省力化農業を実践、ロボットが耕作した米で作った米粉「雷粉」発売

日本の農業就業者の高齢化や後継者不足は、年々深刻さを増している。農林水産省の調査によれば、2020年時点で農業就業者のうち、75歳以上の割合がもっとも多いという。このままでは、日本の農業は衰退の一途をたどるばかりに。

そんななか、暗い未来を覆すかもしれない革新が、今まさに始まろうとしている!

「WORKROID農業」が変える、未来の農業の姿

「株式会社テムザック」が取り組む「WORKROID農業」は、ロボット技術を活用し、人手不足や高齢化が進む農業の現場に希望をもたらす取り組みだ。宮崎県延岡市で実証実験中のこのプロジェクトでは、なんとロボットが田んぼを耕し、種をまき、収穫までを行う。

同社によれば、きっかけは「耕作放棄地拡大を食い止めたい」という思いだったという。重労働である農業のイメージをロボットが変え、耕作放棄地の再生、ひいては日本の食料自給率向上に貢献できる可能性を秘めている。

© YouTube/tmsuk

ロボットが作った米で作られた「雷粉」

2024年の実証実験では、「雷鳥シリーズ」と名付けられた複数の農業ロボットが、それぞれの機能を活かしながら連携し、徹底した省力化を目指した。そして、このロボットたちが育てた米から作られた米粉が「雷粉」だ。

米の消費量は減少傾向にあるいっぽうで、パンや麺類、お菓子など幅広く活用できる「米粉」は、近年需要が拡大している。小麦粉の代替として注目されるだけでなく、グルテンフリーである点も、健康志向の高まりとともに追い風となっている。

同社は、「雷粉」を全国の飲食店などに提供することで、米粉の需要拡大、そして食料自給率向上に貢献しようと試みているのだ。

©株式会社テムザック
©株式会社テムザック

テクノロジー×農業で変わる未来の食卓

ロボットが農業を行う時代。それは、もはやSFの世界の話ではない。「WORKROID農業」は、日本の農業が抱える課題を解決するだけでなく、私たちの食卓にも大きな変化をもたらす可能性を秘めている。

たとえば、ロボットが栽培から収穫までを一貫しておこなうことで、農薬の使用量を減らし、より安全な農作物を安定供給できるようになるかもしれない。また、AIを活用することで、それぞれの土地に最適な品種改良や栽培方法を導き出し、収穫量や品質を向上させることも期待できるだろう。

ロボット技術と米粉という、一見意外な組み合わせが、日本の農業、そして私たちの未来を大きく変えるかもしれない。

Top image: © tmsuk
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