どれだけ混雑した場所でも「100%待ち合わせできるアプリ」でストレスフリー

「○○の前に集合ね」

呪いの言葉だ。

「着いた」「どこいる?」「駅の前」「改札の前?」「いや、人多いから少し離れたコンビニのところ」

いつも待ち合わせしている場所や人の少ない場所ならいいが、人の多い場所や普段行かない場所だと必ずスマホを取り出してもうひと手間かけることになる。

ランドマークのない公園やイベント会場周辺はもっとカオスだ。

ディズニーランド、代々木公園の花見、音楽フェス──。「海浜幕張駅の外」「シンデレラ城の前」がいったいどれだけ広いと思ってる。

海外で待ち合わせしようものなら、住所は読めないし人には聞きづらいしの二重苦が待っている。相手が旅行者でネットを使えない時なんて、待ち合わせに小1時間かかることもあって心臓に悪い。

もう、この3m四方から動かない。

こんな悩みが解決される賢いアプリが「what3words」。一言でいえば地図アプリだ。

地球を3m四方の正方形に区切り、それぞれにランダムな単語3つを組み合わせた地名をつけるという独自のシステムを採用している。

たとえば、渋谷ハチ公前なら「fury.master.tank」。3mごとに違う単語の組み合わせが割り当てられるので、同じハチ公前でも少しだけ離れた緑の電車の側なら「inserted.tester.rinsed」になる。単語はランダムで、特に意味はない。

このアプリがあれば、地球上どこでも3m四方指定で待ち合わせができる。花見会場で電話しながら友だちを探し回ることも、シンデレラ城の前で迷子になることもない。

海外で紛らわしい地名が2つあっても、確実に「ここ!」と指定可能。待ち合わせ時、もう私は3メートル四方から動かない。

今あなたが、上の写真で白線が示す場所にいるとする。

これまでは、「ニューヨーク、セントラル・パークの池の前」とだけ伝えて、電話で補足していたはずだ。

でもこれからは、「icons.gave.solved」で、ストレスなく会えるというわけ。

きっかけはライブ機材の運搬ミス

共同創業者のひとり、クリス・シェルドリックは長く音楽業界で働いていた。当時、頭を悩ませていたのが、なかなか予定通りに進まないライブ機材の運搬だったという。

運送の途中で道に迷う。着いたと思ったのが別の場所。イタリアでは、ローマから北へ1時間のところに届くはずの荷物が、南へ1時間のところに届けられたこともあったらしい。

紛らわしい住所に代わって、正確に「ここ」と示せるシステムがほしい。でも、数字で示されるGPS座標は複雑すぎる。そう考えた彼は、友人の数学者と一緒に地球を3m×3mの57兆のグリッドにわけ、単語を割り当てる方法を考えたのだ。

あのメルセデス・ベンツも導入

このアイデアは、ライブ機材の運搬以外にも広く活用できた。

たとえば、住所を持たず遊牧民として暮らす人も多いモンゴルでは、国営の郵便サービス「Mongol Post」がwhat3wordsの採用を決めた。このおかげで、遊牧民は何キロも離れた私書箱に郵便物を取りにいかなくて済む。

また、カリブ海に浮かぶセント・マーチン島では、ドミノ・ピザがその恩恵を受けた。従来の住所システムがカオス化していて、配達にかなり時間がかかっていたというが、住民たちは熱々のピザを食べられるようになったのだ。

さらにこれを活用しようとしているのが自動車業界。メルセデス・ベンツは今春から生産を始める新型「Aクラス」から、カーナビシステムにwhat3wordsを導入するらしい

正確に目的地を指定できるし、音声コントロールができるカーナビなら確かに長い住所よりも入力が簡単そう。

住所の平等を実現するこのシステム、ポテンシャルは無限だ。

Licensed material used with permission by what3words
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。