ポートランドのブリュワリーとパタゴニアが手を組んだ。そこから生まれたクラフトビールとは?
今年9月、日本で本格的にスタートしたパタゴニアの食品ビジネス「パタゴニア プロ
このたび、そんな彼らがクラフトビールの領域へ参入。とはいえ、決して昨今のブームに乗ったというわけではないことを強調しておきたい。
農薬不要、少量の水で栽培可能
ポートランドのブリュワリー「Hopworks Urban Brewery」とタッグを組んで開発した「Long Root Ale」の特徴は、多年生植物であるKernzaを用いて作られた世界初のビールである点。 長い根を持ち、複数年にわたって収穫できるKernzaは、農薬を必要とせず、通常の麦芽と比べて少量の水で栽培可能と言われている。
また、一年生植物よりも土壌侵食を抑え、大気中の炭素を減らすことにも寄与。というのも、 毎年土を耕すことで大気中に多くの炭素を排出しているのだが、多年生であれば種を蒔く必要がないため、このプロセスを取り除くことができるから。
このKernzaを仕上げに加えることで、ドライでキレのある仕上がりに少しの苦味をプラス。大麦や小麦だけでは表現できない味わいをもたらしてくれるそう。
「ほんの少しだけ、醸造方法を見直してほしい」
パタゴニア プロビジョンズのディレクター、バージット・キャメロンは、Long Root Aleに大きな可能性を見出している。望むのは、クラフトビールを売ることなどではなく、従来の醸造方法をいま一度見直してもらうことだ。
「ビールは、人々をつなげる素晴らしいツール。Kernzaを通してオーガニックで再生可能な農業のことをより広く伝えられるはず。
大きな変革をもたらすのに必要なのは、醸造方法をほんの少しだけ変えること。このメッセージが世界の著名な醸造所に届くことを祈っています」
現在、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州のスーパーマーケットでのみ販売中。日本への上陸は不明だが、その日を期待して待ちたい。