「生き返った男性」が森を生き返らせる
もし自分が病気か事故で一度死にかけて、その後「第二の人生」を送れるチャンスを得たとしたら、何をするだろうか。
アメリカのカリフォルニア州に、病気で命を落としかけて生き延びた後、木を植えて森を再生しようとしている男性がいる。彼の名前はDavid Milarch。では、なぜ木なのか?彼がそこに至るまでの想いを紐解いてみよう。
「私は一度死んだことがある」
「かつて一度、腎不全で心肺停止したことがあるんだけど、驚くことに生き返ることができた。生きることを諦めてはいなかったんだ」
それが、森林再生とどう繋がっているのだろうか?
彼が植えているのは、スギ科のレッドウッドだ。「切り倒して焼いたとしても、レッドウッドを死なせるのはほぼ不可能なんだ」。そう説明するこの木に「不思議な縁を感じる」という。
「過去からの遺産」が
約95%失くなる
米内務省の、国立公園に関するHPによると、カリフォルニア州沿岸に生息するレッドウッドは、110m以上にまで育つものもあるという。通常は600年ほど育つが、2,000年までいくものもある。
Davidさんのプロジェクトを映したショートフィルム『Moving the Giants』によると、元々生息していたカリフォルニア州の北部とオレゴン州南部にあったレッドウッドの、約95%が切り倒されて消えてしまったという。それらは、机やフェンスなどに使われている。
「破壊の代わりに保護を」
自分たちの手で森を作る
Davidさんがレッドウッドを植え続けることには2つの目的があるという。
1つ目は、地球温暖化で多くの森が枯れてしまう可能性がある中、レッドウッドを保護していくということ。
2つ目は、私たち人類のため。二酸化炭素の拡散を防いでくれる役割を果たすこの木を守るということは、長い目で見ると自分たちのためでもあるということだ。
そして、このプロジェクトは大人だけのものではない。これからの未来を担う子どもたちも参加していて、「小さいレッドウッド」を植えることをとても楽しんでいるという。
命を失いかけた事がきっかけで、失われた森を再生するため奮闘するDavidさん。最後に、彼の言葉を紹介します。
「もし私たちが考え方を変え、すべての自然を破壊する代わりに、守り共存する道を選べば、ひ孫やさらにその子どもたちが、感謝してくれることだろう」