残酷な結婚式「彼女は僕のものだよ」に込められたメッセージとは
みんなに祝福される、結婚式。
ウェディングドレスを着るとき、女の子はおとぎ話の「お姫様」になることができるのです。「そして2人はずっと幸せに暮らしました」という結末になることを祈るのです。
でも、この結婚式は違いました。
そこには「無表情」の花嫁の姿
ボードには「彼女は僕のものだよ」という新郎からの甘いメッセージが書かれています。
新郎新婦の2人はメイクや正装の準備に大わらわです。手作り感に溢れ、こじんまりとしているけれど心のこもった結婚式になることを、子供が描いた絵が物語っています。
バージンロードを見守る参列者たちと、握手を交わす新郎と新婦の父。みんなの祝福を受けながら式は進んでいきます。
そしていよいよ「誓いの儀式」。新郎が新婦のベールを上げるとそこには…
幼い少女の不安げな瞳が揺れていました。新郎が肩を抱き寄せても、指輪の交換をしても、ずっと無表情のままの少女。
まだ「お絵描き」が楽しい女の子
ウェディングケーキに飾られていたのは、じつは彼女が描いた結婚への「夢」でした。でも今はもう、彼女の手によって黒く塗りつぶされてしまいました。
「彼は私を所有するの」というのが彼女のメッセージ。泣き声すら上げず、少女は一粒の涙を流しました。
しっかりと手を繋いで式場を去る2人の後に置き去りにされたぬいぐるみは、少女の「童心」でしょうか。
おとぎ話のような結婚式(たったひとつを除いて)
この映像は児童婚に警鐘を鳴らすため、ユニセフが制作したものです。
はじめはとても幸せそうな結婚式だったのに、周囲からの祝福さえも、彼女を孤独と絶望に追いつめているように見えてきます。
ぬいぐるみで遊ぶ無邪気な年齢の少女を結婚させることが、いかに彼女の人権を踏みにじることなのか、彼女自身も幼すぎて気づくことすらできないかもしれません。
しかしこれは、現実に世界各地で行われているのです。
児童婚の定義は18歳未満での結婚、それに相当する状態のことをいいます。ユニセフによると、世界全体で7億人以上の女性が児童婚をしています。また世界では毎年1,500万人の少女たちが幼くして結婚を強いられ、夢を見ることすら許されない生活を送っているのです。
これらは子供の権利の侵害だけでなく、社会的に非常に深刻な問題を抱えています。教育を受ける機会を奪われ、自立することさえ考えつかないうちに結婚させられることで、じっと家庭内暴力に耐えるしかなかったり、声を上げることすら考えつかない状況に追い込まれることもあると言われます。
すでに児童婚が慣習となり、何世代にも渡って続いている地域もあります。子供が親に結婚するよう命じられたら、従う以外の選択肢があるのでしょうか。