることができる商品ですよね。それこそ、しっかり撥水するとのことで、FUJI ROCK FESTIVALみたいな野外イベントにも活用できそうで。

川瀬:はい、十分着ていただけると思います。

——でも、第2弾の商品はなんとプロユースの漁師ウェアで。

左・マリンブルゾン 9,000円(税抜)
右・サロペットパンツ 8,000円(税抜)

——めちゃくちゃ本格仕様なんですが、この飛距離は一体何なんでしょうか……!?

川瀬:そうですよね(笑)。やっぱり、先ほども申し上げたようにどんどん熱が入っていって。そもそも「いつか本格仕様のカッパを作ってみたい」という気持ちがあり、工場を探していたんです。JAPAN MADE PROJECTは日本製というところにこだわっているので、国内の工場というのは絶対条件だったのですが、今出回っているカッパはほとんどが中国製。私たちも半ば諦めかけていたくらいなんです。

——漁師さんのカッパの現状、全然知りませんでした。今商品がリリースされたということは、見つかったっていうことですよね?

川瀬:そうなんです。つてがないか社内にいろいろと訊いてまわったところ、1社だけできるかもしれないというところがあって。それがアウトドアブランドのロゴスコーポレーションさん。連絡して、工場視察に行かせていただいて、どういうふうにカッパを作ってるのか見させていただいたくことができました。大量生産はできないことを知ったのですが、限られた数のなかでもオリジナリティを出したいというお話をさせていただいたり——もう、わがままなんですけど(笑)。

——いやいや、こだわりですよ、それは。

川瀬:話し合った結果、なんとか「やりましょう」とお返事をいただいて。ロゴスさんが協力してくださらなければ、このプロジェクトはもう第1弾で終わってます(笑)。

——よっしゃ!っていう感じですよね。

金敷:でも、同僚からは「ほんとに売るの?」みたいに言われるし、漁師さんたちは「ほんとにURBAN RESEARCHでカッパなんて売るの?」みたいな感じだったんですよね(笑)。

——なんとまあ、背水の陣(笑)。

川瀬:だいぶ背負ってたよね、あのときは……。

金敷:けっこう緊張感ありましたね……。

——飛距離がありますもん(笑)。やっぱり内部でも「えー!?」って感じだったんですね。

金敷:市販のカッパを買ってみて、会社で広げていろいろ調べてたんですけど、みんなに「何やってんの?」という感じで見られて(笑)。

川瀬:そうそう(笑)。私たちは、どのパーツが何のためにあるものなのか検討もつかなくて、ひとつずつ確認しなければいけなかったんです。だからカッパを買って調べて、漁師さんに「これってなんのための紐ですか?」とか訊くところから(笑)。

——まずは機能性から勉強を。

川瀬:そうなんです。あとは、最近はどういうデザインをかっこいいと思うのか、そしてURBAN RESEARCHとやるならどういうのがいいのかも訊いて進めていきましたね。

基本的には私たちがデザイン提案をさせてもらって、自分たちでハンドリングをとは思っているのですが、漁師さんは、自分で気に入ったものしか着ない性格の方たちが多いだろうなっていうのはだんだん通ってる間にわかってきたので、丁寧に進めていきました。

——いわば職人さんたちですからね。そこはリスペクトし合って。

川瀬:「絶対こうじゃないといけない!」という話し方はせずに——でも、先方も悩まれて私も一緒に悩んじゃうみたいなこともありました。それもプロジェクトの醍醐味ですよね。

——社内外から「大丈夫?」って言われながらもやり遂げたわけですが、逆に言えばなんでそこまで?

金敷:うーん……喜んでもらえると思ってたからなんじゃないかなぁ。

川瀬:そうですね、ほんとにピュアな気持ちでやっていくしかなかったですね。私たちは服を売っている会社なので、こうして服を作ってみたり本物のカッパを作ってみたりして、そのなかで驚いてもらったり喜んでもらったりすることが一番の近道というか——それしかできないです。ほかに何かあったら教えてほしい(笑)。

——いや、それって大きな感動だと思うんですよ。特にカッパは、ぶっちゃけみんなできると思ってなかったと思うんです(笑)。それに対する「まさかと思ってたけど、やってくれた!」って、私なら相当嬉しいと思います。

川瀬:そういえば嬉しいことがあったんですけど、地方のおじいちゃんやおばあちゃんから、会社に電話をいただくことがあって。「あのフリースどこにあるんですか?」とか「ネットが見れないんですがどうすればいいですか?」とか。

——東北のおじいちゃんおばあちゃんに届けないと!!

川瀬:こんなに注目してくださってるんで、販売ももっと本気でやっていきたいですよね。

金敷:カタログとか作りたいですね。

川瀬:そうだね、紙じゃないと(笑)。

金敷:ハガキとか(笑)。

——品番とかの数字書いて投函するやつですね(笑)。

金敷:それですね(笑)。でも、アナログな部分ってすごく大事だなぁと感じますよ。

川瀬:そうだね。地域の方とお仕事するときは、とにかく早くお顔を見て対面でお話することが大事だと思っていて。電話口だとなかなか前に進まないことも、1回会って他愛もない話をしたあとだと、意外と普通にまとまったりしますからね。

「あくまで、自分たちの得意分野で」
 ——外にいるからわかる目線

——新しい街で、その土地ならではのものをって結構難しいじゃないですか。

川瀬:そうですね。そのエリアをよく知っていて、いろいろとご紹介いただける方がいたらすごくスムースなんですけど、ゼロベースだと、目的の方につないでくださる方を探すところから始めたり、あるいは1社1社訪ねてお話をするところから始めたりするしかないですね。かなり時間がかかります。

——キュレーターの方も、都市によって結構関わり方は違いますか?

川瀬:プロジェクトごとに全然違いますね。金沢は、岩本歩弓さんというキュレーターの方が地域の素敵な作家さんを紹介してくださったりしています。逆に直近の、2017年4月にスタートした熊本はゼロベースから一貫してやらなければならなかったので大変だった思い出があります。

——ゼロベースだったからかもしれないんですが、熊本のラインナップって女性的というか、乙女的ですよね。

川瀬:ありがとうございます。長崎と金沢は、私から見たら割とメンズっぽい色合いに見えたので、熊本はもうちょっと方向性を変えてカラフルにしたいなあと考えましたね。

——すごく可愛い。個人的に、あの酒粕の石鹸、ねらってます(笑)。

川瀬:そうなんですよ、これすごくいいんです!

酒粕石けん 各1,500

川瀬:これは、南阿蘇で手作り石鹸を作っているLadybugのプロダクトなんですけど、熊本の3つの酒蔵(瑞鷹通潤酒造亀萬酒造)とコラボレーションして作ったものなんです。それぞれのお酒や酒蔵をイメージしていて、酒粕が入っているので甘いんですよ。食べれないですけど(笑)。

——びっくりした(笑)。

川瀬:あと、特に人気なオリジナル商品でいうと、小代焼という粘土工芸のうつわですね。

「小代焼」ふもと窯のうつわ

川瀬:小代焼は、都内にはたくさんファンがいるんですが、熊本の方には意外とそこまで知られていないようで。

金敷:実際にお店に置くとすごく売れるんですよ。

——でも、そういうのありますよね。ローカルあるあるというか、外の人のほうがよさに気付いてる、みたいな。

川瀬:そうですね。そういうちょっと驚くこともありつつ、だから、逆にいいですよね(笑)。

——めっちゃわかります(笑)。

川瀬:自分たちの得意分野で、コミュニティをより盛り上げることができればと。その一心だけでこのプロジェクトを進めているので、そういう出来事もやっぱり、嬉しいですよね。

「ポリシーをもって、精度高くやる」
 ——街をにらむ、ということ

——根本的な話なんですが、URBAN RESEARCHは普段から素敵なものを作っていると私は思っていて、それをほしいと思う人も全国にいるし、別に地方の店舗が金太郎飴になってもいいわけじゃないですか。

川瀬:はい、いいと思います。

——それでもこのプロジェクトをやっているんですよね。

川瀬:そうですね。

——私が気になっていたのが、URBAN RESEARCHの企業理念で。「街をにらみ 売り場を探り 時代を見通す」なんですけど、もしかしたらここにつながる部分があるのかなって。そもそもこの企業理念ってどういうことなんでしょう?

川瀬:そこはうちの社名「URBAN RESEARCH」の通りなのかなと思います。URBAN、街がベースにあり、そこで私たちが選んでいったものをお客様に提案していくという。それでいえば、このJAPAN MADE PROJECTもタウンプロジェクトですね。アーバンじゃなくてローカルですけど(笑)。

——確かに(笑)。でも本質的には変わらないのかなと感じるんですが、「街をにらむ」ということは、川瀬さん的にはどう噛み砕いていらっしゃるんですか?  言葉としては結構、強い言葉じゃないですか。

川瀬:今って、街にはたくさんのものが溢れているし、飽和状態ですよね。そのなかで、URBAN RESEARCHがどういうふうにして消費者の方々にものを提供していくかについて、自分たちのポリシーを持って精度高くやっていくということだと考えています。

——なるほど。さきほど、ゼロベースのところはとにかく地道にというような話もありましたが、それこそ精度高くっていうことですよね。

川瀬:そうですね。

——URBAN RESEARCHの第一号店って大阪じゃないですか、東京ではなく。

川瀬:そうですね。1997年に心斎橋のアメリカ村に1号店をオープンしました。

——これは私の勝手な予想なんですが、街のアイデンティティへの視点が鋭いのって、そういうルーツにも影響されているのかなと思って。私は香川出身で、京都、東京と人生で3都市に住んでいるんですが、街ごとにカラーって全然違うんだなってすごく実感してきたんですね。東京は、地方からもたくさん人が集まっているから街のカラーってそんなに色濃くない気がするんですが、地方だとやっぱり強いし、そういうものを感じたり向き合ったりする機会も多い。だから、街のアイデンティティに対するセンサーが働くのは、大阪で始まったっていうルーツも関係しているんじゃないか——と言われるとどうでしょう(笑)。

川瀬:(笑)。そうですね、おっしゃっている点もちろんあると思います。店舗を展開していくなかで、その街のなかにお店を出すにはどういう商品を提案してったらいいか、どういうお店でありたいかというのは、まさにそういうことだと思いますし。

——「街をにらむ」というのは街のアイデンティティを見抜くっていうことだと思っていて、それが原点にあるというのがまず前提にあり、その上でもうひとつすごく重要だと思ったのがURBAN RESEARCH DOORS(心地よい暮らしをテーマにしたセレクトショップ)を2003年に始められたということなんじゃないかなと。DOORSは、丁寧に作られたもの、時代を超えて伝える価値のあるものを届けているっていう、ロングライフデザインを追求する点で、結構JAPAN MADE PROJECTとも繋がりがあると思うんですが。

川瀬:例えば同じスタッフがどちらのプロジェクトにも携わっているというような直接的なつながりはないのですが、理念として掲げているものは似ていると思います。DOORSもDOORSで、2017年9月には南船場店に併設していたDOORS DININGをキュレーションスペースとしてリニューアルし、地方や地域にスポットをあててその土地ごとの特産品や作り手たちの想いを届けるSHARE THE LOCALというものを始めました。10〜11月には秋田のコンセプトハウスみたいにしたんですよ。

——DOORSはあんまり日本に限定しない考え方なのかと思っていました。JAPAN MADE PROJECTの舞台は日本に絞ってやっていて、そこで住み分けというか。

川瀬:JAPAN MADE PROJECTはURBAN RESEARCHブランドで、SHARE THE LOCALはDOORSブランドの活動なので関わってはいないんですが、それぞれ活動の幅は広がっているので、ゆくゆくは一緒に何かできたらなあとは思っています。

——大阪っていう街のアイデンティティが色濃い土地で生まれて、精度高く「街をにらむ」ことをしてきて、2003年にはDOORSという普遍的な価値を提案するブランドができて、そこから約10年後にJAPAN MADE PROJECTというタウンプロジェクトが始まっている——って、物語としてすごく一貫していて、「時代を見通」している気がします。

川瀬:ありがとうございます。

——これまでは出店計画に合わせてプロジェクトも進めてきたと思うんですが、今後の展開はどうなりますか?

川瀬:長期的な目線でいうと、JAPAN MADE PROJECTで作り出した商品たちはこれから、日本だけでなく世界にも提案していきたいと思っています。プロジェクトのコンセプトとしては「MADE IN JAPAN」なんですけど、提案自体はどんな国でも、どんな人でも通用するものだと思うので、どんどん知ってもらえたらいいなあと考えています。

——すごくポジティブで揺るがないビジョンを持っているし、頼もしいですね。

金敷:まだいろいろやれるプロジェクトだと思っているので。入社したときは、まさか漁師さんの服を作るとは思ってなかったですし、漁師さんとやりとりするなんて思ってもみなかったんですけど(笑)。

川瀬:この間、北海道にも出張してきたしね。

——北海道でも何かやるんですか。

金敷:2月にイベントをやろうと思っていて、現場を見に行っていたんです。だから、現地の方たちと雪山にいました(笑)。

川瀬:明日からは東北です!

——移動、大変ですね……!

金敷:1時間半で行けるんで、仙台はもう、近いです(笑)。

——すごい頼もしい(笑)。これからもJAPAN MADE PROJECTの展開、楽しみにしています!

川瀬・金敷:ありがとうございます!

イベント情報

『リミテッドショップ JAPAN MADE HOKKAIDO』

期間:2月1日(木)〜14日(水)
場所:URBAN RESEARCH 神南店

北海道プロジェクトのスタートに合わせ、リミテッドショップがオープン。北海道で人気の20以上のブランドから豊富な商品を取りそろえ、キュレーターの柳原一樹氏と中里有希氏による物販やワークショップ、写真の展示なども予定している。詳しくはこちら

人物写真:©️Ari Takagi
商品写真:©️URBAN RESEARCH

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