オーロラを撮り続けて20年。田中雅美が切り取った、3つの「特別なオーロラ」
「一度は見たい!」のフレーズが、よく使われる絶景のひとつ、オーロラ。いつかは……死ぬまでには……と思いながらも、まだ見に行ったことがない人も多いのではないでしょうか?今年のベストシーズンまで、準備する時間がたっぷりある今だからこそ、オーロラの魅力を詰め込んでお届けしたいと思います。
この記事で紹介する様々なオーロラの写真はすべて、田中雅美さんが撮影したもの。田中さんは、20年以上オーロラを撮影し続けてきた世界的カメラマンです。数々の場所でオーロラの表情を切り取ってきたけれど、特にカナダ・ノースウェスト準州の『イエローナイフ』が観測にはオススメだそう。
この地で撮影されたオーロラを見たら、きっと「いつか」を「この冬」にしたくなるはず。
イエローナイフは、
鑑賞率トップの『オーロラ銀座』
オーロラが最もよく見えるのは、『オーロラオーバル』という、地球を上から見るとドーナツ型になっている北緯60度近辺の領域。イエローナイフは北緯62度で、この直下に位置しているのです。
それだけでなく、この街は冬の晴天がとても多く、雲も出にくい。安定した天気で、遮るものがほとんどないという最高の条件が揃っています。鑑賞率は、「3泊で97%」と言われているほど!絶景を見るために、せっかく遠い国まで時間とお金をかけて行くのだから、少しでも肉眼で見れる確率が高い街を選びたいですよね。
季節や天気によって、遭遇できるオーロラもこんなふうに様々なんです。
レベル5のオーロラ
『ブレイクアップ』
まずはこの動画を見てみてください。
カナダでは、肉眼で「うっすら見えたかも?」というレベル1から、空一面に広がり、上の動画のように活発に動くレベル5まで、オーロラの見え方をランク付けしています。
イエローナイフでは、レベル5のオーロラが見える確率が「3日間で50%」という高さ。なかでも、『ブレイクアップ』と呼ばれているのは、空に突然光が差し込んで、ぶわっと勢いよくオーロラが広がる現象のこと。日本では、その名の通り『オーロラ爆発』とも呼ばれています。
爆発、と呼ばれるくらいなのだから、きっと写真や映像でも閉じ込めきれないエネルギーを肌で感じられるはず。冷たくて静まった空気が流れる地上に、降ってくるような自然がつくりだす迫力。背中を押されるように、「また頑張ろう」ってエネルギーをもらえるように思うんです。
樹氷 × オーロラ
12月から1月のイエローナイフは、マイナス20度前後。氷点以下になると、濃霧が樹枝に貼りつくように凍りついて、白く覆います。
こうして出来たいくつもの樹氷の上に、オーロラが広がる光景。実は、オーロラ自体は1年中鑑賞できると言われていますが、やっぱり真っ白な銀世界とのコントラストが格別です。
日本では体験しないような寒さに触れながら、時間をかけてこの場所にたどり着いたからこそ、写真のようにオーロラと氷の幻想的な世界を見れたら、「来てよかった」と心底思えるはず。喜びもひとしおですよね。
満月 × オーロラ
田中さんが「この景色を見れたら最高!」と語るのは、満月とオーロラが一緒に空に浮かんでいるこの姿。
月の光が強い日は、弱いオーロラだと鑑賞が難しくなってしまうので、オーロラレベルが高くて安定していると、上の動画のような瞬間を目に焼き付けることが出来るのだそう。
「新月の日が鑑賞には適している」と言われることが多いですが、このショットをおさめるために、満月の日には世界中からカメラマンが集まってくるみたいです。どんなに予報をチェックしていても、当日になるまで満月が綺麗に浮かぶかわからない。どっちも見れる保証がないからこそ、この光景は本当にずっと忘れられないものになるでしょう。
2つの光で、夜が明るく照らされる不思議な世界。せっかく見に行くのであれば、満月に合わせて計画してみては?
宿泊は必須、だからこそ。
確実にオーロラを見るためには、イエローナイフで3泊は必須。寒さも厳しいし、昼間の過ごし方も大切だからこそ、カフェや博物館があり、ビジターセンターで色々な情報をキャッチできる、ダウンタウンがあるのは嬉しいポイントです。
今年のベストシーズンまで充分時間がある夏のうちに、オーロラを見に行く計画を立ててみませんか?
せっかく休みをとってイエローナイフまで訪れるのなら、多くの人が経由地として訪れるカルガリー国際空港で降りてみるのもオススメ。カルガリーのあるアルバータ州では、イエローナイフとはまた違う冬の絶景に出会うことができます。
前乗りして、効率的に冬のアルバータ州を楽しむ「3日間モデルプラン」を考えたので、ぜひ参考にしてみてください。
Top photo: ©︎Masami Tanaka