「サーフ天国×プラごみ地獄」バリで眼の当たりにした、今そこにある問題

先週末、メディアを賑わした大阪開催のG20サミット。主要国の首脳たちが集まる場でも大きなテーマになった「海洋プラスチックごみ」の問題。2050年までにゼロにする目標を導入する意思決定がされるなど、世界的な共通課題。

サーファーが世界中から集まるインドネシア・バリでも、この問題は長らく大きなものになっています。

サーフ天国のはずがビーチは地獄

©iStock.com/Drazen_

世界中から多くの観光客を集め、日本人サーファーにも大人気のリゾート地、バリ島。赤道に近いこともあり一年を通じて常夏で、雨季と乾季の2シーズンしかなく、どちらにしても充分サーフィンの楽しめる気候。しかも一年中、島のどこかで波が立っているサーフ天国。

ですが、観光の売りであるはずのビーチに目を向けると海洋ごみが大量に漂流。そこに広がるのはサーフ天国というより地獄の沙汰。

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バリ島には大規模なゴミ処理場の用意もなく、現地の人々も排水溝にゴミを捨てたり、自分で燃やしたりする習慣が残っていて、大雨で街の排水溝からごみが溢れ出すこともある。街や海岸沿いでは、ベットボトルをはじめビニールなど、大量のプラスチックごみが散乱している状態。

これらに対し、インドネシア政府は「ごみ緊急事態」が宣言。海洋のプラスチックごみを2025年までに70%削減することを誓約し、リサイクル事業の促進やプラスチックの袋の使用抑制、清掃キャンペーンの開始と国民意識の向上も計画するほどです。

©2019 TABI LABO

改善へ力を入れている様子は現地へ行くよくとわかります。バリを訪れた際に、ホテルでのウェルカムドリンクについたストローが紙製なのは当たり前(ホテルブランドの意向も多分にあるでしょうけど)。

それに、街中で飲み物を購入したり、例えばヤシの実ドリンクを手にするような場面でも徹底して非プラスチック製ストローが使われていたり。

東南アジアでは、日本よりはるかに対策が進んでいる様子……いや、日本が立ち遅れているだけな気も。

神様も“自分たちの場所”を自ら美しくする

バリをはじめ、インドネシアの人々が国をあげて努力をはじめているのを関心するばかりではNG。この国を訪れた旅行者も同じで、世界中全ての人々が環境への意識を高めていかないと、世界から愛されたリゾート地がさらに変わり果てた姿になってしまう。

©BREITLING

現地で5月に開催したサーフィン大会の参加選手、ケリー・スレーターも海洋ごみによる地球への自然破壊への問題を訴えるひとり。

通算11度のワールドチャンピオンにも輝く“サーフィン界の神様”というべきプロサーファーである彼は、自身の活躍する場でもある海のクリーンアップに積極的。現地バリのボランティアとともにビーチクリーンアップイベントに参加し、成果として数百キロに及ぶゴミとプラスチック類を海岸から回収。

クリーンアップ以前に、ごみを減らす・出さない・リサイクルする仕組みもまた重要な課題。ケリー・スレーターは、アパレルブランド「Outerknown(アウターノウン)」を展開することでも、これに取り組んでもいる。

このブランド名と同タイトルではじまる動画で、海洋ごみによる自然破壊を「誰かひとりのせいじゃない。全て僕たち全員の問題だ。知らないままにするのはOKじゃない。自然界を破壊するのはOKじゃない」とメッセージ。

地球規模での“今、そこにある”問題

 

ケリーは、「このままでは数年でサーフィンができなくなるだろう。前代未聞の汚さだ」とツイートするほどで、バリの海だけじゃなく世界の共通課題だと警鐘。

海洋プラスチックごみって、海に囲まれる日本だからって理由だけでなく、きれいな地球で生きていくために、どんな人間でも、企業でも、国でも、真摯に向き合わなきゃならない“今、そこにある”問題ですよね。

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