それは、黒よりも黒い世界。20秒後わが目を疑うことになる
絵の具や墨をどれだけ塗り重ねても、決して描くことのできない黒よりもさらに黒い黒。光さえも届かない、そんな世界を人間はすでに科学の力によって、つくり出すことに成功していた。
視覚を完全に無能化する
「Black in Black」の世界
カメラがゆっくり回転していくと、ブロンズマスクの隣に置かれた真っ黒い物体に、だんだんと凹凸がでてきた。そのまま90°真横に回ったとき、現れたのは、
もうひとつの「顔」。
可視光の99.965%を吸収
「世界一黒い物質」とは?
イギリスの企業が開発したのは、「世界でもっとも黒い物質」の異名をもつVantablack(ベンタブラック)。なんでも、ブラックホールのように光を吸い込み(吸収し)、人間の視覚からは凹凸すら感じさせなくしてしまうらしい。
とにかく、黒よりも濃い黒だということなんだろう。開発元のSurrey NanoSystemsによれば、ベンタブラックはカーボンナノチューブ製(筒状炭素分子)で、直径はわずか2〜3ナノメートルの集合体からできているそう。ちなみにナノは、10億分の1メートルという単位。この物質に覆われてしまうと、もはや凹凸も遠近感も、すべてが無になる。まさにブラックホール!
この性能を利用し、赤外線探知機や望遠鏡など、光を抑えることを目的とした用途への応用を目指しているというが、すでにこうして複雑な形状でも覆ってしまえる段階にあるようだ。
フラッシュをたくと…
ぼんやり輪郭らしきものが
こうして、フラッシュをたいて撮影するとどうだろう。ほんの少しだけど顔のディテールが見えてこないだろうか。
では、黒よりも黒いベンタブラックの世界、その目でとくとご覧あれ。
Licensed material used with permission by Surrey NanoSystems